ANAPは売り一巡し、15年8月期の収益改善期待で反発のタイミング
レディス向けカジュアル衣料・雑貨のANAP <3189> (JQS)の株価は、5月21日安値663円から6月18日1179円まで急反発した。その後は7月11日の今期(14年8月期)業績減額修正も嫌気して概ね800円台半ばで推移している。ただし足元では下げ渋り感も強めている。売りがほぼ一巡したようだ。今期の収益悪化は織り込み済みであり、来期(15年8月期)の収益改善期待で反発のタイミングだろう。
10代~20代の女性を中心に幅広い年齢層から支持されているレディス向けカジュアル衣料・雑貨「ANAP(アナップ)」を基幹ブランドとして、特徴の異なるサブブランドも並行展開している。ブランド認知度の高さ、新鮮な品揃え、多品種・小ロット販売などを特徴としている。
販売は、全国のショッピングセンターなどに出店する店舗販売、自社ECサイト「ANAPオンラインショップ」でのネット販売、全国のセレクトショップ向け卸売販売を展開している。前期(13年8月期)の事業別売上構成比は店舗販売66%、ネット販売26%、卸売販売8%で、ブランド別売上構成比はレディスカジュアル78%、キッズ・ジュニア18%、雑貨・メンズ4%だった。なお店舗販売は14年2月末時点で全国94店舗を展開している。
成長に向けた重点戦略としては、スタートトゥデイ <3092> が運営する「ZOZOTOWN」「LABOO」への出店、新規ブランド「ANAP SCHOOL」「ANAP BOY」の投入、ショッピングセンターへの新規出店と「KIDS」ブランドによる親子購買の取り込みなどを推進している。さらに14年5月には、クルーズ <2138> が運営するファストファッションサイト「SHOPLIST.com by CROOZ」にも新規オープンした。
7月11日に発表した今期(14年8月期)第3四半期累計(9月~5月)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比5.0%増の63億84百万円、営業利益が4億06百万円の赤字(前年同期は1億60百万円の利益)、経常利益が3億87百万円の赤字(同4億07百万円の利益)、純利益が3億22百万円の赤字(同2億44百万円の利益)だった。
インターネット販売事業が同20.6%増収となって全体の売上高を押し上げたが、既存店売上高の減収、セール販売増加による粗利益率低下、商品出荷配送・保管業務に係るアウトソーシング費用増加などで、営業損益が大幅に悪化した。特別損失では不採算店舗の減損損失97百万円を計上した。
通期業績(非連結)見通しは7月11日に減額修正を発表した。4月11日に次ぐ2回目の減額修正で、売上高は3億87百万円減額して前期比3.4%増の88億79百万円、営業利益は4億81百万円減額して4億81百万円の赤字(前期は4億02百万円の利益)、経常利益は4億75百万円減額して4億65百万円の赤字(同6億21百万円の利益)、純利益は3億32百万円減額して3億86百万円の赤字(同2億61百万円の利益)とした。
13年秋の残暑や台風、14年2月の記録的な大雪など天候不順の影響に加えて、14年4月の消費増税の影響などで既存店売上高が想定を下回り、利益面では在庫圧縮のためのセール販売増加による粗利益率低下、アウトソーシング費用の増加などが影響する。また14年9月をメドに不採算店10店舗を閉鎖する予定だ。経営体質改善や収益回復に向けて、ネット通販拡大、粗利益率改善、物流効率化、経費削減などの施策を強化する方針であり、来期(15年8月期)は抜本的対策が寄与して収益改善が期待されるだろう。
株価の動き(13年11月公開価格1000円に対して初値5100円、高値13年11月5360円)を見ると、5月21日安値663円から6月18日1179円まで急反発した。その後は反落して水準を切り下げ、7月11日の今期業績減額修正も嫌気して概ね800円台半ばで推移している。ただし足元では下げ渋り感も強めている。失望売りがほぼ一巡したようだ。
8月5日の終値は850円だった。週足チャートで見ると13週移動平均線が下値を支える形であり、日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。今期の収益悪化は織り込み済みであり、来期の収益改善期待で反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
レディス向けカジュアル衣料・雑貨のANAP<3189>(JQS)の株価は、5月21日安値663円から6月18日1179円まで急反発した。
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2014-08-06 09:15