東洋ドライルーブは15年6月期減収減益見通しに対する反応は限定的、短期調整が一巡して出直り
ドライルーブ製品コーティング加工の東洋ドライルーブ <4976> (JQS)の株価は、6月の戻り高値1700円から一旦反落したが、5月の年初来安値1488円水準まで下押す動きは見られない。8月8日発表の今期(15年6月期)減収減益見通しに対する反応も限定的で、足元は概ね1580円~1600円近辺で推移している。短期調整が一巡して出直り展開だろう。低PERと低PBRも支援材料だ。
ドライルーブ(固体皮膜潤滑剤)製品のコーティング加工を主力として、その他事業ではナノカーボン製品の製造も展開している。海外は中国、タイ、ベトナムに展開している。中期成長に向けた事業戦略では、発熱皮膜や放熱皮膜など新製品・新加工技術の開発、アジア地域を中心としたグローバル展開を推進する方針だ。
ドライルーブとは二硫化モリブデン、フッ素樹脂、グラファイトなどの潤滑物質と各種特殊バインダーをハイブリッド配合し、各種溶剤または水に分散させた有機結合型の多機能皮膜である。耐摩耗性に優れているため自動車機器、デジタル家電、デジタルカメラなどの駆動伝達部で、オイルやグリースなどの液体潤滑剤を使用できない部位にコーティング皮膜として使用される。
8月8日発表の前期(14年6月期)連結業績は売上高が前々期比8.3%増の51億30百万円、営業利益が同7.9%増の3億92百万円、経常利益が同27.3%減の4億05百万円で、純利益が同5.6%減の3億01百万円だった。配当予想は前々期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)とした。経常利益と純利益は営業外収益での外貨建て資産為替評価益の減少が影響して減益だったが、自動車機器業界向けや光学機器業界向けの好調で増収・営業増益だった。
セグメント別売上高は、ドライルーブ事業が同8.3%増の51億10百万円(自動車機器業界向けは新規受注品の量産化も寄与して同11.7%増収、光学機器業界向けはタイの生産増などで同15.5%増収、電気・電子機器業界向けは同5.7%減収、その他業界向けは同11.0%減収)だった。その他事業は同7.8%増の19百万円だった。
今期(15年6月期)の連結業績見通しについては売上高が前期比1.9%減の50億30百万円、営業利益が同21.9%減の3億06百万円、経常利益が同9.1%減の3億68百万円、純利益が同17.9%減の2億47百万円、配当予想が前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。
自動車機器業界向けは底堅い受注を見込んでいるが、電気・電子機器業界向けが伸び悩み、利益面では販売価格引き下げ要請などが影響して減収減益見込みとしている。海外連結子会社の生産性改善も課題としている。セグメント別売上高の計画は、ドライルーブ事業が同2.0%減の50億07百万円(自動車機器業界向け同2.7%減収、光学機器業界向け同10.4%増収、電気・電子機器業界向け同11.3%減収、その他業界向け同0.7%減収)で、その他事業は同21.1%増の23百万円としている。
株価の動きを見ると、6月の戻り高値1700円から一旦反落したが、5月の年初来安値1488円水準まで下押す動きは見られない。8月8日発表の今期減収減益見通しに対する反応も限定的で、足元は概ね1580円~1600円近辺で推移している。
8月25日の終値1620円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS186円55銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS4276円42銭で算出)は0.4倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が下値を支える形となり、一旦割り込んだ13週移動平均線突破の動きを強めている。短期調整が一巡して出直り展開だろう。低PERと低PBRも支援材料だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
ドライルーブ製品コーティング加工の東洋ドライルーブ<4976>(JQS)の株価は、6月の戻り高値1700円から一旦反落したが、5月の年初来安値1488円水準まで下押す動きは見られない。
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2014-08-26 09:15