ユーグレナは1300円台固め完了、バイオ燃料を中長期視点で評価して6月高値は通過点
ユーグレナ <2931> (東マ)の株価は、6月23日高値1750円から材料出尽くし売りとなった6月27日の1261円まで急反落したが、その後は日柄整理が進展して1300円台固め完了感を強めている。バイオ燃料開発に対する中長期視点での評価を高めて6月高値1750円は通過点だろう。
59種類の豊富な栄養素を有する微細藻類ユーグレナ(和名ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養をコア技術として、ユーグレナを活用した食品、バイオ燃料、バイオフィルムなど関連分野への研究開発を進めている。13年3月にユーグレナ粉末受託生産と微細藻類クロレラ生産の八重山殖産を子会社化し、13年11月にはバイオベンチャーの植物ハイテック研究所を子会社化して形質転換技術による「スーパーユーグレナ」の開発を強化している。
化石燃料を使用しない新燃料として微細藻類を活用した次世代バイオ燃料の開発・実用化が注目されている。次世代バイオジェット燃料については18年の低コスト生産技術確立と20年の実用化に向けて、JX日鉱日石エネルギー(JXホールディングス <5020> )および日立プラントテクノロジー(日立製作所 <6501> )との共同開発を推進している。
そして14年6月には、いすゞ自動車 <7202> と共同で次世代バイオディーゼル燃料の実用化を目指す「DeuSEL(デューゼル)プロジェクト」の開始を発表した。軽油のニーズが高いと予想される長距離輸送車向けに、含有率100%でも車両エンジンに負担をかけることなく使用できる微細藻類ミドリムシ由来の次世代バイオディーゼル燃料の開発を進め、18年の低コスト生産技術確立と20年の実用化を目指すプロジェクトだ。
また14年7月には、当社、東京大学、米ボーイング社、全日本空輸(ANAホールディングス <9202> )、日本航空 <9201> などが加盟する「次世代航空機燃料イニシアティブ(INAF)」(14年5月設立)が、次世代航空機燃料の導入・サプライチェーン確立に向けたロードマップ策定作業の開始を発表した。藻類が産出する油脂など原料ごとに異なる課題や共通する課題を抽出し、具体的な事業につなげるための枠組みをロードマップとして15年4月までに策定し、東京夏季五輪開催年の20年における次世代航空機燃料の導入を目指す方針だ。
8月13日に発表した今期(14年9月期)第3四半期累計(13年10月~14年6月)の連結業績は、売上高が前年同期比56.4%増の21億84百万円、営業利益が同14.0%増の85百万円、経常利益が同18.2%減の1億21百万円、純利益が同83.2%減の69百万円だった。
売上面では、消費増税に伴う大口OEM取引先からの前倒し受注の反動で、第3四半期(4月~6月)売上高は第2四半期(1月~3月)比2.8%減少したが、第3四半期累計ベースでは大幅増収だった。ユーグレナの知名度向上効果で、自社ECサイト「ユーグレナ・ファーム」直販でのユーグレナ配合食品の販売が拡大基調である。
利益面では、自社ECサイト「ユーグレナ・ファーム」の知名度向上に向けた広告宣伝費の増加、バイオジェット燃料関連の研究開発費増加で営業利益の増益幅は小幅にとどまり、営業外収益での助成金収入の減少、営業外費用での株式交付費の増加、特別損益での負ののれん発生益の一巡で経常利益と純利益は大幅減益だった。
通期の連結業績見通しは、前回予想(13年11月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比48.8%増の31億13百万円、営業利益が同横ばいの1億76百万円、経常利益が同9.0%減の2億40百万円、そして純利益が同70.1%減の1億44百万円としている。
大幅増収に伴う売上総利益の増加分の大半を、中期成長に向けた先行投資として広告宣伝費や研究開発費に充当する方針のため、営業利益は横ばい見込みだ。しかし収益性の高い自社ECサイト「ユーグレナ・ファーム」直販でのユーグレナ配合食品の購入者数および売上高は増加基調である。第3四半期累計の進捗率はやや低水準だが概ね計画通りとして通期見通しを据え置いた。営業外収益での助成金減少や特別損益での負ののれん発生益の一巡も想定通りである。
今期は中期成長に向けた先行投資の時期だが、来期(15年9月期)は大手食品メーカーや大手小売りチェーンとのコラボレーション拡大も本格寄与して好業績が期待される。
重量単価の高い食品分野から参入して安定的なキャッシュフローを獲得しながら、バイオ燃料などの開発を進める「バイオマスの5F」という基本戦略は順調に進展している。中長期的には次世代バイオジェット燃料と次世代バイオディーゼル燃料が、エネルギー・環境関連で収益の2本柱となる可能性が高まっている。中長期的な視点での評価が一段と高まるだろう。
株価の動きを見ると、いすゞ自動車との新規共同プロジェクト発表会を材料視した6月23日高値1750円まで急伸し、6月25日の発表と同時に材料出尽くし売りとなって6月27日の1261円まで急反落した。その後は乱高下する場面もあるが、6月27日安値まで下押す動きは見られず、日柄整理が進展して1300円台固め完了感を強めている。
8月15日の終値は1355円だった。週足チャートで見ると52週移動平均線がサポートラインとなり、13週移動平均線が52週移動平均線を上抜くゴールデンクロスの形となった。26週移動平均線も上向きに転じている。強基調に変化はなく、バイオ燃料開発に対する中長期視点での評価を高めて6月高値1750円は通過点だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
ユーグレナ<2931>(東マ)の株価は、6月23日高値1750円から材料出尽くし売りとなった6月27日の1261円まで急反落したが、その後は日柄整理が進展して1300円台固め完了感を強めている。
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2014-08-18 09:30