「キングスカイフロント」関連株に「第2のサイバダイン」、「第3のサイバダイン」が続出の予兆=浅妻昭治

<マーケットセンサー>   唐突ながら、また川崎関連株に注目したい。神奈川県川崎市で再開発事業や新規企業立地する銘柄である。ご記憶の読者の方もおありだろうが、当コラムでは、昨年4月に川崎関連株を取り上げたことがある。それ以来2回目の登場である。前回は、この川崎関連株のシンボル株のように、よみうりランド <9671> の株価急騰が目立った。同社は、昨年4月3日に川崎競馬場のスタンド跡地で大型商業施設の建設を発表し、これを材料に株価は、1143円高値まで94%の棒上げを演じ、前年2012年11月からスタートした「アベノミクス相場」の初動段階の含み資産株買いをリードした。   この同社株の急騰には、前段階の環境好転も味方していた。国土交通省が、その年の3月21日に発表した2013年の公示地価で、同競馬場に近いJR川崎駅西口地域が、11.9%の上昇と全国の商業地でトップの上昇率となったのである。これと前後してタイミング良く発表された同競馬場の再開発が、含み資産株人気に拍車をかけ、シンボル株的な株価急騰に拍車を掛けたことになった。   同社株を含めて昨年4月の当コラムの注目銘柄が、読者の方々の投資銘柄の参考になったかどうかははなはだ忸怩たるものがあるが、それでも、今回、川崎関連株に再度注目するのは、前回と同様にシンボル株になりそうな銘柄が出てきそうだからだ。CYBERDYNE(サイバダイン) <7779> (東マ)である。   同社株は、8月8日に川崎市と独立行政法人都市再生機構が、国家戦略特区として再開発している川崎市殿町国際戦略拠点「キングスカイフロント」の入札で、1万5433平方メートルの土地を30億円で落札したと発表して、株価は、ストップ高したのである。しかもこの後、8月14日に発表した初決算の今3月期第1四半期決算は、赤字で着地したが、織り込み済みとして上値を追った。このまま、今年7月末に実施した株式分割(1対5)の権利落ちを埋めるようなら、「キングスカイフロント」関連株が、新たなテーマ株として浮上することをリード、「第2のサイバダイン」、「第3のサイバダイン」がクローズアップされる展開も想定されることになるのである。   もちろんこの前段階の背景材料も、昨年4月のよみうりランド同様に申し分がない。まず「キングスカイフロント」が立地する国家戦略特区といえば、「アベノミクス」の成長戦略の目玉であり、ここでは、世界最高水準の研究開発によりライフサイエンス・環境分野を中心にした新産業を創出することが推進される。サイバダインに関連しては、今年6月24日に閣議決定された「日本再興戦略」改定版では、「ロボット革命会議」を早急に立ち上げて、日本が2020年にはさまざまな分野でロボットが実用化される世界の「ショーケース」となることを目標とした。かつての資産バブル期に「ウォーターフロント株」が高人気化したが、それに勝るとも劣らない「キングスカイフロント株」の続出の可能性も示唆することになりそうなのである。   しかも、この「キングスカイフロント」が建設されている殿町三丁目地区は、産業史的にも大きなリストラクチャリングが行われたエリアである。同用地は、かつていすゞ自動車 <7202> の川崎工場があった跡地だ。いすゞは、同工場で大型トラックを製造していたが、業績悪化に伴いこの生産を藤沢工場に移管し、同時に乗用車生産からも撤退した。日本の自動車産業創生以来、自動車の「御三家」として乗用車とトラックを生産した総合自動車メーカーとして君臨してきた同社が、トラック専業メーカーに特化し、資産売却策としても、旧大森本社工場跡地に建設した本社ビル売却に次ぐリストラの第2弾であった。「アベノミクス」の成長戦略が、新しい成長産業の創生を目指すなか、まさに「歴史は2度繰り返す」舞台として絶好のロケーションとなるはずだ。   その跡地に建設されたキングスカイフロント」は、立地的もさらに成長可能性を秘めている。多摩川を挟んで直線距離でわずか800メートルの対岸の羽田国際空港に直接アクセスする連絡道路や、JR東海道貨物支線を延伸して京浜急行電鉄 <9006> の羽田空港線や品川駅、都心などに乗り入れる貨客新線の建設も検討されており、同拠点での研究・開発成果が、そのままグローバル展開することをサポートするからである。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
唐突ながら、また川崎関連株に注目したい。神奈川県川崎市で再開発事業や新規企業立地する銘柄である。ご記憶の読者の方もおありだろうが、当コラムでは、昨年4月に川崎関連株を取り上げたことがある。
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2014-08-18 14:45