【為替本日の注目点】ロシア欧米の緊張円買いリスクは残る、ECBユーロ行方を左右
NY市場
ドル円はロシアと欧米の緊張の高まりから、引き続き円を買う動きが継続された。NY市場では102円を割り込み、一時101円77銭まで円高に振れた後、102円台まで値を戻して引ける。
ユーロドルは一時1.33台半ばを割り込んだものの、ドル安の流れから1.33台後半まで買い戻される。
株式市場はもみ合いから引けにかけては小幅に反発し、主要指数は揃って前日比プラスで取引を終える。
債券相場はウクライナ情勢を巡る緊迫から続伸し、10年債利回りは5月以来の低さとなる、2.46%台まで低下。
金はドル安を反映し大幅に上昇。1週間振りに1300ドル台を回復。原油は続落し96ドル台に。
6月貿易収支 → -415億ドル
ドル/円 101.77~ 102.77
ユーロ/ドル 1.3339 ~ 1.3387
ユーロ/円 136.16 ~ 136.78
NYダウ +13.87 → 16,443.34ドル
GOLD +22.90 → 1,308.20ドル
WTI -0.46 → 96.92ドル
米10年国債 -0.019 → 2.469%
本日の注目イベント
豪 豪7月雇用統計
独 独6月鉱工業生産
欧 ECB政策金利発表
欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
英 BOE政策金利発表
米 新規失業保険申請件数
米 6月消費者信用残高
ボラティリティーの低さから、株価の下落があったとしてもドル円の下値は限定的と予想していましたが、海外市場では一時102円を割り込み、101円77銭まで円高に振れた場面があったようです。102円を割り込んでからは、ストップロスのドル売りも巻き込んでの下落でしたが、「誤発注」だったとの噂が市場に広がっています。
事実ドル円は僅か5分ほどの間に、102円30銭近辺から101円77銭まで急落しており、この時間帯には特にドルが売られる材料も見当たらなかったことから、「誤発注」の可能性が高いと見られます。ロシアのプーチン大統領が欧米の制裁に対する報復に着手したことで、西側諸国との間に緊張が高まっているのは事実ですが、ストップに巻き込まれた投資家はアンラッキーだったとしか言いようがありません。
米国のヘーゲル国防長官は6日ドイツの記者団に対して、ロシアによるウクライナ侵攻の脅威は「現実」だと語っています。同長官は、「国境に配備された大型軍事機器や、増強された部隊の質の高さを考えれば、それは現実であり、起こりうることだ」と述べています。また、NATO(北大西洋条約機構)も、ロシアが人道支援や平和維持活動という「名目」でウクライナに侵攻するリスクがあるとの見解を示しています。
こういった地政学的リスクだけではなく、ロシアとの経済関係の結びつきが強い欧州では既にその影響が出ていると報道されています。ユーロは対ドルで1.3339まで売られ、さらに対円でも136円台前半まで弱含んでいます。本日のECBの理事会でドラギ総裁がどのような手腕を見せるのかも、今後のユーロの行方を左右します。
ドル円は「誤発注」があったにせよ、これまでのサポートと見られていた「200日線」を下回り、現在はやや値を戻していることから、「120日線」との攻防を見せています。依然として「雲」の上方で推移していることから、ここから101円を目指す可能性は低いと見ていますが、ロシアがウクライナへの侵攻を開始し、さらに軍事衝突に発展するようだと、安全通貨の円がさらに買われるリスクは残っていると考えられます。
昨日の東京時間は、株価が大幅な下落を見せた割にはドル円は堅調でした。ただ、ウクライナを巡る緊張がさらに高まっていることから、本日の日経平均株価が昨日のような大幅な下落を見せるようだと、ドル円も昨日とは異なる動きを見せるかも知れません。引き続き日本の株価の動きと、欧米の株価の行方からは目が離せません。本日のレンジは101円70銭~102円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円はロシアと欧米の緊張の高まりから、引き続き円を買う動きが継続された。NY市場では102円を割り込み、一時101円77銭まで円高に振れた後、102円台まで値を戻して引ける。
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2014-08-07 09:30