チムニーは日柄整理のほぼ最終局面、14年12月期増収増益見通しを評価して反発のタイミング
大手居酒屋チェーンのチムニー <3178> の株価は、4月の上場来高値2675円から反落して上値を切り下げる展開となった。そして8月以降は概ね2000円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だ。ただし4月急騰後の日柄整理のほぼ最終局面のようだ。主要株主との連携強化の効果も期待され、今期(14年12月期)増収増益見通しを評価して反発のタイミングだろう。
売上高が業界5位規模の居酒屋チェーンで、漁業などの一次産業、食材加工などの二次産業、店舗で商品を提供する三次産業まで一括管理する「飲食業の六次産業化」に向けた取り組みを強化している。仕入面では子会社の魚鮮水産が愛媛県で漁業権を保有し、13年には新たに2つの買参権を取得した。
飲食事業は、主力の居酒屋業態「はなの舞」や「さかなや道場」を直営とFCで展開し、軍鶏(しゃも)をメインとする「龍馬軍鶏農場」業態、新鮮な肉と魚の両方を浜焼きスタイルで楽しむ「豊丸水産」業態の新規出店も積極推進している。13年7月には新業態を推進する子会社「めっちゃ魚が好き」を設立した。
コントラクト事業は、居酒屋事業で培った店舗運営ノウハウを活用して、官公庁の施設内を中心に受託食堂を展開している。店舗メニューの見直しや人員配置の再構築で収益力強化を目指し、14年4月には新たに船橋中央病院(千葉県船橋市)における食堂事業を受託した。さらに16年度の新規受託に向けて入札準備を進めている。
8月7日に発表した今期(14年12月期)第2四半期累計(1月~6月)の連結業績は、売上高が226億82百万円、営業利益が15億17百万円、経常利益が15億56百万円、純利益が7億80百万円だった。前年同期は連結財務諸表を作成していないため単純比較はできないが、前年同期の非連結ベースとの比較で見ると5.8%増収、6.8%営業減益、5.2%経常減益、7.4%最終増益だった。なおグループ全体の売上高は同4.6%増の343億68百万円だった。
新規連結や新規出店効果などで増収となり、商品ロスの低減、調理技術力の向上、買参権活用による仕入の効率化、メニューミックスによる原価低減などの効果で売上総利益率が0.6ポイント上昇したが、人件費の増加などが影響して営業減益だった。ただし売上高・利益とも期初計画を上回った。既存店売上高は前年同期比98.9%で消費増税の影響は軽微のようだ。
通期の連結業績見通しは前回予想(2月7日公表)を据え置いて、売上高が464億24百万円、営業利益が32億60百万円、経常利益が33億07百万円、純利益が15億87百万円としている。連結初年度のため前期の非連結ベースとの比較で見ると5.4%増収、5.2%営業増益、3.1%経常増益、10.9%最終増益となる。配当予想は前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。
既存店売上高は前期比98.0%、グループ全体の売上高は同3.4%増の700億円、新規出店は直営30店舗、FC5店舗、閉店は直営12店舗、FC12店舗の計画としている。新規出店、業態転換による既存店活性化、仕入価格見直しやメニュー改定による原価安定化、業務効率化や経費コントロール徹底などの効果が寄与して増収増益見込みだ。新規出店については、競合店が少なく高いROI(投資収益率)が見込める山陰・山陽道、四国、東北エリアへの出店を強化する方針だ。
月次の売上動向(直営店全業態、前年比)を見ると、14年7月は既存店が98.5%、全店が98.8%、1月~7月累計は既存店が98.8%、全店が100.7%となった。既存店売上高は通期計画を上回る水準で推移している。7月の出店状況は新規出店が6店舗、退店が0店舗で、14年7月末の店舗数は直営403店舗(うちコントラクト100店舗)、FC301店舗の合計704店舗となった。この他に、子会社の紅フーズコーポレーション「新橋やきとん」14店舗、めっちゃ魚が好き「豊丸」「鶴金」10店舗がある。
親会社やまや <9994> との連携については酒類の共同調達、新商品の調達、物流、物件開発など広範囲にわたる双方へのメリットが出る施策を進めていく予定だ。また14年3月にアサヒグループホールディングス <2502> 傘下のアサヒビールが投資ファンドの米カーライル・グループが保有する当社株式を買い取って第2位株主となった。やまや、アサヒビールとの連携強化の効果が期待され、中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動き(14年3月4日付で東証2部から東証1部へ指定替え)を見ると、急伸した4月の上場来高値2675円から反落して上値を切り下げる展開となった。7月30日に動意付いて2218円まで戻す場面があったが買いが続かず、8月以降は概ね2000円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だ。ただし4月急騰後の日柄整理のほぼ最終局面だろう。
8月26日の終値2003円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS84円38銭で算出)は23~24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は1.0%近辺、実績PBR(前期実績の非連結ベースのBPS601円58銭で算出)は3.3倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形となったが、日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。日柄整理のほぼ最終局面で、今期増収増益見通しを評価して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
大手居酒屋チェーンのチムニー<3178>(東1)の株価は、4月の上場来高値2675円から反落して上値を切り下げる展開となった。
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2014-08-27 09:15