モブキャストは目先的な利益確定売りが一巡して切り返し
スポーツ分野に特化したゲーム開発・配信のモブキャスト <3664> (東マ)の株価は、7月の直近安値772円から8月5日の1089円まで上伸した。その後は利益確定売りなどで8月15日の795円まで調整したが、8月20日には889円まで切り返している。目先的な利益確定売りが一巡して収益改善基調を評価する動きだろう。下値固めが完了して出直りの動きが本格化しそうだ。
プロ野球ゲーム「モバプロ」やサッカーゲーム「モバサカ」など、スポーツ分野に特化したモバイルスポーツメディア「mobcast」運営とゲーム開発・配信を展開している。経営資源をモバイルエンターテインメント事業に集中する方針を掲げ、14年2月に子会社モブキャストグローバルのPCオンラインゲーム事業を譲渡し、14年4月にはモブキャストグローバルを当社に吸収合併した。
自社ゲーム開発を強化するとともに、プラットフォームを開放して外部ディベロッパー製のゲーム配信と海外展開も強化している。13年4月には韓国でも「mobcast」をオープンして「モバサカ」の配信を開始した。13年8月には世界有数のモバイルゲームディストリビューターであるブースターメディア(オランダ)と業務提携、13年12月には韓国のモバイルゲーム大手COM2USと業務提携した。14年6月には、チームバトルゲームに定評のあるgumiと共同開発したリアルタイムサッカーバトル「チェインイレブン ワールドクランサッカー」のiOSネイティブアプリ版の配信を開始し、本格的な海外展開を予定している。
8月8日に発表した今期(14年12月期)第2四半期累計(1月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比21.8%減の20億32百万円だが、営業利益は同3.5倍の2億12百万円、経常利益は同4.0倍の2億13百万円、純利益は1億58百万円(前年同期は2百万円)だった。日本と韓国におけるPC事業の売却が影響して減収だが、営業利益は広告宣伝費のコントロール効果などが寄与して大幅増益だった。
四半期ベースで見ると、第2四半期(4月~6月)はPC事業の売却が影響して第1四半期(1月~3月)比減収となり営業減益だった。しかし四半期ベースの営業損益は、前期第4四半期(13年10月~12月)の営業赤字3億01百万円に対して、今期第1四半期は1億65百万円の黒字、今期第2四半期は47百万円の黒字となり、前期第4四半期で底打ちした形だ。
14年6月からスタートした携帯合戦シミュレーションゲーム「モバノブ」も寄与して売上高は復調傾向のようだ。6月~7月開催のサッカーW杯や「モバノブ」の効果で日韓の会員数合計は550万人を突破した。パートナーゲームは第2四半期に7タイトルを追加し、課金流通額も増加基調のようだ。
通期の連結業績見通しは前回予想(2月7日公表)を据え置いて、売上高が前期比2.3%増の53億円、営業利益が1億円(前期は4億45百万円の赤字)、経常利益が1億円(同4億04百万円の赤字)、純利益が1億円(同6億57百万円の赤字)の黒字化としている。
既存タイトルの再成長と「モバノブ」の好調、新作のリリース、パートナーゲーム大型タイトルの追加、年末商戦を狙った大規模プロモーション、海外ライセンス販売強化、広告宣伝費のコントロール強化などの効果で営業損益が大幅に改善する見込みだ。ネイティブアプリゲームについては、9月配信予定の「ドラゴンスピンZ」を含めて、第3四半期(7月~9月)以降の投入で3タイトルを開発中としている。
また今期第2四半期累計の営業利益、経常利益、純利益は、通期会社見通しを大幅に超過達成している。市場環境の変化が激しいとして通期会社見通しを据え置いているが、売上の復調に加えて、新規開発に係る業務委託費削減や長期固定広告削減などの効果も寄与して収益改善基調であり、通期増額の可能性が高いだろう。
株価の動きを見ると、7月11日の直近安値772円からから切り返しの展開となり、7月30日に1000円台を回復した。8月5日には1089円まで上伸した。その後は利益確定売りなどで8月15日の795円まで一旦調整したが、8月20日には889円まで切り返している。目先的な利益確定売りが一巡して収益改善基調を評価する動きだろう。
8月20日の終値889円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS7円20銭で算出)は123倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS131円96銭で算出)は7倍近辺である。日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線突破の動きを強めている。また週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から反発する形だ。下値固めが完了して出直りの動きが本格化しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
スポーツ分野に特化したゲーム開発・配信のモブキャスト<3664>(東マ)の株価は、7月の直近安値772円から8月5日の1089円まで上伸した。
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2014-08-21 09:15