生化学工業は調整一巡して反発のタイミング

 関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業 <4548> の株価は、7月上旬の1300円近辺まで切り返したが、その後は上値が重くなり、第1四半期(4月~6月)の大幅減益も嫌気する形で水準を切り下げ、8月8日には1166円まで調整した。ただし足元では下げ渋り感を強め、8月15日には1200円台を回復する場面があった。第1四半期は大幅減益だったが通期見通しに対して高進捗率であり、調整が一巡して反発のタイミングだろう。  国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景にアルツおよびジェル・ワンの需要拡大が期待される。  09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞っている。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の適応症追加SI-657、変形性膝関節症改善剤SI-613、ドライアイ治療剤SI-614、関節リウマチ治療剤SI-615などがある。SI-6603は14年1月に国内で製造販売承認申請した。米国では実施中の第Ⅲ相臨床試験の進捗に注力する。SI-614は14年5月に米国での第Ⅱ・Ⅲ相臨床試験を開始している。  7月31日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比0.9%減の75億77百万円、営業利益が同44.4%減の11億87百万円、経常利益が同33.9%減の15億49百万円、純利益が同41.5%減の12億51百万円だった。国内での薬価改定の影響、前年同期が高水準だった海外向けの反動減、減価償却費や研究開発費の増加、前年同期に計上した特別利益の一巡などで大幅減益だった。  セグメント別売上高を見ると国内医薬品は同3.4%増の45億60百万円だった。関節機能改善剤アルツは市場全体が伸び悩む中で薬価改定も影響したが、医療機関納入本数が同2.3%増加し、販売提携先への前倒し出荷も寄与して増収だった。眼科手術補助剤オペガンは薬価引下げで減収、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは増収だった。  海外医薬品は同31.3%減の13億07百万円だった。米国向け関節機能改善剤スパルツは競争激化の影響や前年同期の販売提携先での在庫積み増しの反動で減収、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンは現地在庫調整の影響で前年同期並み、中国向けアルツは現地販売が好調だったが前年同期の出荷が高水準だった反動で減収だった。医薬品原体はヒアルロン酸の出荷が集中して同20.6%増の3億79百万円、LAL事業はエンドトキシン測定用試薬の増加などで同30.7%増の13億30百万円だった。  通期の連結業績見通しは前回予想(5月13日公表)を据え置いて売上高が前期比1.6%減の291億50百万円、営業利益が同44.3%減の27億50百万円、経常利益が同28.5%減の42億円、純利益が同27.3%減の34億50百万円、そして配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。  売上面では、国内の関節機能改善剤アルツが薬価改定の影響を受け、米国向け関節機能改善剤スパルツが競争激化や前期の販売提携先での在庫積み増しの反動影響を受けるため、全体として減収見込みとしている。想定為替レートは1米ドル=102円としている。利益面では営業外収益で受取ロイヤリティーが増加するが、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、研究開発費の増加、販売関連費用の増加などで大幅減益見込みとしている。  ただし通期見通しに対する第1四半期の進捗率は、売上高が26.0%、営業利益が43.2%、経常利益が36.9%、純利益が36.3%と高水準である。会社見通しには保守的な印象も強く上振れ余地があるだろう。  株価の動きを見ると、5月中旬~6月中旬の安値圏1100円近辺から7月上旬の1300円近辺まで一旦は切り返したが、その後は上値が重くなり、第1四半期の大幅減益を嫌気する形で再び水準を切り下げた。8月8日には全般地合い悪化も影響して1166円まで調整した。ただし足元では下げ渋り感を強め、8月15日には1200円台を回復する場面があった。調整がほぼ一巡したようだ。  8月15日の終値1199円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円73銭で算出)は19~20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は2.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1140円48銭で算出)は1.1倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形になったが、5月中旬~6月中旬の安値圏まで下押すことなく、52週移動平均線近辺で下げ渋り感を強めている。調整が一巡して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業<4548>(東1)の株価は、7月上旬の1300円近辺まで切り返したが、その後は上値が重くなり、第1四半期(4月~6月)の大幅減益も嫌気する形で水準を切り下げ、8月8日には1166円まで調整した。
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2014-08-18 09:15