拡大する「スパークリング清酒」
若い女性を中心に、発泡性の日本酒、“スパークリング清酒”の人気が高まっている。このスパークリング清酒の分野には、先駆者である一ノ蔵「すず音」をはじめ、宝酒造「澪」、出羽桜酒造「咲(さく)」、越の誉「あわっしゅ」など、さまざまな銘柄が投入されてきており、多様化が進むことで、一過性のブームにとどまらず、日本酒の一分野を拓きそうな勢いがある。
近年の低アルコールニーズに対応し、アルコール度数も4-6度に設定されたものが多く、清酒独自の製法により米本来の甘さを引き出した、すっきりとした甘さが楽しめるタイプが女性に好まれているという。
酒文化研究所では、ここ数年でスパークリング清酒市場が急拡大している理由について、「数年前から増加基調にあった梅酒や柚子酒などの甘酸っぱいリキュール類、また、スパークリングワインのような発泡性の酒類が市場に浸透し、スパークリング清酒を受け入れるだけの下地が整っていたところへ、宝酒造により『澪』が投入され大躍進した効果が大きい。宝酒造のように高品質な商品を安定的に供給・流通させることができる和酒メーカーは少ない。新しいカテゴリーの成長には市場をけん引する商品が不可欠だが、マスコミュニケーションも投下したことで、“スパークリング清酒”というジャンル全体の拡大に貢献したのではないか」と分析している。
酒文化研究所によると、宝酒造の松竹梅・白壁蔵「澪」は、2013年度は前年度比4倍の年間60万ケース(300ml×12)を販売したという。2011年6月から飲食店・百貨店・通販で限定的に販売していたものを、2013年9月には販売ルートを全国のスーパーやコンビニにも拡大し、同年10月からは女優の杏さんを起用した全国テレビCMを放映するなど、積極的な販促を行ったことで、一気に人気を獲得することに成功し、シェア1位となった。またシェア2位の一ノ蔵「すず音」も約11万ケースを販売し、2013年度実績は前年度比6.2%プラスとなった。
現在、スパークリング清酒の市場は、国内清酒市場の1%未満にとどまり、今後、大きく成長する余地があるという。酒文化研究所では「体験的に発泡性の飲料に慣れてしまうと、ノンガスには戻れなくなるという傾向がある。たとえば、ウイスキーハイボールに馴染むと水割りにしたくなくなる」として、スパークリング清酒の成長に期待。今後、注目される銘柄として、「人気一瓶内発酵 スパークリング純米吟醸」(人気酒造・福島県)、「六歌仙純米ひととき」(六歌仙・山形県)などを挙げている。(編集担当:八木大洋)
若い女性を中心に、発泡性の日本酒、“スパークリング清酒”の人気が高まっている。このスパークリング清酒の分野には、先駆者である一ノ蔵「すず音」をはじめ、宝酒造「澪」、出羽桜酒造「咲(さく)」、越の誉「あわっしゅ」など、さまざまな銘柄が投入されてきており、多様化が進むことで、一過性のブームにとどまらず、日本酒の一分野を拓きそうな勢いがある。
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2014-08-12 16:00