中国工場・作業者に作業の理由を理解させよう・・・動機づけが大切

 中国工場の品質管理構築や品質改善の仕事をしている関係で、「中国の工場と日本の工場との違いは何ですか?」と聞かれることがあります。それに対する回答として、「当たり前のことができているのが日本工場で、それに対して、当たり前のことができていないのが中国工場です」と、このようなことを言うことがあります。  ここで言う中国工場とは、中国企業の工場ということではありません。中国企業の工場だけが当たり前のことができていない訳ではなく、日系の中国工場でも当たり前のことができていないのが実状です。 ■「当たり前のこと」とは?  では、ここで言う「当たり前」のこととは、いったい何でしょうか?  それは、工場で守られているべき、または、実施しているべき基本管理のことと考えてください。  基本管理とは、 ・時間順守 ・作業標準を作る、手順書を守る ・記録を付ける ・識別管理のための表示をする ・ものの置き場を守る ・検査で発見した不良品の処置をルール通りにやる ・部品や製品を丁寧に扱う などです。  例えば「時間順守」の問題です。始業のベルが鳴ったらすぐに作業が始められる状態になっているでしょうか。そのときに作業者がまだ更衣室にいるとか、廊下を歩いたりしていませんか。 「部品や製品を丁寧に扱う」では、工程や倉庫でものを投げたりしていませんか。  このように工場として当たり前に出来ていなければならないことのことです。  こうした当たり前のことができるようにすることが、工場での不良発生や流出を防ぎ、利益につながってくるのです。  当たり前のことがきちんとできていれば、そうそう不良が発生し、それが顧客の手元にいってしまうことはありません。繰り返しになりますが、当たり前のことができていないのが中国工場なのです。 ■「当たり前のこと」をやるためには?  では、当たり前のことをしっかりやるためには、どうしたらよいでしょうか?  当たり前のことをしっかりやるために必要なことはいくつかありますが、そのひとつを紹介します。それは、理由をちゃんと教えることです。理由とは、例えば、記録を付ける理由、作業がそのやりかたをしている理由、その作業自体が必要な理由などです。  工場の中の作業や検査には、必ず実施している理由や、そのやり方をしている理由があるはずです。その理由を作業者の人たちにちゃんと教育することが実はとても重要なことなのです。  この作業は、どうしてこのようなやり方をしているのか、その理由を知っていれば、勝手にやり方を変えることは少なくなります。また、記録も「どうして付けるのか」を知っていれば、いい加減な記録はなくなってきます。  いちばんまずいのは、ただ単に作業をやらせていることです。どういうことかと言いますと、作業者が自分のやっている作業がいったい何をしているのかわからない、自分がいったい何を作っているのか知らないなどです。もちろん、作業者の人たちも心を持った人間ですから、自分が何をしているのかわからないことほど人として悲しいことはありません。  作業者の心や感情を満たすために作業の動機づけをしてください。これも重要な人材マネジメントと言えます。(執筆者:根本 隆吉 提供:中国ビジネスヘッドライン
 中国工場の品質管理構築や品質改善の仕事をしている関係で、「中国の工場と日本の工場との違いは何ですか?」と聞かれることがあります。それに対する回答として、「当たり前のことができているのが日本工場で、それに対して、当たり前のことができていないのが中国工場です」と、このようなことを言うことがあります。
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2014-08-26 11:45