世界無形文化遺産の「和食」 中国での事業展開成功のコツ

日本経営管理教育協会が見る中国 第288回--宮本邦夫(日本経営管理教育協会会長)
「和食」が世界無形文化遺産に登録されてから間もなくして、在日の中国人から「腕のよい寿司職人を紹介してほしい」と相談を受けた。彼の友人が上海で寿司店を開きたいのだというのである。中国人も、「和食」に関心を持つぐらいであるから、日本人の中にも、中国に「和食」で進出したいと希望する会社、個人も少なくないであろう。そうした人たちに対して、中国に「和食店」を出店するコツを探ってみることにしたい。
● 進出する「和食」の絞り込みをする
一口に「和食」といっても、その種類は多く、範囲も広い。大企業なら、多種多様な「和食」を提供できるだろうが、中小企業や個人が進出する場合には、そのやり方は、あまりにもリスクが大きい。そこで、進出する「和食」の絞り込みをすることが必要である。例えば、寿司屋、うどん屋、蕎麦屋など、最初は、専業化して進出したほうが、リスクが少ない。進出後、経営が順調であれば、「和食」の種類を増やしていくという戦略を展開していく。
● 日本人が多く住む大都市を選ぶ
次に進出する都市であるが、最初は、やはり日本人が多く住む大都市のほうがよいであろう。ビジネスで長期滞在する日本人の多くは、美味しく安く食べられる「和食」に対する欲求が強い。その欲求を充たすような「和食」を提供していけば、その日本人の周辺にいる中国人も誘って来店してくれるはずである。中国人を満足させる「和食」であれば、彼らの口コミ、ブログなどによって評判になり、来客数増が期待できる。
● 大型商業施設の中に出店する
出店は、最初は日本人が多い上海や北京などの大都市がよいと指摘したわけであるが、大都市であれば、どこでもよいか言えば、決してそうではない。どこに出店するか、場所の選択も慎重にすべきである。当然のことながら、「人が多く集まる繁華街がよい」と考える向きが少なくないだろうが、郊外の大型商業施設が狙い目であることを指摘したい。というのは、中心の繁華街よりも安いコストで出店できるし、競合店も少なく、来客数も期待できるというメリットがあり、リスクが少ないからである。
● 出店の「コンセプト」を明確にする
「和食店」を出店するということは、寿司、うどん、蕎麦などの物品を提供することであると単純に考えてはならない。なぜ「和食」を提供するのか、出店の理念、つまり「コンセプト」を明確にすべきである。例えば「和食は健康食である」という理念、考えを決め、その理念、考えの下に店構えを行い、売り物を作り、PR活動を行うことである。当然のことながら、従業員に対しても、その「コンセプト」を理解させ、接客に当たるよう仕向けることである。
写真は南寧の日本食店。(執筆者:宮本邦夫・日本経営管理教育協会会長 編集担当:水野陽子)
「和食」が世界無形遺産に登録されてから間もなくして、在日の中国人から「腕のよい寿司職人を紹介してほしい」と相談を受けた。彼の友人が上海で寿司店を開きたいのだというのである。中国人も、「和食」に関心を持つぐらいであるから、日本人の中にも、中国に「和食」で進出したいと希望する会社、個人も少なくないであろう。そうした人たちに対して、中国に「和食店」を出店するコツを探ってみることにしたい。
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2014-01-08 13:30