きちりは500円台固め完了して13年12月高値目指す
自社ブランド飲食店チェーン事業と飲食店運営プラットフォーム事業を展開するきちり <3082> の株価は、6月の戻り高値563円から反落後は概ね500円~520円近辺で推移している。ただし足元では500円台固めが完了して調整一巡感を強めている。今期(15年6月期)増収増益見通しを評価して6月戻り高値、さらに13年12月高値612円を目指す展開だろう。
カジュアルダイニング「KICHIRI」や「いしがまやハンバーグ」を主力業態とする直営店の自社ブランド展開事業、および飲食店運営のプラットフォーム提供や他業種企業のブランド・コンテンツ活用のプラットフォームシェアリング事業を展開している。
前期(14年6月期)末時点の店舗数は70店舗(関西エリア42店舗、関東エリア28店舗)で、新業態開発にも取り組みながら出店余地の大きい首都圏への新規出店戦略を強化している。14年3月には新業態「igu&peace」を出店した。
プラットフォームシェアリング事業は、当社がITやクラウドを駆使して構築した外食特化型インフラ(購買・物流などのバックヤード機能、会計・労務管理・教育・デザインなどのバックオフィス機能、取引先紹介などのバックアップ機能といった本部機能)を活用する事業である。大別するとブランド・コンテンツ活用型(優れたブランド・コンテンツを持つ企業と業務提携し、当社のプラットフォームを活用して新しいレストランビジネスを創造する)、およびクラウドサービス展開型(当社が構築した外食特化型インフラを他の飲食店チェーンなどに提供してアウトソーシング受託する)を展開している。
ブランド・コンテンツ活用型では独自性ある業態を開発でき、クラウドサービス展開型では参画企業・店舗数の増加に伴ってスケールメリットを享受できるなどのメリットがある。ブランド・コンテンツ活用型では13年2月に精米機トップメーカーで「ギャバライス」ブランドのサタケ、13年4月にイタリアのバッグブランド「オロビアンコ」、13年5月に福岡県「はかた地どり」生産者の農業組合法人福栄組合と業務提携した。クラウドサービス展開型の提供店舗数は前期末時点で自社店舗を含めて約200店舗に拡大した。
8月8日に発表した前期(14年6月期)の業績(非連結)は、売上高が前々期比11.1%増の69億13百万円、営業利益が同15.0%減の4億80百万円、経常利益が同14.8%減の5億15百万円、純利益が同14.0%減の2億96百万円だった。配当予想は年間10円(期末一括=普通配当7円50銭+東証1部市場指定記念配当2円50銭)とした。株式分割を考慮すると前々期との比較で実質的に2円50銭増配となる。
売上面では、前々期に新規出店した店舗の通期寄与などで増収だが、13年9月~10月の台風や14年2月の大雪など天候不順が影響して既存店売上高が同96.0%と想定を下回った。利益面では、プラットフォームシェアリング事業強化に伴う一時的な採用コスト増加などが影響して減益だった。ただし円安で輸入食材価格が高騰する状況下でも、メニュー調整や食材調達の工夫などで売上総利益率は前期と同水準の74.53%を維持した。店舗展開に関しては新規出店4店舗、退店2店舗で期末店舗数は70店舗となった。
今期(15年6月期)の業績(非連結)見通しは、売上高が前期比8.5%増の75億円、営業利益が同45.7%増の7億円、経常利益が同35.8%増の7億円、純利益が同41.9%増の4億20百万円で、配当予想は前期から記念配当2円50銭を落として年間7円50銭(期末一括)としている。
既存店売上高は同98.5%、新規出店は10店舗の計画だ。店舗展開では優先的に出店したい立地の物件が確保できる状況ため、前期の4店舗に比べて大量出店となるようだ。クラウドサービス展開型の提供店舗数は自社ブランド店舗を含めて前期の約200店舗が今期は約300店舗に増加する見込みだ。積極的な新規出店効果やクラウドサービス展開型の拡大が寄与して増収増益見通しである。
中長期ビジョンでは、自社ブランド展開事業およびプラットフォームシェアリング事業を2本柱として展開し、目標値として18年6月期売上高100億円、営業利益15億円、経常利益16億円、純利益10億円、配当性向30%(当面は20%)を掲げている。事業別には自社ブランド展開事業が100店舗で売上高94億円、プラットフォームシェアリング事業が契約店舗数500店舗(契約売上規模300億円)で営業利益6億円を目標としている。
なお8月8日に株主優待制度の一部変更を発表した。優待内容について従来の「当社運営店舗で利用できる優待券3000円分、または近隣に店舗がない等の理由で優待券を利用しない方はGABAライス3kgを選択できる」を「当社運営店舗で利用できる優待券3000円分、または近隣に店舗がない等の理由で優待券を利用しない方は当社事業における関連商品を選択できる」に変更した。14年12月31日現在の対象株主から実施する。
株価の動き(13年7月1日付で株式3分割、14年1月1日付で株式2分割、14年5月8日付けで東証1部市場指定替え)を見ると、6月の戻り高値563円から利益確定売りで一旦反落し、その後は概ね500円~520円近辺で推移している。ただし足元では500円台固めが完了して調整一巡感を強めている。今期増収増益見通しを評価する動きだろう。
8月15日の終値522円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS41円24銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間7円50銭で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS157円27銭で算出)は3.3倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を突破し、週足チャートで見ると一旦割り込んだ13週移動平均線を突破した。500円台固めが完了して6月戻り高値563円、さらに13年12月高値612円を目指す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
自社ブランド飲食店チェーン事業と飲食店運営プラットフォーム事業を展開するきちり<3082>(東1)の株価は、6月の戻り高値563円から反落後は概ね500円~520円近辺で推移している。
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2014-08-18 09:15