仙台医専で魯迅は、ある日解剖学教授の藤野先生からノートの提出を求められる。数日後、返ってきたノートを見て魯迅は驚く。なんとノートは初めから終わりまで朱筆で添削してあり、さらに書き落とした部分を補ったうえに、文法的な間違いまで訂正されていたのである。この藤野先生の「親切」がちょっとした波紋を呼ぶ。魯迅は解剖学の試験に合格するが、それは藤野先生が予め出題箇所に記号(しるし)を付けておいてくれたからであるというのである。幸いこの疑いは仲の良い級友たちの抗議もあって晴らされたが、続いてさらに深刻な事件に遭遇する。少し長くなるが、原文を引く。