アルコニックスは指標面に依然として割安感、自律調整を経て上値試す
非鉄金属専門商社のアルコニックス <3036> の株価は、1月高値1212円突破して上げ足を速め、08年高値1337円50銭を突破して8月5日の1704円まで上値を伸ばした。第1四半期(4月~6月)業績発表後は材料出尽くし売りが優勢となって8月8日の1450円まで一旦反落したが、8月11日と12日には切り返しの動きを強めている。指標面には依然として割安感があり、自律調整を経て上値を試す展開だろう。
軽金属・銅製品(伸銅品、銅管、アルミフィンなど)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う専門商社で、特にレアメタル・レアアースに強みを持っている。
積極的なM&A戦略で、13年1月金属・化成品メーカーの米ユニバーティカル社、13年3月アルミスクラップ販売の大阪アルミセンター、13年4月産業機械用精密加工部品メーカーの大羽精研を子会社化した。さらに14年4月には、住宅建設関連資材の設計・製造・販売を手掛けるケイ・マックに追加出資して持分法適用関連会社とした。
8月5日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.7%増の484億04百万円、営業利益が同16.9%減の9億61百万円、経常利益が同58.1%増の17億13百万円、純利益が同5.3%減の13億05百万円だった。自動車関連やスマホ関連の好調が牽引して増収、円安に伴う輸入取引の利益減少で営業減益、営業外収益でのケイ・マックの持分法投資利益計上で経常増益、前期計上の負ののれん発生益の一巡で最終減益だった。
主要セグメントの動向を見ると、軽金属・銅製品は伸銅品や加工品の取引量増加、大羽精研の売上増加、ケイ・マックの持分法投資利益計上などで売上高が同11.0%増の186億67百万円、経常利益(全社費用等調整前)が同2.4倍の11億50百万円だった。電子・機能材は、ハイブリッド車の需要増加に伴うレアメタル・レアアースの取り扱い回復などで売上高が同4.6%増の185億44百万円だったが、経常利益は前年同期の円安要因の利益が一巡して同3.8%減の5億04百万円だった。非鉄原料、建設・産業資材は増収だったが、円安に伴う輸入取引の採算悪化で減益だった。
通期の連結業績見通しは前回予想(5月16日公表)を据え置いて売上高が前期比12.1%増の2060億円、営業利益が同3.3%増の36億円、経常利益が同16.7%増の42億円、純利益が同7.8%減の29億円としている。配当予想については7月4日に増額修正して年間36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。14年8月1日付の株式2分割を考慮して前期の年間65円を32円50銭に換算すると、実質的に前期比3円50銭増配となる。
セグメント別売上高の計画は、軽金属・銅製品が輸出取引の好調に連結子会社群も寄与して同4.6%増の790億円、電子・機能材がレアメタル・レアアースの底打ちや米ユニバーティカル社の寄与などで同32.3%増の870億円、非鉄原料は輸入アルミ原料の低迷で同5.5%減の310億円、建設・産業資材は同6.8%減の90億円としている。
純利益は負ののれん発生益一巡で減益見込みだが、M&Aも寄与して自動車関連を中心に輸出取引や海外取引が拡大基調であり、自動車関連やスマホ関連の好調が牽引して増収、営業増益、経常増益見込みだ。営業外収益でのケイ・マックの持分法投資利益も寄与する。レアメタル・レアアースについては軽希土類の需要が回復に転じており、重希土類も来期(16年3月期)には在庫調整が終息して回復に向かう見込みとしている。今期会社見通しはやや保守的で上振れ余地があり、好業績が期待されるだろう。
14年5月に発表した新中期経営計画(15年3月期~17年3月期)では経営目標値として、17年3月期経常利益50億円超、純利益35億円超、ROE13~15%程度、NETDER1.0~1.3倍程度を掲げ、3年間の投融資総額はM&Aを中心に150億円の計画としている。
重点戦略としては、電子材料分野では原料(レアメタル・レアアース)から製品(電子材料・機能材料)までを網羅したビジネスモデルの展開、環境対応関連分野では省エネ・環境対応素材からリサイクル事業まで幅広く国内外での積極展開、海外事業展開では地場取引や三国間ビジネスの拡大および海外ネットワークの充実、そして新規投融資の積極推進に取り組む方針だ。
株価の動き(14年8月1日付で株式2分割)を見ると、4月~5月の直近安値圏1000円近辺で下値固めが完了して反発し、1月高値1212円突破後は上げ足を速めてほぼ一本調子に上伸した。そして08年の高値1337円50銭を突破して8月5日の1704円まで上値を伸ばした。第1四半期業績発表後は材料出尽くし売りが優勢となって8月8日に1450円まで調整したが、8月11日と12日には切り返しの動きを強めている。
8月12日の終値1505円を指標面(株式2分割後)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS228円04銭で算出)は6~7倍近辺、今期予想配当利回り(年間36円で算出)は2.4%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮した連結BPS1638円21銭で算出)は0.9倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んで目先的には一旦調整局面だが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。指標面には依然として割安感があり、短期的な自律調整を経て上値を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
非鉄金属専門商社のアルコニックス<3036>(東1)の株価は、1月高値1212円突破して上げ足を速め、08年高値1337円50銭を突破して8月5日の1704円まで上値を伸ばした。
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2014-08-13 09:30