川崎近海汽船は売りほぼ一巡、反発のタイミング

  川崎近海汽船 <9179> (東2)の株価は、6月20日高値363円まで上伸したが、利益確定売りで反落し、7月31日発表の第1四半期(4月~6月)の営業赤字も嫌気して8月12日の315円まで調整した。ただし310円台では下げ渋り感を強めている。第1四半期営業赤字を嫌気した売りはほぼ一巡した可能性があり、指標面の割安感を支援材料として反発のタイミングだろう。   石炭・木材・鋼材輸送などの近海部門と、石炭・石灰石・紙製品・農産品輸送やフェリー輸送などの内航部門、その他事業(北海道地区における不動産賃貸事業など)を展開している。   14年4月に発表した中期経営計画では、目標値として17年3月期売上高490億円(近海部門180億円、内航部門310億円)、営業利益37億50百万円(近海部門4億円の赤字、内航部門41億50百万円)、経常利益37億円、純利益24億円、新造船建造等に対する3年間総額の投資額135億円を掲げている。近海部門では船隊大型化、バルク輸送の船隊整備、内航部門では不定期船輸送の船隊整備などを推進する方針だ。   また中期成長に向けた新規分野として、13年10月にオフショア・オペレーションと均等出資で合弁会社オフショア・ジャパンを設立し、日本近海における海洋資源開発・探査・掘削設備、および洋上再生可能エネルギー設備に関わるオフショア支援船業務に進出している。さらにLNG輸送分野への参入も検討しているようだ。   7月31日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.2%増の111億91百万円、営業利益が56百万円の赤字(前年同期は1億59百万円の黒字)、経常利益が70百万円の赤字(同1億85百万円の黒字)、純利益が64百万円の赤字(同1億52百万円の黒字)だった。近海部門の市況低迷に加えて、所有船のドック入りが集中したため修繕費が増加した。   セグメント別に見ると、近海部門は売上高が同4.8%増の42億93百万円、営業利益(全社費用等調整前)が3億02百万円の赤字(同1億37百万円の赤字)だった。バルク輸送の輸送量増加などが牽引して増収だったが、市況低迷の影響で営業赤字が拡大した。内航部門は売上高が同0.8%増の68億96百万円、営業利益が同14.1%減の2億46百万円だった。石灰石や石炭の専用船が安定稼働を維持したが、所有船のドック入りが集中したため修繕費増加で営業減益だった。   通期の連結業績見通しは前回予想(4月30日公表)を据え置いて売上高が前期比4.1%増の475億円、営業利益が同5.2%増の21億円、経常利益が同0.4%増の20億円、純利益が同2.4倍の13億円で、配当予想は同1円増配の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。純利益は前期計上した船舶売却損失や保有船舶減損損失といった特別損失の一巡も寄与する。   近海部門では石炭・セメントなどのバルク輸送、内航部門では石灰石・石炭などの専用船輸送やRORO船定期航路が堅調に推移し、船舶量適正化や運航コスト削減なども寄与して燃料油価格の上昇などを吸収する。世界的な景気回復などで近海部門の市況が上向くことも期待される。第1四半期にドック入りが集中して修繕費が増加した影響は一時的だろう。なお想定為替レートは1米ドル=105円(前期実績は1米ドル=99円52銭)としている。   株価の動きを見ると、6月中旬に動意付いて290~310円近辺のモミ合い展開から上放れ、1月高値338円、13年11月高値347円を一気に突破して6月20日の363円まで上伸した。その後は利益確定売りで反落し、7月31日発表の第1四半期営業赤字も嫌気して8月12日の315円まで調整した。ただし310円台では下げ渋り感を強めている。第1四半期営業赤字を嫌気した売りはほぼ一巡した可能性があるだろう。   8月12日の終値315円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円28銭で算出)は7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は3.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS759円73銭で算出)は0.4倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線が戻りを押さえる形となって目先的には調整局面だが、週足チャートで見ると26週移動平均線に接近してサポートラインとなりそうだ。指標面の割安感を支援材料として反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
川崎近海汽船<9179>(東2)の株価は、6月20日高値363円まで上伸したが、利益確定売りで反落し、7月31日発表の第1四半期(4月~6月)の営業赤字も嫌気して8月12日の315円まで調整した。
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2014-08-13 09:30