久世の第1四半期は経営課題である物流改善に遅れが生じ、収益改善には至らず

  11日に発表された久世 <2708> (JQS)の第1四半期業績は、増収ながら赤字幅拡大となったものの、株価は5月安値611円から切り返しの展開に変化はなく、翌12日の終値は前日比2円安の680円と底堅い動きであった。今期収益改善予想が支援材料となったものと思われる。   今期15年3月期第1四半期連結業績は、主力の食材卸売事業において、原材料高に伴う仕入価格の上昇と業務全般における生産性の向上や物流改善を中心としたコストダウンにも取り組んだものの、経営課題である物流改善に遅れが生じ、収益改善には至らなかったことが響き、増収ながら赤字幅拡大という結果になった。   同社は、首都圏を中心にファーストフード・ファミレス・カフェ、居酒屋・パブ、ディナーレストラン・ホテル・会館、惣菜・デリカ・娯楽施設・ケータリングなど、外食・中食産業向けに業務用食材の卸売事業を展開し、大手飲食チェーンも主要顧客としている。子会社のキスコフーズは国内(静岡市)とニュージーランドで業務用高級ソース・高級スープの製造販売、久世フレッシュワンは東京都内で生鮮野菜など農産品の卸売を展開している。   中期経営計画では20年3月期売上高1000億円、営業利益20億円を目指し、重点戦略として首都圏・関西圏・中部圏での販路拡大、全国物流ネットワークの強化、中食市場や高齢者施設給食市場の開拓強化、PB商品の拡販や製造利益の拡大、海外事業の基盤確立などを掲げている。中国・成都の子会社は15年3月期に単年度黒字化の見込みとしている。   M&Aやアライアンス戦略も活用して販路拡大を推進している。12年6月には中京圏で酒類販売大手サカツコーポレーションと業務提携した。14年4月には水産物取引の強化を目的として、高級飲食店向けに強みを持つ水産物中卸会社の旭水産を完全子会社化した。   今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月12日公表)は売上高が前期比9.2%増の680億円、営業利益が同5.3倍の2億20百万円、経常利益が同67.6%増の4億円、純利益が同2.1倍の2億10百万円で、配当予想は前期と同額の年間12円(期末一括)としている。   売上面では、首都圏・関西圏・中部圏を中心とする販路拡大と新規顧客の開拓、既存顧客の底上げ(インストアシェアアップ)、そして独自性のある新商品の投入など営業強化策の効果で増収見込みだ。約57億円の増収のうち新規顧客開拓で約23億円を計画している。子会社の食材製造事業での自社ブランド商品販売強化や、4月に完全子会社化した旭水産も寄与する。   利益面では、商品仕入価格上昇や物流コスト増加を意識した採算性重視の営業活動、商品仕入価格上昇に対する販売価格への転嫁、高付加価値商品の提案やPB商品拡販による粗利益率改善などを推進し、営業損益が大幅に改善する見込みだ。特に前期の営業損益悪化の主因となった物流コストについては、物流採算の改善、物流の精度向上、イレギュラー配送の抑制、物流効率化に向けた新システム導入などを推進する方針だ。   株価の動きを見ると、5月23日の年初来安値611円から切り返しの展開に変化なく、11日の第1四半期業績発表後も底堅い動きである。やや小動きだが着実に水準を切り上げる展開だ。   日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると13週移動平均線を突破し、続いて26週移動平均線突破の動きを強めている。強基調へ転換した形であり、今期の収益改善を評価して戻り歩調に変化はないだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
11日に発表された久世<2708>(JQS)の第1四半期業績は、増収ながら赤字幅拡大となったものの、株価は5月安値611円から切り返しの展開に変化はなく、翌12日の終値は前日比2円安の680円と底堅い動きであった。
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2014-08-18 09:30