ゼリア新薬工業は第1四半期大幅減益で急落したが素早く切り返す
医薬品メーカーのゼリア新薬工業 <4559> の株価は、7月28日に戻り高値となる2633円を付けたが、8月5日発表の第1四半期(4月~6月)の大幅減益で8月6日に2250円まで急落する場面があった。しかし素早く切り返し、エーザイ <4523> とのライセンス契約も好感する形で2500円台まで戻している。3月安値1969円を直近ボトムとする上昇トレンドを継続し、1月高値3170円を目指す流れに変化はないだろう。
消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、13年6月には自社開発新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬 <4503> と共同で早期の市場浸透を目指している。コンシューマーヘルスケア事業は「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」が主力で、認知度向上とともに売上が拡大している。
M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月には基礎化粧品のイオナ、09年9月には「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月にはコンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結するとともに、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。
新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けている。国際的に通用する新薬の創製を念頭に、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。14年4月には、導入品で日本初の月経前症候群治療薬「プレフェミン」に関して製造販売承認を取得した。
また8月18日には、エーザイ <4523> が創出した新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結したと発表している。本契約に基づき、エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、および非独占的製造権を付与する。なお開発は当社が行い、製造販売承認も当社が取得するが、承認取得後は両社で共同販促を行うとしている。
8月5日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.1%減の147億15百万円、営業利益が同69.9%減の8億58百万円、経常利益が同69.4%減の9億43百万円、純利益が同56.9%減の10億48百万円だった。消費増税前駆け込み需要の反動減、ライセンスおよびロイヤリティ収入の減少、研究開発費や広告宣伝費の増加で大幅減益だった。
セグメント別売上高は、医療用医薬品事業が同15.6%減の82億80百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は海外が伸長したが、国内は消費増税前駆け込み需要の反動で伸び悩んだ。H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」は薬価改定や後発品使用促進で苦戦した。コンシューマーヘルスケア事業は同17.0%増の63億97百万円だった。消費増税前駆け込み需要の反動減があったが、テレビCM効果で製品認知度が一段と向上し、コンビニエンスストア向け「ヘパリーゼW」の売上拡大が寄与した。その他(不動産賃貸収入など)は同33.7%減の37百万円だった。
通期の連結業績見通しは前回予想(5月13日公表)を据え置いて売上高が前期比11.3%増の690億円、営業利益が同9.0%増の74億円、経常利益が同8.8%増の74億円、純利益が同9.9%増の58億円、配当予想は13年10月1日付の株式分割を考慮すると実質的に前期比2円50銭増配の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。
第1四半期は大幅減益だったが、第2四半期(7月~9月)以降は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の国内外での売上拡大、新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透、コンシューマーヘルスケア製品の売上拡大などで挽回の見込みだ。
株主優待については、毎年9月末・3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上~1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。
株価の動き(13年10月1日付で1株を1.1株に分割)を見ると、7月28日に戻り高値となる2633円を付けたが、8月5日発表の第1四半期の大幅減益で8月6日に2250円まで急落する場面があった。しかし素早く切り返し、エーザイとのライセンス契約も好感する形で2500円台まで戻している。
8月21日の終値2525円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS109円19銭で算出)は23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1105円78銭で算出)は2.3倍近辺である。日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を回復した。また週足チャートで見ると8月6日の急落は52週移動平均線近辺から反発し、3月安値1969円を直近ボトムとする上昇トレンドを継続する形となった。1月高値3170円を目指す流れに変化はないだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
医薬品メーカーのゼリア新薬工業<4559>(東1)の株価は、7月28日に戻り高値となる2633円を付けたが、8月5日発表の第1四半期(4月~6月)の大幅減益で8月6日に2250円まで急落する場面があった。
economic
2014-08-22 09:00