日本エム・ディ・エムは急騰した6月高値から反落したが調整一巡感、反発のタイミング
医療機器商社の日本エム・ディ・エム <7600> の株価は、2件の薬事承認を好感して急騰した6月高値457円から反落したが、足元は概ね330円~350円近辺で推移して調整一巡感を強めている。収益改善基調や低PBRを評価して反発のタイミングだろう。
人工関節製品、脊椎固定器具、骨接合材料など整形外科分野を主力とする医療機器商社である。ジョンソン・エンド・ジョンソンとの販売契約が13年3月期に終了したが、米国子会社オーソデベロップメント(ODEV)社製品の拡販と、自社製品比率上昇による原価率改善効果で収益改善基調を鮮明にしている。米ODEV社製の人工膝関節製品は中国でも薬事承認を取得しており、高齢化社会到来を背景として中期的に収益拡大が期待される。
13年11月に米ODEV社製の人工膝関節新製品「BKS-Momentum」および「E-Vitalize」が米国食品医薬品局(FDA)薬事承認を取得し、14年1月から米国で販売を開始した。日本では14年5月から人工膝関節新製品「BKSオフセットティビアルトレイ」の販売を開始した。14年6月には米ODEV社製の人工股関節大腿骨ステム「OVATION Tributeヒップシステム」およびステムヘッド「ODEV BIOLOX deltaセラミックヘッド」の薬事承認を取得し、14年9月から販売予定としている。また米ODEV社は人口膝関節新製品「KASM」について米FDAの薬事承認を取得して販売を開始した。
7月30日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比28.5%増の26億32百万円、営業利益が2億39百万円(前年同期は27百万円の赤字)、経常利益が1億98百万円(同67百万円の赤字)、純利益が1億11百万円(同66百万円の赤字)だった。米ODEV社製の人工関節製品などが好調に推移し、自社製品比率上昇による売上原価率低下で大幅増益だった。自社製品売上高比率は79.8%となり同5.9ポイント上昇した。売上原価率は27.6%となり同3.0ポイント改善した。
セグメント別売上高を見ると、日本は同27.7%増の17億99百万円だった。償還価格引き下げの影響を受けたものの、米ODEV社製の人工関節製品や、自社開発製品を核とした骨接合材料製品および脊椎固定器具製品が好調だった。米国は米ODEV社製の人工関節製品が好調で同30.1%増の8億32百万円だった。分野別の売上高は人工関節分野(日本と米国の合計)が同27.4%増の16億53百万円、骨接合材料分野(日本)が同38.1%増の6億37百万円、脊椎固定器具分野(日本と米国の合計)が同21.4%増の2億21百万円だった。
7月30日には第2四半期累計(4月~9月)連結業績見通しを増額修正した。売上高は2億80百万円増額して前年同期比22.3%増の51億円、営業利益は2億円増額して同7.0倍の3億円、経常利益は2億10百万円増額して2億10百万円(前年同期は45百万円の赤字)、純利益は1億30百万円増額して1億20百万円(同20百万円の赤字)とした。
通期の連結業績見通しは前回予想(4月30日公表)を据え置いて売上高が前期比11.0%増の105億円、営業利益が同39.1%増の9億20百万円、経常利益が同47.1%増の7億円、純利益が同39.5%増の4億円、配当予想は前期と同額の年間5円(期末一括)としている。
米ODEV社製の人工股間接製品「オベーションヒップシステム」、米ODEV社製の脊椎固定器具「Pogadaスパイナルシステム」、当社と米ODEV社が共同開発した骨接合材料製品「MODE」、前期から販売開始した「MDMプリマヒップスクリューシステム」などの販売が好調に推移し、今期投入の新製品も寄与する。自社製品比率上昇による売上原価率改善効果で大幅増益見込みだ。自社製品比率の計画は前期比6.5ポイント上昇の80.9%で、想定為替レートは1米ドル=102円としている。
通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が25.1%、営業利益が26.0%、経常利益が28.3%、純利益が27.8%と概ね順調な水準である。売上原価率が改善基調であることも考慮すれば、通期業績にも増額余地があるだろう。
株価の動きを見ると、6月23日発表の2件の薬事承認を好感して6月25日の457円まで急騰し、13年11月高値395円を一気に突破した。その後は利益確定売りで反落し、8月8日には322円まで調整する場面があったが、足元は概ね330円~350円近辺で推移して調整一巡感を強めている。
8月14日の終値342円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS15円12銭で算出)は22~23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS417円65銭で算出)は0.8倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んで調整局面だが、週足チャートで見ると上向きに転じた13週移動平均線が接近して下げ止まりの動きを強めている。調整が一巡した形であり、収益改善基調や低PBRを評価して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
医療機器商社の日本エム・ディ・エム<7600>(東1)の株価は、2件の薬事承認を好感して急騰した6月高値457円から反落したが、足元は概ね330円~350円近辺で推移して調整一巡感を強めている。
economic
2014-08-15 09:00