寿スピリッツは第1四半期減収減益に対する反応は限定的、短期調整が一巡して5月高値目指す

  菓子製造・販売の寿スピリッツ <2222> (東2)の株価は、全般地合い悪化も影響して8月8日に2175円まで調整する場面があったが、足元では2200円台後半の水準に戻している。第1四半期(4月~6月)の減収減益を嫌気する動きは限定的で、中期成長力を評価する流れに変化はないようだ。短期調整が一巡して5月高値2671円を目指す展開だろう。   山陰地区中心に「因幡の白うさぎ」ブランドなどを展開する寿製菓、北海道中心に「ルタオ」ブランドなどを展開するケイシイシイ、首都圏中心に洋菓子を多ブランド展開するシュクレイ、九州中心に「赤い風船」ブランドなどを展開する九十九島グループ、関西中心に「遊月亭」ブランドなどを展開する但馬寿、そして販売子会社(東海地区3社、中国・九州地区4社、関西地区2社)などの地域事業会社を傘下に置き、地域限定ブランド菓子の製造・販売を主力としている。駅・空港・高速道路など交通機関チャネルの出店・販売比率が高いことも特徴だ。   製造卸から製造小売に事業モデルを転換して高収益化を推進するとともに、企業ビジョンとして、全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドを創造する「お菓子の総合プロデューサー」を掲げ、新商品・新業態・新ブランド創り、新ビジネス開発、海外展開を推進している。中期経営目標指標は売上高経常利益率20%としている。   8月5日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比3.6%減の50億円、営業利益が同23.4%減の2億01百万円、経常利益が同22.7%減の2億05百万円、純利益が同16.8%減の1億11百万円だった。消費増税の反動影響などで減収減益だった。   主要セグメント別の売上動向を見ると、ケイシイシイが消費増税の影響見極めのための通販販促抑制などで同3.6%減収、寿製菓が出雲大社の遷宮効果一巡などで同5.2%減収だった。ただし九十九島グループはフレンチトースト専門店「アイボリッシュ」2号店の東京・渋谷への出店などで同5.3%増収、シュクレイは主力ブランドの認知度向上などで同4.0%増収と好調だった。   通期の連結業績見通しは前回予想(5月13日公表)を据え置いて売上高が前期比2.4%増の235億円、営業利益が同6.7%増の25億円、経常利益が同5.8%増の25億円、純利益が同15.0%増の14億70百万円、配当予想は記念配当を普通配当に変えて前期と同額の年間40円(期末一括)としている。   主要セグメント別の売上高の計画は、ケイシイシイが東京・表参道に出店した新業態アントルメグラッセ専門店「グラッシェル」の認知度向上や通販強化などで同2.8%増収、寿製菓が新商品開発・投入などで同1.5%増収、販売子会社が同2.6%増収、九十九島グループが新業態フレンチトースト専門店「アイボリッシュ」の認知度向上などで同11.5%増収、但馬寿が新商品開発・投入などで同11.2%増収、シュクレイがブランド認知度向上に向けた新商品開発・投入や催事展開の強化などで同13.5%増収としている。   健康食品「栃(とち)」と「藍(あい)」を販売するジャパルシーは、事業モデル再構築のため新規会員募集を14年4月で停止した。また通販基幹業務システムサービスは、事業中止に向けて既存会員の他社サービス等への移行を進めている。   今期は消費増税の影響に加えて、前期の遷宮・奉祝イベント効果の一巡が影響するが、訪日外国人旅行客の増加も寄与して観光地への旅行需要は高水準に推移している。第2四半期(7月~9月)以降は消費増税の反動影響が薄れ、新業態店の知名度・ブランド力向上、新商品の開発・投入推進、販促・接客強化による消費者への訴求力向上、製造採算改善などの効果で、人件費や原材料価格の上昇を吸収する見込みだ。第1四半期は減収減益だったが、通期ベースでは好業績が期待される。   株主優待制度については、毎年3月末現在で100株以上所有株主に対して2000円相当の自社グループ製品、200株以上所有株主に対して4000円相当の自社グループ製品を贈呈し、さらに1000株以上所有株主に対して3000円分のグループ直営店舗優待券(優待券の代わりに指定商品への交換も可)を贈呈している。   株価の動き(4月3日付で東証2部市場から東証1部市場へ指定替え)を見ると、急伸した5月高値2671円から反落したが、大きく下押す動きは見られず、概ね2200円~2400円近辺で堅調に推移している。また8月8日には全般地合い悪化も影響して2175円まで調整する場面があったが、足元では2200円台後半の水準に戻している。第1四半期の減収減益を嫌気する動きは限定的で、中期成長力を評価する流れに変化はないようだ。   8月20日の終値2268円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS141円71銭で算出)は16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間40円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS775円95銭で算出)は2.9倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んで調整局面の形だが、週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から反発の動きを強めている。サポートラインを確認した形であり、短期調整が一巡して5月高値2671円を目指す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
菓子製造・販売の寿スピリッツ<2222>(東2)の株価は、全般地合い悪化も影響して8月8日に2175円まで調整する場面があったが、足元では2200円台後半の水準に戻している。
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2014-08-21 09:15