「健康都市」建設促進に21世紀のビジネスチャンスあり

日本経営管理教育協会が見る中国 第319回--坂本晃(日本経営管理教育協会特別顧問) ● 「健康都市」とは都市に住む人の健康を守り、生活の質を向上させる概念   自給自足をベースにできる農村と異なり、二次産業中心の製造業時代、三次産業中心のサービス業時代は多くの人々を都市生活をベースにせざるをえない時代になった。今後の生命科学を基礎にする経済構造でも、その傾向は継続しよう。   人々は、胎児の時代から生命を閉じるまでの期間にわたり100年近く、一世紀近くにわたり、その持てる心臓を働き続けせけなければならない。何らかの病気といわれる時期を除き、健康状態を継続する必要がある。   多くの人々が近接して居住し、かつ何らかの仕事をして経済的な報酬を得ることが必要な都市生活で、個人が健康状態を継続するためには、それなりの知恵が必要である。そこで生まれた「健康都市」という概念は、都市に住む人の健康を守るために生まれてきた。生活の質の絶え間ない向上も基本的な欲望といえよう。 ● 健康都市連合の現状   現在世界の人口は約72億人、将来は90億人という予測もある。その人々が平和に、生涯を幸福に送るための知恵として、世界をひとつにした政府というか行政機関を理想としているが、21世紀前半では、せいぜい国際連合という組織で我慢している。   その国際連合のひとつの専門機関として世界保健機関WHOがある。世界保健機関憲章第1条は「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」である。現在の具体的な活動としては伝染病の予防などが中心である。   健康都市連合日本支部のホームページによると、健康都市連合は、世界保健機関西太平洋地域事務局の呼びかけで2003年に創設された。   健康都市連合は、都市に住む人の健康を守り、生活の質を向上させるため健康都市に取り組んでいる都市のネットワークを広げることで、各都市の経験を生かしながら、国際的な協働を通して健康都市の発展のための知識や技術を開発することを目的としている。   2013年7月現在で10カ国から152都市45団体が加盟しており、日本からは東京都台東区、市川市、名古屋市など28都市6団体が加盟している。   加盟した都市は、健康都市建設を目指すことを宣言し、行政が担当するすべての業務の基礎概念になっていよう。近年では医療費増大に対応するために地域住民を含めて推進する動きが見られる。 ● 健康都市建設促進で成長するビジネス   私たちは、戸建て住宅、集合住宅を問わず、住宅、自宅以外の何らかの建物、事務所、工場、学校、商業施設などの建築物で、人生の多くの時間を過ごす。この建築物が健康を害することは嫌われようし、より健康的でかつ建設から廃棄にいたるまで環境に優しいことが求められている。   その建築物がどのように配置され、相互に連携するのかの基本は都市計画と呼ばれる。人々や物資が移動するためには、道路や自動車が必要だ。高速で経済的で環境にもよい鉄道は都市内外で必須である。   製造業などがもたらす健康への影響は、従事者、周辺に住む住民を含めて可能な限り少なくすることが求められる。   健康にもっと直接的に影響するのは、医療や介護である。人々は健康を維持し、人生を楽しむ基本的な権利を有している。まして理由の如何を問わず他人の生命を奪うことは許されることではない。ものやことへの欲望は限りがないともいえるが、限度があろう。しかし生きることへの欲望は、生命科学を通じて満たされることは永遠に求められよう。ここに21世紀のビジネスチャンスの基本があるといえる。   写真は2012年6月北京での国際シンポジウム。(執筆者:坂本晃・日本経営管理教育協会特別顧問 編集担当:水野陽子)   
「健康都市」とは都市に住む人の健康を守り、生活の質を向上させる概念:自給自足をベースにできる農村と異なり、二次産業中心の製造業時代、三次産業中心のサービス業時代は多くの人々を都市生活をベースにせざるをえない時代になった。今後の生命科学を基礎にする経済構造でも、その傾向は継続しよう。
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2014-08-13 14:15