インフォコムは第1四半期の営業赤字に対する売り一巡感、反発のタイミング
ITソリューションやコンテンツ配信などのインフォコム <4348> (JQS)の株価は、7月22日に1092円まで上伸して1月高値1052円を突破し、13年10月高値1124円に接近した。その後は第1四半期(4月~6月)の営業赤字を嫌気する形で8月1日に885円まで急落したが、足元は900円台前半で推移して一巡感を強めている。反発のタイミングだろう。
企業向けITソリューションを提供するITサービス、一般消費者向け各種デジタルコンテンツを提供するネットビジネスを展開している。業容拡大に向けてM&Aや戦略的アライアンスも積極活用し、13年9月に医薬品業界のCRM事業強化に向けてミュートスと合弁会社インフォミュートスを設立し、BCP(事業継続計画)分野のビジネス拡大に向けて危機管理関連ソリューションを手掛ける江守グループHD<9963> との協業を開始した。
グループ会社の統合や業務移管も進めている。14年3月にはEC事業の運営効率化に向けて子会社アムタスグループ内での事業再編を発表した。食品EC事業を展開する持分法適用関連会社のドゥマンを連結子会社化し、連結子会社のイー・ビー・エス(EBS)が展開するアパレルEC事業をドゥマンへ譲渡して事業統合した。また7月31日には連結子会社(孫会社)である米国SYSCOMの株式譲渡(15年2月株式引き渡し予定)を発表した。
中期経営計画では、目標数値として17年3月期売上高550億円、営業利益50億円を掲げている。ITサービスでの医療機関・製薬企業向けヘルスケア事業、Web-ERPソフト「GRANDIT」事業、そしてネットビジネス(電子書籍配信サービスやソーシャルゲーム)を重点3事業として、クラウドサービス関連、ソーシャルメディア関連、ビッグデータ領域のデータサイエンス関連、農業IT化関連、海外展開なども強化する方針だ。
06年開始のスマートフォン・フィーチャーフォン向け電子コミック配信サービス「めちゃコミック」は13年8月から各携帯キャリア公式サービス1位を独占し、ネットビジネスを分社化して設立したアムタスは13年11月にマルチデバイス対応の新たな電子書籍配信サービス「ekubostore(エクボストア)」も開始した。電子書籍配信サービスは前期(14年3月期)売上高が100億円を超える規模に成長している。
7月31日にはアムタスの子会社でソーシャルゲーム開発のイストピカが、ディー・エヌ・エー <2432> が運営するモバゲー向けのソーシャルゲーム「黒執事Cinematic Card Collection」の配信を開始した。6月27日から1ヶ月で約5万人が事前登録している。
8月4日には、アムタスが運営する電子書籍配信サービスで14年7月度の月間売上高が10億円に達したと発表している。また「めちゃコミック」における月間サイト来訪ユニークユーザー数は14年7月実績で500万人を超えているようだ。
7月31日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.2%減の81億99百万円、営業利益が2億26百万円の赤字(前年同期は3億40百万円の黒字)、経常利益が2億16百万円の赤字(同3億33百万円の黒字)、純利益が2億49百万円の赤字(同1億96百万円の黒字)だった。
セグメント別に見ると、ITサービスは売上高が同9.3%減の47億65百万円、営業利益が3億45百万円の赤字(同80百万円の黒字)だった。ヘルスケア事業が消費増税の反動減や、前年同期の売上・利益押し上げ要因となった事業譲受による効果一巡などで減収減益だった。ネットビジネスは売上高が同9.6%増の34億33百万円、営業利益が同54.0%減の1億18百万円だった。電子書籍配信サービスが好調で増収だったが、利益面ではゲームなど新規サービスの収益化が遅れたようだ。
通期の連結業績見通しは前回予想(4月24日公表)を据え置いて売上高が前期比9.9%増の430億円、営業利益が同8.8%増の40億円、経常利益が同8.5%増の40億円、純利益が同12.6%増の23億円で、配当予想は同1円増配の年間18円50銭(期末一括)としている。
セグメント別の計画は、ITサービスではヘルスケア事業とGRANDIT事業の拡大で売上高が同4.1%増の270億円、営業利益が同6.3%増の30億円、ネットビジネスでは電子書籍配信サービスを軸とする業容拡大で売上高が同21.1%増の160億円、営業利益が同17.8%増の10億円としている。第1四半期はヘルスケア事業における一時的要因や、新規サービスにおける収益化遅れが影響して営業赤字だったが、通期ベースでは重点分野の一段の業容拡大で好業績が期待されるだろう。
7月31日に株主優待制度の導入を発表した。毎年9月30日現在で1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株数と保有年数に応じて、連結子会社ドゥマンが運営する食品などの通信販売サイト「オーガニックサイバーストア」で利用可能なポイント(1ポイントを1円として利用)を贈呈する。たとえば保有株数1000株以上で保有年数3年以上の場合は6000ポイントを贈呈する。14年9月30日時点で1単元(100株)以上保有株主を対象として開始する。
株価の動き(13年10月1日付で株式200分割)を見ると、800円近辺で下値を固めて切り返しの展開となった。そして7月22日に1092円まで上伸して14年1月高値1052円を突破し、13年10月高値1124円に接近した。その後は第1四半期の営業赤字を嫌気する形で8月1日に885円まで急落したが、足元は900円台前半で推移して売り一巡感を強めている。
8月14日の終値927円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS84円13銭で算出)は11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円50銭で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS698円41銭で算出)は1.3倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んで調整局面だが、週足チャートで見ると13週移動平均線近辺で下げ渋り感を強めている。サポートラインを確認した形であり、売りが一巡して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
ITソリューションやコンテンツ配信などのインフォコム<4348>(JQS)の株価は、7月22日に1092円まで上伸して1月高値1052円を突破し、13年10月高値1124円に接近した。
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2014-08-15 09:00