日本ライフラインは中期成長力を評価する流れに変化なく、6月の戻り高値試す

  医療機器輸入商社の日本ライフライン <7575> (JQS)の株価は、5月安値圏の610円台で下値固めが完了して切り返し、6月24日の892円まで急伸した。その後は利益確定売りで反落し概ね750円~800円近辺で推移している。ただし中期成長力を評価する流れに変化なく、6月戻り高値を試す展開だろう。高配当利回りや低PBRも支援材料だ。   心臓ペースメーカやカテーテルなど心臓循環器領域を中心とする医療機器輸入商社で、国内を網羅する販売代理店ネットワークを構築している。商社機能に加えて、グループ内子会社にメーカー機能を併せ持っていることも強みだ。   主力製品は、心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)などのリズムディバイス部門、EPカテーテル、アブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、高周波心房中隔穿刺針などのEP/アブレーション部門、人工心臓弁、人工血管、ステントグラフトなどの外科関連部門、バルーンカテーテル、ガイドワイヤーなどのインターベンション部門、および血液浄化関連などのその他部門である。   メーカー機能の強化に向けて、09年に人工血管などを製造するJUNKEN MEDICAL社、10年にガイドワイヤーなどを製造するSYNEXMED社(香港)を子会社化した。採算性の高い自社製品の売上構成比上昇に向けて生産体制を一段と強化する方針で、14年10月には新工場となる小山ファクトリー(栃木県小山市)の稼動を予定している。   7月31日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比1.8%増の59億86百万円、営業利益が同57.4%減の1億48百万円、経常利益が同54.7%減の1億75百万円、純利益が同91.8%減の15百万円だった。新商品の好調などで増収だったが、販管費の増加などで営業減益だった。純利益は固定資産除却損計上なども影響した。   品目別売上高を見ると、保険償還価格引下げの影響などでリズムディバイス(同44.3%減の10億77百万円)とインターベンション(同8.1%減の6億24百万円)が減収だったが、新商品の好調などでEP/アブレーション(同37.0%増の26億98百万円)と外科関連(同28.8%増の13億34百万円)が大幅増収だった。   通期の連結業績見通しは前回予想(5月2日公表)を据え置いて、売上高が前期比4.8%増の255億39百万円、営業利益が同11.7%減の10億76百万円、経常利益が同19.1%減の10億81百万円、そして純利益が4億91百万円(前期は2億02百万円の赤字)、配当予想は前期と同額の年間25円(期末一括)としている。EP/アブレーションと外科関連の拡大が牽引して増収、薬事関連費用の増加で営業減益、経常減益、前期計上の特別損失一巡や小山ファクトリー稼動に伴う助成金が寄与して最終黒字化の見込みだ。   品目別売上高の計画は、リズムディバイスはペースメーカ関連が減少して同12.7%減の57億72百万円、EP/アブレーションはEPカテーテルや高周波心房中隔穿刺システムが好調で同16.4%増の104億97百万円、外科関連は人工血管の好調や新商品のオープンステントグラフトが寄与して同12.0%増の51億87百万円、インターベンションはバルーンカテーテルが減少して同6.7%減の26億29百万円、その他は同12.3%増の14億52百万円としている。自社製品売上高は同9.9%増の112億95百万円の計画で、売上構成比(単体ベース)は47.4%の見込みだ。   新商品に関しては、4月にバルーンカテーテルで初の自社製品となる「canPass」の販売を開始し、8月には心臓ペースメーカ新商品「REPLY200」の販売を開始した。また第2四半期(7月~9月)には、外科関連で国内オンリーワン製品(国内唯一の開胸手術用)となる自社製品「J-Graftオープンステントグラフト」の販売を開始する。   第4四半期(1月~3月)には、MRI(磁気共鳴画像)検査対応の心臓ペースメーカ「KORA」、およびICD関連の「INTENSIA」の上市を目指している。来期(16年3月期)はアブレーションのイリゲーション機能付き新製品の上市を目指し、15年春には子会社ハートブレーンがAED(自動体外式除細動器)の販売開始を予定している。   今期は保険償還価格改定で、特に心臓ペースメーカで主要モデルの引き下げ幅が17.3%と大きいため売上面で影響を受ける。ただし収益性の高い自社製品の拡販、高周波心房中隔穿刺システムや胸部用ステントグラフトなど前期販売開始した新商品の数量増加、そして今期販売開始の新製品も寄与して増収見込みだ。   利益については、増収効果、自社製品比率上昇に伴うプロダクトミックス改善効果、原価低減効果などで売上総利益は増加するが、来期以降の新商品導入に係る薬事関連費用(治験費用、検査費、支払手数料)の増加で営業利益と経常利益は減益見込みとしている。リズムディバイスは輸入商品が中心だが、概ね円建て取引のため為替リスクは小さいとしている。   中期目標数値として19年3月期売上高351億円、営業利益率10%以上を掲げ、メーカー機能と商社機能を併せ持つ強みを活かして各分野の商品ラインナップ充実で成長を目指すとしている。コアビジネスは輸入商品中心のリズムディバイスから、自社製品中心のEP/アブレーションおよび外科関連へシフトするようだ。中期的に収益拡大基調だろう。   株価の動きを見ると、5月安値圏の610円台で下値固めが完了して切り返し、胸部大動脈瘤を患者に負担をかけずに治療できる人口血管を開発したとの一部報道を材料視して6月24日の892円まで急伸した。その後は利益確定売りで反落し、概ね750円~800円近辺で推移している。   8月13日の終値760円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS45円52銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は3.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1354円09銭で算出)は0.6倍近辺である。週足チャートで見ると6月の戻り高値で長い上ヒゲを付けて反落したが、その後も26週移動平均線を維持して下値を切り上げている。中期成長力を評価する流れに変化はなく、6月戻り高値を試す展開だろう。高配当利回りも支援材料だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
医療機器輸入商社の日本ライフライン<7575>(JQS)の株価は、5月安値圏の610円台で下値固めが完了して切り返し、6月24日の892円まで急伸した。
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2014-08-14 09:15