中国は「世界の工場」としてのみならず、「世界の市場」としての重要性も増している。これを象徴するように、2009年以降、中国は通関統計ベースでは、世界一の輸出大国と米国に次ぐ世界第二位の輸入大国となっている。しかし、通関統計は、サービス貿易を対象としていない上、最終製品と同様に部品などの中間財も国境を越える度に、輸出または輸入の一部として計上されるという多重計算の問題を抱えている。そのため、サービス貿易が拡大し、多国籍企業の主導でバリューチェーンに沿った国際間分業が進む中で、通関統計だけでは、もはや貿易の実態を把握できなくなった。この問題は、加工貿易が盛んである中国のような新興工業国には特に深刻である。