TACは第1四半期の減収減益でモミ合い下放れたが、5月安値に接近してほぼ底値圏、反発のタイミング
「資格の学校」を運営するTAC <4319> の株価は、280円~300円近辺でのモミ合いから下放れの形となり、8月8日には249円まで調整した。7月31日発表の第1四半期(4月~6月)の減収減益が影響したようだ。ただし5月の年初来安値230円に接近してほぼ底値圏であり、反発のタイミングだろう。
財務・会計分野(簿記検定・公認会計士など)、経営・税務分野(税理士・中小企業診断士など)、金融・不動産分野(宅建・不動産鑑定士・FPなど)、法律分野(司法試験・司法書士など)、公務員・労務分野(社会保険労務士・国家総合職など)といった幅広い分野で「資格の学校」を運営し、法人研修事業、出版事業、人材事業も展開している。
13年12月には増進会出版社と資本・業務提携した。増進会出版社は子会社のZ会を通じて通信教育事業などを展開している。当社の教室運営ノウハウや資格系コンテンツ開発力と、増進会出版社の通信教育ノウハウや教養系コンテンツ開発力を融合させて、新たなソリューションの提供を目指す方針だ。
14年6月には、神戸市などでレセプト点検・整理業務を中心に医療機関事務部門に特化した人材サービスを展開するクボ医療(兵庫県加古郡)と、医療事務に関する労働者派遣事業・レセプト作成請負業務を展開する医療事務スタッフ関西(兵庫県神戸市)を子会社化した。両社の持つノウハウを活用して医療系の資格取得分野への進出、医療事務関連の人材サービス事業の全国展開を目指す方針だ。
なお当社の四半期業績については季節変動の特徴がある。主な資格講座の本試験は第2四半期(7月~9月)および第3四半期(10月~12月)に集中している。そして公認会計士・税理士講座は試験終了直後の第2四半期および第3四半期が翌年受験のための申込時期となり、第4四半期(1月~3月)および第1四半期(4月~6月)は全コースの申込が出揃う時期となる。このため第2四半期および第3四半期は現金売上および売掛金計上が多いものの、受講期間に応じて前受金に振り替えられる一方で、経費は毎四半期一定額が計上されるため売上総利益率が低下する。これに対して第4四半期および第1四半期は、前受金が各月の売上高に振り替えられる期となるため売上総利益率が上昇する傾向が強い。
7月31日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.2%減の54億04百万円、営業利益が同22.3%減の5億75百万円、経常利益が同29.5%減の5億67百万円、純利益が同30.9%減の3億52百万円だった。受講者数は、個人受講者が同10.8%減の4万5164人、法人受講者が同13.1%減の2万144人、合計で同11.5%減の6万5308人だった。
主力の個人教育事業で前期3月に発生した消費増税前駆け込み申込の反動が目立ち減収だった。金融・不動産分野や公務員・労務分野が堅調だったが、財務・会計分野、経営・税務分野、法律分野が低調だったようだ。売上原価では講師料が減少したが、減収分をカバーできず2桁営業減益だった。
通期の連結業績見通しは前回予想(5月15日公表)を据え置いて、売上高が前期比1.1%減の203億円、営業利益が同1.5%増の10億50百万円、経常利益が同16.9%減の10億80百万円、純利益が同24.7%減の6億15百万円で、配当予想は前期と同額の年間1円(期末一括)としている。前期3月に発生した消費増税前の駆け込み申込の反動で減収となり、事業構造改革効果の一巡などで営業利益は微増益にとどまり、投資有価証券運用益の一巡などで経常利益と純利益は減益見通しとしている。
ただし第2四半期累計(4月~9月)見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が51.2%、営業利益が60.5%、経常利益が58.8%、純利益が63.9%である。四半期変動の影響を考慮しても順調な水準だろう。消費増税前駆け込み申込の反動減は一時的の可能性があり、さらにM&Aやアライアンスの効果なども考慮すれば上振れ余地があるだろう。
今期の重点的な取り組みとしては、新講座の開発(教員試験対策講座の本格開講、建築士講座のさらなる拡大)、増進会出版社との共同事業の推進、新規ビジネスとして連結子会社オンラインスクールによる新たな資格学習者層の開拓・囲い込み、持分法適用関連会社プロフェッションネットワークによる実務家向けビジネスの拡大、そしてコスト削減への継続的取り組みを推進する方針だ。収益は改善基調だろう。
株価の動きを見ると、280円~300円近辺でのモミ合いから下放れの形となり、8月以降は水準を切り下げた。8月8日には249円まで調整した。7月31日発表の第1四半期の減収減益、全般地合い悪化も影響したようだ。ただし5月21日の年初来安値230円に接近してほぼ底値圏だろう。
8月8日の終値251円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円24銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は0.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS224円46銭で算出)は1.1倍近辺である。週足チャートで見ると再び13週移動平均線を割り込んだが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が拡大して売られ過ぎ感も強めている。反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
「資格の学校」を運営するTAC<4319>(東1)の株価は、280円~300円近辺でのモミ合いから下放れの形となり、8月8日には249円まで調整した。
economic
2014-08-11 09:00