【為替本日の注目点】FOMC受けドル全面高、「円先安観」円は最弱通貨に転落

 NY市場  昨日の東京市場で103円台前半まで上昇したドル円は、FOMC議事録を受けて一段とドル高が進む。議事録の内容が予想以上に「タカ派」的だったことで、早期利上げ観測が広がり、103円85銭まで円が売られる。  ドルが全面的に買われたことで、ユーロも一段と下落。1.330の大台を割り込み、1.3255までユーロ安が進行。  議事録が「タカ派」的だったことで、株は一旦売られる場面があったものの堅調に推移。ナスダックは1ポイント下落したがダウは59ドル上昇し、1万7000ドルに迫る水準まで回復。  債券相場は続落。FOMC議事録で早期利上げの可能性が高まったことで長期金利は2.42%まで上昇。  金は4日続落し、原油は大きく反発。  ドル/円 103.20~ 103.85  ユーロ/ドル 1.3255 ~ 1.3298  ユーロ/円 137.20 ~ 137.84  NYダウ +59.34  → 16,979.13ドル  GOLD -1.50 → 1,295.20ドル  WTI +1.59    → 96.07ドル  米10年国債 +0.025  → 2.428%  本日の注目イベント  中   中国 8月HSBC製造業PMI(速報値)   独   独8月製造業PMI(速報値)   独   独8月サービス業PMI(速報値)   欧   ユーロ圏8月製造業PMI(速報値)   欧   ユーロ圏8月サービス業PMI(速報値)    欧   ユーロ圏8月消費者信頼感(速報値)   英   英7月小売売上高    米   新規失業保険申請件数   米   7月中古住宅販売件数   米   7月景気先行指標総合指数   米   8月フィラデルフィア連銀景況指数   急速に「円先安観」が強まって来ました。「102円台を固めた可能性がある」だけではなく、「103円台を固めた可能性」も出てきました。昨日の東京市場で103円台に乗せてからは一度も103円を割り込むこともなく、欧州市場、NY市場でもドル高が進み、円は最弱通貨に転落しています。  ドル円を103円85銭まで押し上げた原動力は「FOMC議事録」でした。議事録では「多くの参加者は、委員会の目標に向けた収束が予想より早いペースで起きた場合、金融政策による緩和措置を現在見込まれているよりも早期に引き揚げ始めることが適切になる可能性があると指摘した」と記されています。  またイエレン議長などが指摘している労働市場に存在するリスクについても「しかしながら、多くのメンバーは、労働市場の活用が極端に低い状態という評価は、特に労働市場の改善が予想よりも速いペースで続いた場合、近い将来に変更を迫られる可能性があると指摘した」とも記されています。(ブルームバーグ)このように、今回公表されたFOMC議事録の内容が、予想された以上に「早期利上げ」には前向きだったことで、ドル全面高の展開になっています。  米国の政策金利引き上げは早くとも2015年半ば以降と見られてますが、FRBが目標とする労働市場などの改善ペースが加速すれば、早めの利上げに踏み切る可能性があることが確認されたことになります。議事録の内容は予想以上に「タカ派」的だったことで明日のジャクソンホールでのイエレン議長の講演がさらに注目されることになります。  ドル円は103円85銭までドル高が進んだことで、直近のドルの高値を上抜けしただけでなく、今年1月の105円45銭から100円78銭まで下落した値幅の「61.8%」戻しもクリアしています。やや上昇のスピードが速すぎる印象もありますが、これは長い間に慣らされた「低ボラティリティー」のせいと考える方が順当で、この程度の変化は今後何度も目にすることになろうかと思います。  テクニカルを見ると、「日足」では全ての指標が上昇を示唆しています。「MACD」もプラス圏で再びゴールデンクロスを見せています。ただ相場の過熱感を示す「ストキャスティクス」では87程度まで上昇して「買われ過ぎ」を示していますが、この指標は相場の急変には弱いという特徴もあります、「買われ過ぎ」だからといって、安易にショートを振るのは避けたいところです。  目先は4月4日に記録した104円13銭が意識される展開を予想しますが、どちらかといえば年初から続いて来た「円高傾向」がようやく終了し、これまで何度も述べてきたように市場が「日米金融政策の違い」に本格的に目を向けてきたかどうかが焦点になると思います。もし本格的に意識し始めたのであれば、103円台は「ドル高円安への始まり」が始まったばかりだと考えております。  4ヶ月半振りの水準ということもあり、輸出筋のドル売りも出て来ることでしょう。また既に円売りポジションを多く抱えているヘッジファンドなどが利益確定の円買いに出て来ることも想定されます。103円台でどこまで粘り腰を見せるか見極めたいと思います。本日のレンジは、やや広めで103円30銭~104円10銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
昨日の東京市場で103円台前半まで上昇したドル円は、FOMC議事録を受けて一段とドル高が進む。議事録の内容が予想以上に「タカ派」的だったことで、早期利上げ観測が広がり、103円85銭まで円が売られる。
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2014-08-21 09:15