スターティアは安値圏モミ合いだが煮詰まり感強めて動意のタイミング
電子書籍関連のスターティア <3393> は、8月22日に15年3月期配当予想の増額修正を発表した。株価は安値圏1500円~1600円近辺でモミ合う展開だが、煮詰まり感を強めて動意のタイミングであり、配当予想の増額修正も評価して出直りの動きが本格化しそうだ。
電子ブック作成ソフト「ActiBook」を主力として、Webアプリケーションを開発・販売するウェブソリューション関連事業、ネットワークアウトソーシング環境やクラウドサービスなどを提供するネットワークソリューション関連事業、ビジネスホンやMFP(複合機)などOA機器を販売するビジネスソリューション関連事業を展開している。
大手と競合しない全国中堅・中小企業をターゲットとして、ITインフラのワンストップソリューションを提供するとともに、ストック型収益の向上を推進している。アジア市場へも本格的に事業展開する方針だ。
14年6月には電子ブックポータルサイト「ActiBooks(アクティブックス)」を開設した。電子ブック作成ソフト「ActiBook」で作成した電子カタログ・電子ブックを無料で掲載できるポータルサイトで、10万冊以上が公開される予定だ。
7月31日発表の今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比10.6%増の19億11百万円、営業利益が6百万円(前年同期は15百万円の赤字)、経常利益が18百万円(同20百万円の赤字)、純利益が38百万円(同14百万円の赤字)だった。売上高、利益とも計画を上回った。
セグメント別売上高は、ウェブソリューション関連事業が同8.1%増の4億01百万円、ネットワークソリューション関連事業が同21.6%増の5億58百万円、ビジネスソリューション関連事業が同6.0%増の9億52百万円だった。ウェブソリューションでの「ActiBook」の好調、ネットワークソリューションでのネットワーク関連機器の好調に加えて、消費増税の反動影響の期間が想定よりも短かったようだ。ストック売上比率は同0.2ポイント上昇して36.0%だった。
利益面では、新卒84名の採用、ホスティングサービスでのセキュリティ強化、アジア地域への事業展開など先行投資負担の影響で、期初時点では第1四半期営業利益の計画を99百万円の赤字としていたが、増収効果で営業利益も計画を上回り6百万円の黒字となった。純利益については株式売却益も寄与した。
通期の連結業績見通しは前回予想(5月9日公表)を据え置いて、売上高が前期比13.2%増の92億48百万円、営業利益が同1.3%増の8億40百万円、経常利益が同1.2%増の8億66百万円、純利益が同0.2%増の4億33百万円としている。
セグメント別売上高の計画はウェブソリューション関連事業が同13.3%増の22億02百万円、ネットワークソリューション関連事業が同18.8%増の25億67百万円、ビジネスソリューション関連事業が同10.2%増の44億79百万円としている。利益面では、消費増税の反動影響や中期成長に向けた先行投資負担などで微増益見通しとしているが、第1四半期が計画を上回ったため通期ベースでも上振れ余地があるだろう。
なお配当予想については、7月25日と8月22日に配当方針の変更と配当予想の修正を発表している。7月25日の修正は中間配当を実施する形で年間配当予想額は前回予想(5月9日発表)を据え置いたが、8月22日の発表では配当性向を引き上げる形で年間配当予想額を前回予想(7月25日発表)から増額修正した。
7月25日発表では配当方針を「連結EPSの10%相当額を期末配当として年1回実施」から「予想連結EPSの10%相当額×3分の1を中間配当(基準日9月末日)として実施し、期末配当は業績に連動した年間配当から中間配当を差し引いたものとする」ことに変更した。この変更に伴って今期配当予想を前回予想の「期末一括で年間8円55銭」から「第2四半期末2円85銭+期末5円70銭=年間8円55銭」に修正した。年間配当額に変更はなく、中間配当実施へ変更の形だった。
そして8月22日発表では、前回予想(7月25日発表)で変更した配当方針のうち「予想連結EPSの10%相当額」を「予想連結EPSの15%相当額」に変更して配当性向を引き上げる形とした。この変更に伴って今期配当予想は、前回予想から第2四半期末配当を1円43銭増額して4円28銭、期末配当を2円85銭増額して8円55銭、年間配当を4円28銭増額して12円83銭とした。前期の年間15円(期末一括)との比較では2円17銭減配の形だが、前期の年間15円には記念配当6円45銭が含まれているため、前期の年間15円のうちの普通配当8円55銭に対しては4円28銭増配となる。
5月9日発表の「14年度~15年度2ヵ年経常利益計画」では、目標値として2ヵ年累計連結経常利益20億円(15年3月期8億66百万円、16年3月期11億34百万円)を掲げ、7月11日発表の「新・中期3ヵ年利益計画」では、連結経常利益の目標値として15年3月期8億86百万円、16年3月期11億34百万円、17年3月期14億円を掲げた。初年度の15年3月期は先行投資負担で小幅な伸びにとどまるが、2年目の16年3月期以降は先行投資を平常に戻しつつ、安定的な成長を継続するとしている。さらなる規模拡大や継続的成長に向けて、M&Aなど積極的な資本・業務提携も推進する方針だ。
なお8月12日には自己株式取得を発表している。取得株式総数の上限は2万5000株(自己株式除く発行済株式総数に対する割合0.49%)、取得価額総額の上限は4000万円で、取得期間は14年8月13日~14年11月28日としている。
株価の動き(14年2月28日付で東証マザーズ市場から東証1部市場へ市場変更)を見ると、5月の年初来安値1305円から6月には1600円台まで戻したが、その後は上値が重く1500円~1600円近辺でモミ合う展開だ。ただし煮詰まり感も強めている。足元では8月12日に1451円まで調整したが、自己株式取得発表も好感する形で反発し、8月22日には1595円まで戻す場面があった。
8月22日の終値1585円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円51銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(8月22日修正後の会社予想の年間12円83銭で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS689円67銭で算出)は2.3倍近辺である。週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線を突破し、13週移動平均線が上向きに転じた。モミ合い煮詰まり感を強めて動意のタイミングであり、強基調に転換して出直りの動きが本格化しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
電子書籍関連のスターティア<3393>(東1)は、8月22日に15年3月期配当予想の増額修正を発表した。
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2014-08-25 09:15