中国人観光客のマナー問題 日本のルール伝えることから始めよう

 先月7/24三菱総合研究所主催のセミナーで講演を行った。逆張り経営で中国市場を攻めるというテーマでした。約40名の方が参加。改めて感謝申し上げます。その中で、気になったポイントを数回に渡りお伝えしていきたい。 ■中国政府のネガティブキャンペーンに反し、高く評価される「訪日旅行」  先日JNTO(日本政府観光局)が、来日観光客数を発表した。2014年上期累計626万人で、前年比126.4%となっている。特に中国人観光客が前年比88.2%増上期で100万人を突破した。これは過去最高であった。  日本を訪問する観光客数は去年初めて年間1000万人を超えているが、これは世界の都市と比較すると、フランス(約7000万人)、米国(約6976万人)、スペイン(約6066万人)や、アジアではタイ(2654万人)や、マレーシア(2571万人)と比べると、少ない数字である。日本の経済活性化の一環として、観光業の発展は必要不可欠であると考える。その上で、中国人観光客の訪日は今後のキーとなりそうだ。  中国人の訪日の増加理由は確かに円安に加えて、中国の旅行社が訪日は儲ける手段として考えているようだ。円安であれば、他の国の観光客も増えるはずであるが、韓国人観光客の訪日数が前年割れ見込を考えると、中国の前年比188.2%と言うのは突出している。それはなぜか?  それは日本人の「おもてなし」、「食事の安全性」、「きれいな風景」等が評価されているからだ。また、それらは、金余りの富裕層が、中国政府のネガティブキャンペーンに反して、「期待地より高かった」という評価につながっている。これは、マーケティング上の満足度を高める非常に重要な要素となっている。 ■日本の習慣を知らないことが「マナーの悪さ」につながっている  ただ、一つ気になることとしては、「マナーの悪さ」である。残念ながら、一部の悪い中国人の噂は、瞬く間に広がって行ってしまう。これでは、島国日本人は性格上心を閉ざしたり、拒否反応を示してしまいます。試食コーナーでたくさん食べたり、ホテルのポットでインスタントラーメンを沸かしたり、電車の中で、大声で話をしたり等、皆さんも身に覚えがあるでしょう! でもこの習慣はしばらく変わりません。  でも一つ言えることは、日本の良さを、言い方を工夫して、中国人観光客に伝えることです。これは中国人も日本同様「ハイコンテキストコミュニケーション」の人が多いためである。言わないと通じないのです。  さらに顔が似ているので、伝えなくても判るだろうと日本側の誤解も相まって、トラブルになっている。単純に日本の習慣を知らないだけで、日本に来る富裕層は、日本のマナーを伝えると、変わると確信しています。まずはマーケティングのAIDMA(Awareness, Interest, Desire, Memory, Action )のAwarenessから始めることがポイントである。 ■各シーン別 日本のルールはこう伝えよう 1. 試食コーナー  例えば1人1つまでと表示をしてみるのもいいことです。  かれらは人の前で面子をつぶされたくないので、きちんと伝えると、一応守る人が出てきます。但し説明しないと、2個でも3個でも食べてしまいます。  また、中国人は小売店で販売している製品が故障していない製品を確かめる為に、必ず電源を入れて確かめます。その習慣を逆手に取り、日本で食品を販売するのであれば、積極的に試食をしてもらいましょう。富裕層であれば、きっと日本食の良さを分かってもらい、いい印象を持ってもらえるでしょう。中国国内の一部の聞き分けのない中国人と違うので、自信を持ってルールを伝えましょう。 2. ホテルの表示や、スタッフで中国語対応を強化する  インスタントラーメン等を食べる際に、ポットに入れたりします。これもすぐ直せる習慣ではないので、部屋や、ホテルのサービス紹介のページに中国語で書くのが良いでしょう  日本人観光客のうち、実に65%は韓国、中国、台湾、香港人です。東南アジア人観光客は華僑も多いので、それらを考慮すると、日本語、英語、中国語、韓国語は必須である。  今以上に中国語の表記を増やすことにより、サービスする側も、中国人も不快な思いを回避するだけではなく、喜んで楽しめる日本旅行にしてほしい。 3. 中国人観光客に対してマナーを教える機会を探す  私自身はマナーを教えるスキルはないが、最近、マナーを教えたいと気持ちを持っている方も何人も知っているので、そういう方にマインドを共有することにより、日本のいいマナーがどんどん広がればと願っている。  中国人の中間層であれば、マナー教育は少し時間がかかるかも知れないが、富裕層であれば、確実にレベルの高い人も存在している。よその国で傍若無人というのは私の周りにいる中国人の様子からありえない。中国人の枠を超えて、グローバルで活躍する人への教育になること間違いない。  それらの地道な活動は、国家を信頼しない中国人に対する心を動かすきっかけになると考えるし、中国にいかなくても、身近にいる中国人からヒントを得ることも多いので、ぜひ参考にしてほしい。(執筆者:廣田(李) 廣達 提供:中国ビジネスヘッドライン)
先月7/24三菱総合研究所主催のセミナーで講演を行った。逆張り経営で中国市場を攻めるというテーマでした。約40名の方が参加。改めて感謝申し上げます。その中で、気になったポイントを数回に渡りお伝えしていきたい。
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2014-08-26 11:45