インテージHDは目先的な売りは一巡、7月高値試す
市場調査最大手のインテージホールディングス <4326> の株価は、1月高値1413円を突破して7月高値1520円まで上伸した。8月8日発表の今期(15年3月期)営業減益見通しで、8月11日と12日の1373円まで調整したが、足元では1400円台に戻している。目先的な売りが一巡したようだ。今期は事業譲渡の影響で営業減益見通しだが中期成長力に変化はなく、目先的な売りが一巡して7月高値1520円を試す展開だろう。
13年10月に持株会社へ移行した。小売店パネル調査や消費者パネル調査などの市場調査・コンサルティング事業を主力として、システムソリューション事業、医薬品開発支援事業にも事業領域を広げている。
国内外における積極的なM&A戦略でグループの業容を拡大している。11年9月にベトナムの市場調査会社FTA、12年9月に医療情報総合研究所、12年11月に医療関連インターネット調査会社プラメド、13年8月に香港の市場調査会社CSG香港を子会社化した。14年5月には子会社INTAGE INDIAがインドの市場調査会社RSMRS社の株式を取得してグループ化した。
アライアンス戦略では、12年4月にNTTドコモ <9437> と合弁会社ドコモ・インサイトマーケティングを設立、13年10月に韓国の業界4位の市場調査会社Hankook Researchと包括的な事業協力を締結、13年11月にインドネシアの市場調査会社DEKA社と合弁会社を設立している。
一段の収益力強化に向けてグループ再編も進めている。14年6月には、連結子会社アスクレップの臨床開発事業を承継したエーケーピーを伊藤忠商事 <8001> に譲渡した。経営リソースの選択と集中を進めて事業を再編し、アスクレップは医薬情報事業を継続する。
14年5月に発表した第11次中期経営計画では、重点課題として主力事業再強化による市場価値向上、「モバイル&シングルソース」「グローバル」「ヘルスケア」領域の着実な成長、リサーチの枠にとらわれない新たなビジネスモデルの模索と確立、最適化の視点による戦略立案・推進のマネジメント強化を掲げている。
8月8日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.2%増の91億78百万円で、営業利益が同17.1%増の2億71百万円、経常利益が同23.3%増の2億46百万円、そして純利益が14億99百万円(前年同期は33百万円)だった。アスクレップの臨床開発事業売却に伴う関係会社株式売却益29億11百万円の計上で純利益は大幅増益だった。
セグメント別動向を見ると、市場調査・コンサルティング事業は売上高が同8.7%増の67億70百万円、営業利益が同2.7%増の2億78百万円だった。全国個人消費者パネル調査など主要パネル調査が好調に推移した。医療情報総合研究所の処方情報分析サービスも増収だった。システムソリューション事業は売上高が同27.6%増の12億88百万円、営業利益が1億59百万円(前年同期は9百万円)だった。受注が概ね好調に推移した。医薬品開発支援事業は売上高が同24.5%減の11億20百万円、営業利益が1億67百万円の赤字(同49百万円の赤字)だった。アスクレップの臨床開発事業売却で減収減益だった。
8月8日には、未定としていた第2四半期累計(4月~9月)と通期の連結業績見通しを発表した。通期の連結業績見通しは、売上高が前期比3.5%増の440億円、営業利益が同8.7%減の32億円、経常利益が同11.3%減の30億円、純利益が同66.2%増の27億30百万円とした。配当予想は前回予想(5月12日公表)を据え置いて前期比2円50銭増配の年間30円(期末一括)としている。
売上高については、市場調査・コンサルティング事業で市場パネル調査が好調に推移し、大型の官公庁案件の受注も寄与して増収見込みだが、営業利益と経常利益については事業譲渡の影響で減益見込みとしている。純利益は関係会社株式売却益が寄与して大幅増益見込みだ。
なお8月8日には自己株式の消却も発表した。9月5日予定で69万株(消却前の発行済株式総数に対する割合3.3%)を消却する。
株価の動きを見ると、5月の年初来安値1152円から切り返し、1月高値1413円を一気に突破して7月29日と30日の1520円まで上伸した。その後は利益確定売りで反落し、今期営業減益見通しで8月11日と12日の1373円まで調整した。ただし足元では1400円台に戻している。目先的な売りが一巡したようだ。
8月20日の終値1414円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS135円73銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS846円49銭で算出)は1.7倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んで一旦は調整局面の形だが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって反発の動きを見せている。中期成長力を評価する流れに変化はなく、目先的な売りが一巡して7月高値1520円を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
市場調査最大手のインテージホールディングス<4326>(東1)の株価は、1月高値1413円を突破して7月高値1520円まで上伸した。
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2014-08-21 09:15