観光立国日本、観光客が満足する通訳ガイド制度が課題

日本経営管理教育協会が見る中国 第318回--有元舜治(日本経営管理教育協会監査役)
● 旅行収支44年ぶりの黒字
財務省の発表によると、2014今年4月の旅行収支が177億円の黒字になった。旅行収支は訪日外国人旅行者が日本で使用した金額と、日本人旅行者が海外で使用した金額の差額で、大阪万博開催中の1970年7月以来約44年ぶりの黒字だそうだ。訪日客の増加に伴い旅行収支の黒字は拡大する公算が大きいという。
2014年4月の貿易収支は7804億円の赤字、経常収支は1874億円の黒字だが、前年同月比で76%減っている。発電用のLNGの輸入増加などで貿易赤字はまだまだふえそうだし、過去の蓄えを食いつぶして、経常収支もいずれ赤字になりそうだ。かつての家電のような花形の輸出産業は見通しがたたず、自動車産業も電気自動車の時代になれば部品点数が10分の1近くに激減し、パソコンのように組立産業化して日本からの輸出は激減する恐れがある。観光立国へむけての努力の表れとして、旅行収支の黒字化は喜ばしい。
● 免税対象品も拡大
2013年に1000万人を超えた訪日外国人は今年も順調に増えているようだ。日本政府観光局の発表によると2014年1~6月の訪日外国人は626万人と2013年を130万人あまり上回って過去最高を記録した。昨年低迷した中国からの来訪者が88%増えて100万人を超えたほか、35%増の台湾が130万人超、64%増のタイが33万人、63%増のフィリピンから9万人が来訪した。昨年7月にタイ、マレーシア、ベトナム、フィリピンのビザ発給要件緩和の効果もあったようだし、今年もインドネシア、フィリピン、ベトナム、インドがさらに緩和されるようだ。
2014年10月からは消費税免税品も拡大される。これまで衣料品、かばん、装飾品、家電などの非消耗品に限られていたが飲食料品、や医薬品、化粧品などの消耗品も対象になる。都市部に集中していた免税店も地方のおみやげやにも拡散する。地場産業発展の起爆剤になってほしい、
● 通訳はお客様のために
観光立国に向けて地道な努力が少しずつ成果を上げている中で、通訳が、不必要に難しい「通訳案内士」の試験に合格しないと報酬を得て外国人の観光案内業務を行うことが禁じられているとの報道に驚いた。外国人の添乗員であっても、日本で案内行為をすると違法なのだそうだ。
地方へ来て楽しんで買い物をしてもらうのに難しい専門知識は必要ない。その土地の良さや歴史習慣などを説明できたほうがいいではないか。政府観光局はボランティアのグッドウィル・ガイドを普及しようとしているようだが、“おもてなし”を実感してもらうためにはプロも必要だろう。お客満足の通訳制度が望まれる。
写真は観光客も賑わう東京原宿竹下通り。(執筆者:有元舜治・日本経営管理教育協会監査役 編集担当:水野陽子)
財務省の発表によると、2014今年4月の旅行収支が177億円の黒字になった。旅行収支は訪日外国人旅行者が日本で使用した金額と、日本人旅行者が海外で使用した金額の差額で、大阪万博開催中の1970年7月以来約44年ぶりの黒字だそうだ。訪日客の増加に伴い旅行収支の黒字は拡大する公算が大きいという。
china,column
2014-08-06 16:00