科研製薬は好材料続いて高値更新の展開
科研製薬 <4521> の株価は、上げ足を加速して高値更新の展開となり、8月19日には2489円まで上値を伸ばした。5月に発表した自己株式取得、7月に発表した日本初の外用爪白癬治療剤「クレナフィン」の承認取得、そして8月5日に発表した第1四半期(4月~6月)業績を好感する動きだ。中期成長力や積極的な株主還元姿勢を評価する流れに変化はなく、過熱感を冷ますための自律調整を挟みながら上値追いの展開だろう。
整形外科、皮膚科、内科といった領域を得意とし、農業薬品や飼料添加物等も展開する医薬品メーカーである。医薬品・医療機器は、生化学工業 <4548> からの仕入品である関節機能改善剤「アルツ」を主力として、癒着防止吸収性バリア「セプラフィルム」、高脂血症治療剤「リピディル」、創傷治癒促進剤「フィブラストスプレー」などを展開し、ジェネリック医薬品も拡大している。
日本初の外用爪白癬治療剤「クレナフィン」(一般名エフィナコナゾール)については、日本では当社が14年7月に製造販売承認を取得し、海外ではカナダのバリアント社が13年10月にカナダで承認を取得、14年6月に米国で承認を取得した。
さらに開発中のテーマとしては、歯周病を適応症とするKCB-1D(16年の早い時期に承認予定)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI-657(生化学工業と共同開発、アルツの効能追加、16年承認予定)、潰瘍性大腸炎を適応症とするKAG-308(旭硝子 <5201> と共同開発)などがある。
8月5日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比0.9%増の214億64百万円、営業利益が同17.5%増の40億85百万円、経常利益が同17.2%増の40億54百万円、純利益が同19.1%増の26億30百万円だった。薬価改定などが影響して売上高はほぼ横ばいだったが、ライセンス収入の増加や販管費の抑制などが寄与して増益だった。
主要医薬品・医療機器の売上高(単体ベース)は、薬価改定などが影響して関節機能改善剤「アルツ」が同3.4%減の77億円、癒着防止吸収性バリア「セプラフィルム」が同3.1%減の24億円だった。高脂血症治療剤「リピディル」は同1.5%増の10億円で、創傷治癒促進剤「フィブラストスプレー」は同8.0%減の8億円だった。ジェネリック医薬品(合計)は新製品も寄与して同27.5%増の30億円だった。
通期の連結業績見通しは前回予想(5月12日公表)を据え置いて売上高が前期比2.8%増の914億円、営業利益が同5.8%増の168億円、経常利益が同5.7%増の164億円、純利益が同9.9%増の107億円、配当予想は同6円増配の年間54円(第2四半期末27円、期末27円)としている。13期連続の増配となる。
通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が23.5%、営業利益が24.3%、経常利益が24.7%、純利益が24.6%と概ね順調な水準である。売上面では「セプラフィルム」や「リピディル」が伸長し、上市予定の外用爪白癬治療剤「クレナフィン」やジェネリック医薬品も寄与する。薬価改定の影響や研究開発の増加を吸収して増収増益見込みだ。
主要医薬品・医療機器の売上高計画(単体ベース)は、関節機能改善剤「アルツ」が薬価改定の影響などで同1.2%減の316億円、癒着防止吸収性バリア「セプラフィルム」が新材形追加などで同3.7%増の111億円、高脂血症治療剤「リピディル」が脂質関連ガイドラインおよび糖尿病診療ガイドライン情報の活用などで同6.8%増の47億円、創傷治癒促進剤「フィブラストスプレー」が形成外科や皮膚科への情報提供充実などで同2.7%増の38億円、ジェネリック医薬品(合計)が新製品も寄与して同8.3%増の118億円としている。
なお5月12日に発表した自己株式取得(取得株式総数の上限180万株、取得価額総額の上限35億円、取得期間14年5月13日~14年12月29日)については、7月23日時点の累計で取得株式総数104万株、取得価額総額21億1730万6000円となっている。
株価の動きを見ると、4月中旬に1500円~1600円近辺のモミ合い展開から上放れ、5月中旬に13年5月高値1883円を突破して上げ足を加速した。以降は高値更新の展開となり、8月19日には2489円まで上値を伸ばした。5月に発表した自己株式取得、7月に発表した日本初の外用爪白癬治療剤「クレナフィン」の承認取得、そして8月5日に発表した第1四半期業績を好感する動きだ。
8月19日の終値2487円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS128円22銭で算出)は19~20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間54円で算出)は2.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS805円89銭で算出)は3.1倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線に対するプラス乖離率が拡大して目先的な過熱感もあるが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。中期成長力や積極的な株主還元姿勢を評価する流れに変化はなく、過熱感を冷ますための自律調整を挟みながら上値追いの展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
科研製薬<4521>(東1)の株価は、上げ足を加速して高値更新の展開となり、8月19日には2489円まで上値を伸ばした。
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2014-08-20 09:15