リンテックは13年10月高値を突破、好業績を評価して上げ足速める可能性
粘着製品大手のリンテック <7966> の株価は、3月の年初来高値2070円を突破して7月31日2129円まで上伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが、8月6日発表の第1四半期(4月~6月)業績を好感して切り返し、8月13日に2160円を付けて13年10月高値2157円を突破した。好業績を評価する流れに変化はなく上げ足を速める可能性があるだろう。11年2月の高値2464円が当面のターゲットとなりそうだ。
高度な粘着応用技術と表面改質技術(粘着剤や表面コート剤の開発・配合・塗工技術)に強みを持ち、印刷材・産業工材関連(シール・ラベル用粘着フィルム、ウインドーフィルム、太陽電池用バックシート、自動車用・工業用特殊粘着製品など)、電子・光学関連(半導体製造用粘着テープ、タッチパネル用シート材、液晶用偏光・位相差フィルム粘着加工など)、洋紙・加工材関連(カラー封筒用紙、粘着製品用剥離紙・剥離フィルム、炭素繊維複合材料用工程紙など)の分野に幅広く事業展開している。
14年3月に発表した新中期経営計画「LIP-2016」では、重点テーマをグローバル展開のさらなる推進、次世代を担う革新的新製品の創出、強靭な企業体質への変革、戦略的M&Aの推進、人財の育成とした。目標数値としては17年3月期売上高2400億円、営業利益200億円、経常利益200億円、純利益130億円、売上高営業利益率8%以上、ROE8%以上を掲げた。セグメント別目標数値は、印刷材・産業工材関連が売上高1025億円、営業利益57億円、電子・光学関連が売上高943億円、営業利益88億円、洋紙・加工材関連が売上高432億円、営業利益55億円としている。
次世代を担う革新的新製品の創出では、米テキサス大学ダラス校と共同開発してきたカーボンナノチューブ(CNT)を薄いシート状に加工する新技術の16年度中の実用化に向けて、米国テキサス州に研究開発拠点NSTCを設立した。従来手法に比べて100分の1から1万分の1という極めて薄いCNTシートを生成することが可能な技術で、電気自動車用蓄電装置の電極材料への活用などを想定している。
8月6日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.2%増の493億22百万円、営業利益が同32.4%増の39億75百万円、経常利益が同16.6%増の40億20百万円、純利益が同17.7%増の27億97百万円だった。自動車関連などの好調が牽引して大幅増益だった。
セグメント別動向を見ると、印刷材・産業工材関連は売上高が同3.7%増の208億86百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同84.7%増の8億41百万円だった。シール・ラベル用粘着製品や自動車用粘着製品などが好調だった。
電子・光学関連は売上高が同8.9%増の190億26百万円、営業利益が同70.0%増の22億04百万円だった。半導体関連粘着テープ、積層セラミックコンデンサー製造用コートフィルム、液晶ディスプレイ関連粘着製品などが好調だった。洋紙・加工材関連は売上高が同1.4%増の94億09百万円、営業利益が同31.2%減の9億11百万円だった。航空機用炭素繊維複合材料用工程紙などが伸長したが、合成皮革用工程紙が中国の市況低迷の影響を受けたようだ。
通期の連結業績見通しは前回予想(5月8日公表)を据え置いて売上高が前期比3.3%増の2100億円、営業利益が同16.2%増の160億円、経常利益が同17.7%増の155億円、純利益が同23.5%増の105億円で、配当予想は同2円増配の年間44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。自動車関連やスマホ関連の好調が牽引し、利益面ではプロダクトミックス改善やコスト削減なども寄与する。想定為替レートは1米ドル=98円としている。
セグメント別の計画を見ると、印刷材・産業工材関連は売上高が同5.6%増の911億円、営業利益が同70.3%増の39億円で、自動車関連粘着製品の好調が牽引する。電子・光学関連は売上高が同0.5%増の795億円、営業利益が同5.2%増の72億円で、半導体関連や積層セラミックコンデンサー関連が好調だ。洋紙・加工材関連は売上高が同4.1%増の394億円、営業利益が同5.5%増の49億円で、航空機向け炭素繊維複合材料用工程紙が好調に推移する。
通期見通しに対する第1四半期の進捗率は、売上高が23.5%、営業利益が24.9%、経常利益が25.9%、純利益が26.6%と概ね順調な水準である。自動車関連やスマホ関連が引き続き好調であり、世界的な景気回復も背景として通期上振れの可能性があるだろう。
株価の動きを見ると、3月の年初来高値2070円を突破して7月31日の2129円まで上伸した。利益確定売りで8月6日の1982円まで一旦反落したが、8月6日発表の第1四半期業績を好感して素早く切り返し、8月13日に2160円を付けて13年10月高値2157円を突破した。好業績を評価する動きだろう。
8月13日の終値2155円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS145円57銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間44円で算出)は2.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2100円87銭で算出)は1.0倍近辺である。日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を素早く回復した。また週足チャートで見ると8月上旬の一時的な調整は13週移動平均線がサポートする形となった。好業績を評価する流れに変化はなく、13年10月高値を突破したことで上げ足を速める可能性があるだろう。11年2月の高値2464円が当面のターゲットとなりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
粘着製品大手のリンテック<7966>(東1)の株価は、3月の年初来高値2070円を突破して7月31日2129円まで上伸した。
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2014-08-14 09:15