「ジャックハニー」の浸透で一段と広がるジャックダニエルの楽しみ方

 ウイスキーのソーダ水割りである「ハイボール」が人気を集め、改めてウイスキーの魅力がクローズアップされている。「ハイボール」の人気は、日本に独自の現象のようだが、北米ではウイスキーに蜂蜜やハーブなどで風味を付けたフレーバードウイスキーが人気化し、若年層や女性がウイスキーを好んで飲むようになってきているという。2013年秋に米国で人気のフレーバードウイスキー「ジャックダニエル テネシーハニー」を日本で発売開始したブラウン・フォーマン ビバレッジス ジャパンのマーケティング マネージャー青木盛道氏に、世界的なウイスキー市場の現状について聞いた。(写真はブラウン・フォーマン ビバレッジス ジャパンのマーケティングマネージャー青木盛道氏、サーチナ撮影) ――日本ではテレビCMなどで露出が大きかった「ハイボール」の人気で、ウイスキーの売り上げが好調です。世界のトレンドは?    世界的にウイスキーの消費は、“白ものスピリッツ”といわれるウオッカやジンなどと比較して、より大きな伸びになっています。  日本でのハイボール人気は、食事をしながらウイスキーを飲むという市場を再活性しました。その結果、若い層の方々や女性がウイスキーを飲むようになってきています。  一方、北米での最近のトレンドは、ウイスキーに蜂蜜やハーブなどで風味付けしたフレーバードウイスキーのブームが起きています。たとえば、「ジャックダニエル テネシーハニー(ジャックハニー)」は2011年にアメリカで発売され、ハニー系のフレーバードウイスキーをけん引するヒット商品になりました。他にも、シナモン風味のスパイシーなフレーバードウイスキーも人気を集めています。また、カナディアン・ウイスキーには、お国柄からかメイプルシロップ風味の商品もあります。  このようなフレーバードウイスキーは、それまではウイスキーに興味のなかった女性にも広がった一方で、従来からのウイスキーの消費者であった男性にも受け入れられました。そして、「ジャックハニー」の人気化は、定番商品である「ジャックダニエル ブラック」の人気を押し上げる効果に働いています。 ――「ジャックハニー」は2013年9月に日本で発売開始になりました。約1年間を経過しましたが、日本でのフレーバードウイスキーへの反応は?  想定以上に幅広い層に受け入れられています。店頭では男女を問わず広く、ご愛飲いただいています。また、バーや居酒屋などの外食産業でも大変好評です。  当初は、アメリカでも人気の高い飲み方でもある“チルドショット”という飲み方を中心に提案していました。ボトルを冷凍庫で冷やしてショットグラスに注いで飲むという飲み方です。また、クラッシュアイスを満たしたグラスに注いで飲む“ミスト”という飲み方や、ジンジャーエールで割る「ジャックハニー・ジンジャー」も提案していました。  そして、この頃ではミルクで割って飲む「ジャックハニー・ミルク」という飲み方が急速に広まりつつあります。  もともと「ジャック ダニエル ブラック」は熟成に使われる内側を焦がしたオークの新樽による、バニラやキャラメルの豊かな香りがあり、カクテルのベースとして昔から好まれたウイスキーだったのです。コーラと割った「ジャックコーラ」は、古くから定番のカクテルとして人気がありました。  その「ジャック ダニエル ブラック」と非常に相性が良いハチミツの風味が加わった「ジャックハニー」は、なめらかな口当たりと上品な甘みが特徴です。その味わいは、まろやかさが増したことで、たとえばバニラクリームにかけて楽しむ、ホイップクリームに混ぜてデザートにするなど、より幅広い使い方ができるようになりました。 ――ウイスキーに対する需要が拡大する中で「ジャックダニエル」の今後のマーケティング戦略は?  既存顧客や、ウイスキーを既に愛用しているセグメントにはテネシーウイスキー「ジャックダニエル」と、「アーリータイムズ」などバーボン・ウイスキーの違いとは何かといったような、基本的な情報を丁寧に伝えていきたいと思っています。そもそもバーボン・ウイスキーが「バーボン」であるためには、いろいろな条件があるのですが、特徴的なこととして、原酒を熟成させる樽を新しい樽に限るという条件があります。この条件は、テネシーウイスキーも同じです。「ジャック ダニエル」ではウイスキーの味、香り、色の多く司る樽にこだわり、自社製の樽を使用しています。  テネシーウイスキーは、原酒を樽詰めする前にサトウカエデの炭でろ過するチャコール・メローイングと呼ばれる過程を加えています。このろ過のひと手間が加わることで、まろやかで豊かな風味が増すのです。  さらに、「ジャックダニエル」には、樽熟成後に、もう一度チャコール・メローイングによるろ過を行って風味付けをした「ジェントルマンジャック」という銘柄があります。  また、樽による熟成は、寒暖差の大きな地域で数年間にわたって行われるのですが、樽の倉庫の中で、一番上の部分の、もっとも気温変化が大きな場所で熟成された、もっとも状態が良い樽を厳選し、他の樽のウイスキーと混ぜずに瓶詰したものが「ジャックダニエル シングルバレル」です。  「ジャック ダニエル ブラック」と「ジャックダニエル テネシーハニー」は、ジャックダニエルを代表する商品として、引き続き、多くの方々、特に20代の若者や女性に飲み方や、飲む場面の提案も含めて、様々な提案を行っていきたいと思っています。そこで、「ジャックダニエル」に触れていただいた方々に、より丁寧な情報提供を行うことによって、「ジェントルマンジャック」などにも興味を持っていただけるようになると思います。  また、この秋には、「ジャックダニエル」の人気を不動のものに押し上げてくださった故フランク・シナトラ氏にちなんだ新商品「Sinatra Select」と名付けた限定商品も出す予定です。これはシナトラ氏を評する「ボールド(大胆な)&スムーズ」という言葉(大胆な人柄と滑らかな歌声)に適うような味わいに仕上げました。この新商品は、樽の内側に溝を切って、樽の成分がより出やすくした状態で熟成させたウイスキーを、通常の「ジャックダニエル」にブレンドしています。  このように、大切に育ててきたウイスキーの生い立ちを知っていただくことで、これまで以上に「ジャックダニエル」に親しみを感じていただけるようになると思うのです。そして、「ジャックダニエル」が大切にしている価値に気付いていただくことで、お酒を飲みたくなった時に、当たり前にチョイスする銘柄のひとつに「ジャックダニエル」を加えていただくことができると考えています。(編集担当:徳永浩)
ウイスキーのソーダ水割りである「ハイボール」が人気を集め、改めてウイスキーの魅力がクローズアップされている。「ハイボール」の人気は、日本に独自の現象のようだが、北米ではウイスキーに蜂蜜やハーブなどで風味を付けたフレーバードウイスキーが人気化し、若年層や女性がウイスキーを好んで飲むようになってきているという。
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2014-08-25 17:15