アメリカン・エキスプレス、日本の中堅企業の出張コストを劇的に改善する新制度開始

アメリカン・エキスプレス・インターナショナルは、グローバル企業の財務責任者(CFO)507名を対象に行った意識調査「アメリカン・エキスプレス/CFOリサーチ グローバル・ビジネス・スペンディング・モニター2014」の結果を発表した。この調査結果について、アメリカン・エキスプレスの日本における法人事業部門の副社長兼ジェネラル・マネージャーのバイロン・マーミキディス氏は、「日本のCFOは国内経済について明るい見通しを持っているものの、自社の投資レベルについては慎重であること。また、日本の企業は未だ全社的な業務渡航(出張)の管理が不十分であるという、2つのことが明らかになった」と語っている。マーミキディス氏へのインタビューは以下の通り。(写真は法人事業部門の副社長兼ジェネラル・マネージャーのバイロン・マーミキディス氏、サーチナ撮影)
「アメリカン・エキスプレス/CFOリサーチ グローバル・ビジネス・スペンディング・モニター2014」は、アメリカン・エキスプレスの法人事業部門と、CFOリサーチ・サービスが2014年3月に米国、ヨーロッパ、カナダ、ラテンアメリカ、アジア、オーストラリアなど世界各国の企業で活躍するCFOを対象に共同で行った調査。今回で7回目の実施になる。
――今回のCFO調査で明らかになった日本の企業のCFOの景気に対する見通しは?
日本のCFOの80%は、今後1年間に支出や投資を増やすと回答し、景気の拡大に明るい見通しを持っていますが、投資水準について昨年比10%以上増加すると回答したCFOは全体の30%にとどまりました。同様の質問に対し、昨年(53%)と比較して低くなっています。
同様の質問は、インド、香港、中国などのCFOでは50%-70%という高い回答率になるので、比較すると日本のCFOの支出に対する姿勢は慎重なものになっています。また、日本企業の支出の水準は昨年と比べて平均で9%増の見込みと、世界平均の11%増と比べても、日本の投資水準は保守的なものになっています。
――日本企業のCFOが昨年と比較して支出や投資に慎重になっている理由は?
これについては、調査では理由を聞いていません。ただ、私が日頃、日本の企業の方々と話をしていて感じることは、昨年はアベノミクスの初年度とあって、多くの企業が景気回復に向けた前向きなメッセージや円安を評価したのですが、2年目を迎えて、アベノミクスによる改革の行方を見極めたいという姿勢が高まっていると感じます。また、様々な改革の影響が、個別の企業の業績に、どのように影響してくるのかということも、分析しているところであるという印象です。このため、昨年よりも支出について、やや保守的な傾向がでているのでしょう。
ただし、過去7回実施してきた結果と比較すると、投資の水準そのものは、決して低くありません。景気の見通しについては前向きにとらえていることがうかがえます。
――日本の企業の支出内容で、目立って投資が増加している分野は?
「コンピューター・ハードウェア」「全体レベルのITシステム」「社員採用」「原材料や生産物資」「ビジネス/プロフェッショナル・サービス」などへの投資が目立って増えており、景気拡大への期待の高まりが感じられます。
また、支出の面では、世界のCFOの約6割が今後1年間に「業務渡航」への支出が増えると見通し、業務渡航が世界的に企業の成長における戦略的な投資分野になっていることが分かりました。そして、業務渡航については、日本企業のCFOも6割以上が今後1年間で支出が増えると見通し、半数近くが、業務渡航は今後の企業の成功に重要な投資であると回答しています。
一方、業務渡航費の管理については、「業務渡航を全社的に一元管理する機能がある」と回答したCFOは、日本では3%にとどまり、アジア諸国の平均30%と比較しても著しく低い数字になりました。日本の企業では、いまだに個々の社員や部署ごとに出張が管理されています。これについては、日本のCFOは業務渡航費の管理状況の改善や削減を課題にあげています。
――業務渡航費について一元管理することによって、どの程度の効率化が可能ですか?
アメリカン・エキスプレスは、世界の代表的な企業500社のうち70%以上と取引があり、1968年から業務渡航費の一元管理についてもシステムを提供し、アドバイスも行っています。この経験に基づくと、業務渡航費のうち50%程度はホテル宿泊費やエアチケットなどの費用です。この費用を一元管理によって計画的に支出し、またボリューム・ディスカウントを行うことによって、かなりの削減できることが分かっています。これによって、業務渡航費全体の20-30%程度のコストダウンが可能です。削減した費用は、別のもっと生産的な投資に振り向けることが可能になるのです。
日本では、このような業務渡航費の一元管理がまだ一般的ではありませんが、徐々に海外の企業との比較が進む中で、ビジネス費用管理システムの中で、業務渡航費を効率的に管理しようという意識が高まってきています。
――アメリカン・エキスプレスが提供する業務渡航費の一元管理システムとは?
たとえば、アメリカン・エキスプレスのコーポレート・カードを導入することによって、カード利用データが経費精算システムに自動反映し、経費の見える化を実現できます。さらに、出張のたびに、社員がデータをインプットして領収書を提出し、内容をチェックするという作業を省くことができます。このことによって、経費管理にかかる時間的なコストが大幅に短縮できます。
また、アメリカン・エキスプレスの顧客である世界の企業が実施している業務渡航費の一元管理データと比較することによって、より効率的な経費の管理方法や削減策について、アドバイスすることもできます。
一方、2014年4月に新たにスタートした「コーポレート・メンバーシップ・リワード」というサービスがあります。これは大企業のようにボリューム・ディスカウントの効果が見えにくい中堅企業向けに開発した企業単位のポイント・プログラムです。コーポレート・カードの利用額に応じて獲得できるポイントを一元的に管理し、航空券や宿泊代、または、カード利用の支払いに充てることができるのです。サービス導入後、多くの企業から問い合わせをいただいていて、業務渡航費の一元管理の入り口として利用していただいています。
業務渡航費の一元管理を進めることによって、経費管理の透明性が増し、コンプライアンスの向上に役立つという評価も聞きます。これから、アジアをはじめ、世界に羽ばたこうという意気込みを持っている企業には必要なステップと捉えられています。
さらに、アメリカン・エキスプレス日本支社の法人事業部門が世界に先駆けて鉄道会社と業務提携したコーポレート・カードのサービスも開始しました。JR東海と提携し、東海道・山陽新幹線の利用者に、ネット予約やIC乗車サービス「エクスプレス予約」ができる「アメリカン・エキスプレス・JR東海エクスプレス・コーポレート・カード」を発行しています。2014年6月に募集を開始した商品ですが、「コーポレート・メンバーシップ・リワード」と合わせて、様々なメリットを提供することが可能です。
アメリカン・エキスプレスは、航空会社との提携カードを出していましたが、法人カードで鉄道会社と提携するのは世界で初めてでした。日本企業では新幹線など鉄道を利用した国内出張が多いという実情に適ったサービスになったと思います。これからも、日本企業のニーズに応えるサービスの開発を積極的に進めたいと思っています。(編集担当:徳永浩)
アメリカン・エキスプレス・インターナショナルは、グローバル企業の財務責任者(CFO)507名を対象に行った意識調査「アメリカン・エキスプレス/CFOリサーチ グローバル・ビジネス・スペンディング・モニター2014」の結果を発表した。
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2014-08-20 15:15