クリナップは7月の戻り高値から一旦反落したが切り返しの動き

  システムキッチン大手のクリナップ <7955> の株価は、5月の直近安値801円から反発して徐々に水準を切り上げている。7月29日には965円まで上伸した。その後は全般地合い悪化も影響して8月8日の883円まで一旦調整したが、足元では950円近辺まで切り返している。好業績を評価する流れに変化はなく、3月高値1045円を試す展開だろう。低PBRなど指標面の割安感も支援材料だ。   厨房部門のシステムキッチンを主力として、浴槽・洗面部門のシステムバスルーム・洗面化粧台なども展開している。中期計画では「ザ・キッチンカンパニー」の確固たる確立を掲げて、商品ラインナップ充実とブランド力強化、主力の「クリンレディ」を軸にした中高級システムキッチンの市場シェア上昇、全国102カ所のショールームへの集客強化と総合競争力強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携強化、リフォーム需要の取り込み、トータルコストの低減、海外事業の戦略的推進などを重点施策としている。   8月6日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比11.0%増の319億24百万円、営業利益が同21.2%増の19億68百万円、経常利益が同20.4%増の18億76百万円、純利益が同26.0%増の10億95百万円だった。新設住宅着工戸数が減少する厳しい事業環境下でも、主力のシステムキッチンが好調に推移して大幅増収増益だった。   部門別売上高は、厨房部門が同14.7%増の249億99百万円だった。システムキッチン「S.S.」「クリンレディ」「ラクエラ」が数量、金額とも増加した。浴槽・洗面部門は同4.3%減の54億22百万円だった。洗面化粧台は増収だったが、システムバスルームが減収だった。   通期の連結業績見通しは前回予想(5月8日公表)を据え置いて売上高が前期比1.4%減の1270億円、営業利益が同24.5%減の67億円、経常利益が同24.4%減の64億円、純利益が同25.6%減の37億円、そして配当予想は記念配当5円を落として年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。   通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が25.1%、営業利益が29.4%、経常利益が29.3%、純利益が29.6%と高水準である。消費増税の反動減や輸入原材料価格の上昇などを考慮して減収減益見通しとしているが、期初時点では保守的な見通しを公表する傾向も強く、上振れ余地があるだろう。   食住イベントやリフォームフェアの開催によるブランド力向上、ショールーム全面リニューアルによる集客力強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携などの販売強化施策が奏功して、システムキッチンの中級・普及クラスでの市場シェアは上昇基調だ。原価低減効果なども寄与して中期的に収益拡大基調だろう。   8月6日には、従業員インセンティブ・プラン「株式付与ESOP信託」の導入と、これに伴う自己株式処分を発表した。グループ従業員に対して自社株式を交付することで、グループ従業員の帰属意識と経営参画意識を醸成し、長期的な企業価値向上を目指すとしている。ESOP信託の導入に伴い8月26日を期日として、日本マスタートラスト信託銀行に対する第三者割当で自己株式30万1100株を処分する。処分価額は1株につき898円で、調達する資金の差引手取概算額は約2億70百万円としている。   株価の動きを見ると、5月の直近安値801円から反発して徐々に水準を切り上げている。7月29日には965円まで上伸した。その後は利益確定売りや全般地合い悪化も影響して8月8日の883円まで一旦調整したが、足元では950円近辺まで切り返している。好業績を評価する動きだろう。   8月19日の終値954円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS87円21銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1301円25銭で算出)は0.7倍近辺である。日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を素早く回復し、週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から反発してサポートラインを確認した。好業績を評価する流れに変化はなく、3月高値1045円を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
システムキッチン大手のクリナップ<7955>(東1)の株価は、5月の直近安値801円から反発して徐々に水準を切り上げている。
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2014-08-20 09:15