スマホの活用がテレワークの疑念点を解消、「働き方改革」の後押しに

 安倍政権の成長戦略で「女性の活躍推進」が計画されるなど、ここへきて「働き方改革」が企業経営の課題として意識され始めた。ただ、「ノマドワーカー」などと呼ばれる働く場所を選ばない働き方を示す「テレワーク(tele:離れた場所、work:働く)」は、企業で議論にはなるものの、実際に導入されるケースは少ないのが実情だ。この「テレワーク」の推進に“スマホの内線化”が解決策の有力な手段になる――という調査結果が出た。  調査を実施したのは、総合マーケティング支援を行うネオマーケティング(東京都渋谷区)。全国の経営者や人事・総務担当者など社員の働き方について決定権のある300人を対象に「テレワーク(在宅勤務、モバイルワーク等)に関する調査」を実施した。調査期間は、2014年7月25日、26日の2日間。ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用したWEBアンケート方式で実施し、調査結果を8月21日に公表した。  まず、社員の働き方を考える立場として「働き方(ワークスタイル)の多様化」については、「推進したい」という回答が71.0%にのぼった。ワークスタイルの多様化を推進するメリットとして「業務効率・生産性の向上」(57.7%)、「多様な人材の維持・人材確保」(44.0%)、「コスト削減」(39.7%)が挙げられ、ワークスタイルを多様化することによって企業成長につながると考えていることがわかった。  ところが、実際に「ワークスタイルの多様化」について実施しているのは全体の5.7%。「必要を感じており、現在対策を検討している」という回答も12.3%にとどまった。ワークスタイルの多様化の推進については、必要性やメリットは意識されているものの、実施できていない企業が多いというのが実態だ。  そこで、多様なワークスタイルを実現する上で、「導入が難しいと思うもの」を挙げてもらうと、第1位は「働く場所に縛られずどこでも働けるモバイルワーク」(49.3%)、第2位は「自宅でも仕事が可能な在宅勤務」(35.0%)だった。新しい働き方として注目されている「テレワーク」が、導入のハードルが比較的高いと思われている傾向が明らかになった。  テレワークの導入・推進にあたっての疑念点は、「社員の労務管理が難しくなる」(55.0%)、「情報漏えいなどのセキュリティ管理」(41.7%)、「社員同士のコミュニケーションの鈍化」(38.0%)などが挙がった。  この社員の労務管理やコミュニケーションに関する疑念点について、「テレワークを実施する際に、内線番号で社員同士の通話ができるとコミュニケーションがとりやすくなると思いますか」と質問すると、62.0%が「そう思う」と回答。「どこにいてもスマホを使って会社の番号で発着信できるようになると社外の人とのコミュニケーションがとりやすくなると思いますか」という質問にも65.0%が「そう思う」と回答。テレワークの障害として意識される社内外コミュニケーションにおいて、スマホを会社の電話同様に機能させることにメリットを感じている人が多いことがわかった。  このような調査結果に対し、企業のIT活用についてアドバイスしているナレッジシステムズ代表取締役の長谷川渉氏は、「テレワークの課題を解決し得るITツールとして、クラウド勤怠管理(在席管理)システム、モバイル端末からも参加できるWeb会議システム、ビジネスシーンにおける利用が定着したスマートフォンを会社の内線電話として使える音声通話システム(PBX)のクラウド化などがある」と指摘する。  特に、PBXのクラウド化によってスマートフォンを会社の内線化させれば、社員同士の通話が無料になるばかりでなく、社外から会社の電話番号で発信できるようになるため、自宅に居ても電話での顧客対応が可能になる。長谷川氏は、「今年4月にNTTコミュニケーションズからローンチされたデバイスフリーかつキャリア(携帯電話会社)フリーの『Arcstar Smart PBX』であれば、社員個人のスマートフォンに専用アプリをインストールするだけで、音声通話のBYOD環境が整います」と紹介している。  また、「テレワークの導入をサポートする各種ITツールは、セキュリティ対策の強化も進んでいます。これらを活用して、多様なワークスタイルを支える基盤を築いていくことが、今後の経営者の課題になってくるのかもしれません」と説いている。(編集担当:八木大洋)
安倍政権の成長戦略で「女性の活躍推進」が計画されるなど、ここへきて「働き方改革」が企業経営の課題として意識され始めた。
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2014-08-22 15:15