日本マニュファクチャリングサービスは調整のほぼ最終局面、収益改善基調を評価して反発のタイミング

  製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス <2162> (JQS)の株価は、6月の戻り高値485円から反落して調整局面となった。8月12日にジャフコ <8595> の当社株式保有比率低下を好感して一旦448円まで戻す場面があったが買いが続かず、8月26日には361円まで調整した。ただし8月26日は終値で前日比プラス圏に戻している。調整のほぼ最終局面のようだ。売られ過ぎ感も強めており、収益改善基調を評価して反発のタイミングだろう。   製造請負・派遣のIS(インラインソリューション)事業、修理・検査受託のCS(カスタマーサービス)事業、技術者派遣のGE(グローバルエンジニアリング)事業、子会社の志摩グループとTKRグループが展開する開発・製造受託のEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)事業を展開している。なお15年3月期からIS事業、CS事業、GE事業を総称してHS(ヒューマンソリューション)事業とした。   基本コンセプトとして、日本、中国、アセアン諸国における人材ビジネス事業とEMS事業の融合によるトータルソリューションサービス「neo EMS」を掲げている。製造アウトソーシング企業NO.1を目指す戦略に大きな変化はないが、サービスの一段の高付加価値化に向けて開発・設計といった製造業の上流プロセス分野の機能を強化している。単なる製造アウトソーサーから、キーテクノロジーを有して技術競争力を備えた企業グループへの変革を進める方針だ。   第1弾として13年10月、TKRが日立メディアエレクトロニクス(日立ME)の電源事業、トランス事業、車載チューナー事業、映像ボード事業を譲り受け、水沢工場(岩手県奥州市)を取得した。拠点配置の適正化によって効率的な生産体制構築も推進している。   第2弾として14年3月、パナソニック <6752> の車載向け除く電源および電源関連部品事業(高圧電源、低圧電源、マグネットロール、トランス)を譲り受ける基本合意書を締結し、6月26日に事業譲受契約を締結した。事業譲受期日は14年10月1日(予定)で、受け皿会社となるパワーサプライテクノロジーの株式14.9%をパナソニックが保有する。   日立MEおよびパナソニックからの事業譲受により、当社グループの電源事業は国内電源メーカー上位に匹敵する規模となる。電源に関する技術ノウハウの蓄積・融合を図り、電源関連事業を当社グループのキーテクノロジー分野として、LED照明、空気清浄器、エアコン、複写機向けなどに新規顧客開拓を推進し、EMS事業の高付加価値化も推進する戦略だ。   中国での事業展開に関しては、14年3月施行の「中国労務派遣暫定規定」において、使用する派遣労働者の数は派遣先企業の労働者総人数の10%を超えてはいけない等が規定されることになり、中国の労働政策が派遣から請負に転換する見込みとなった。メーカー各社にとって派遣に代わる外部リソースの活用が必要になり、解決策として日本式の製造請負が注目されている。   そして中国労務派遣専門委員会で製造請負(承欖)をルール化するためのプロジェクトが発足し、当社および子会社の北京中基衆合国際技術服務有限公司がプロジェクトに参画することになった。このため中国の製造業においては今後、製造請負の市場拡大が予想され、プロジェクトに参画している当社の競争優位性が確立できる見込みとなっている。   8月11日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比17.0%増の116億30百万円、営業利益が87百万円(前年同期は2億30百万円の赤字)、経常利益が29百万円(同29百万円の赤字)、純利益が4百万円(同1億55百万円の赤字)だった。日立MEからの事業譲受などで人件費が増加したが、増収効果やEMS事業の利益率改善などで営業黒字化した。売上総利益率は11.0%で同2.8ポイント改善した。   セグメント別(内部取引・全社費用等調整前)動向を見ると、HS事業は売上高が同15.4%増の33億24百万円、営業利益が36百万円の赤字(同1億12百万円の赤字)だった。採用力強化などでIS事業が増収となり営業赤字が縮小した。EMS事業は売上高が同18.1%増の84億01百万円、営業利益が1億19百万円の黒字(同1億23百万円の赤字)だった。日本での事業構造改革による採算性改善、中国での為替レートの見直しや一時的な労務費の影響一巡などで営業黒字化した。   通期の連結業績見通しは前回予想(5月15日公表)を据え置いて、売上高が前期比16.5%増の488億円、営業利益が4億90百万円(前期は6億43百万円の赤字)、経常利益が5億10百万円(同1億75百万円の赤字)の黒字化見込み、純利益は負ののれん発生益一巡で同50.7%減の3億20百万円、配当予想は前期と同額の年間3円(期末一括)としている。   HS事業は国内での採用強化、海外でのメーカーからの人材転籍などで在籍数が増加して増収増益見込みだ。EMS事業は、前期営業損益悪化の主因となった中国における日系メーカーの生産減少や人件費上昇といった一過性要因が解消し、オペレーション改善、日立MEから譲り受けた案件の本格稼働、海外増産などが寄与して営業損益が大幅に改善する。さらに来期(16年3月期)はパナソニックから譲り受けた電源関連事業が本格寄与する。収益は改善基調だろう。   なお8月11日に、当社取締役兼子会社TKR代表取締役塩澤一光が長期安定保有を目的として当社株式の買付を行うことを決定し、ジャフコ <8595> のジャフコ・バイアウト2号投資事業有限責任組合およびJAFCO Buyout No.2 Investment Limited Partnershipと株式譲渡契約を締結して、8月14日に142万6500株を取得すると発表した。これにより塩澤一光が大株主順位3位となる。   また8月12日に、東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)によって142万6500株を取得した。これによってジャフコ・バイアウト2号投資事業有限責任組合の大株主順位が1位から4位に低下し、当社代表取締役社長小野文明が筆頭株主となった。この結果、ジャフコのファンドによる当社株式保有比率は合計で37.3%から10.9%に減少し、株主の安定化が進んだ。   株価の動き(14年1月1日付で株式100分割)を見ると、パナソニックとの電源事業譲渡契約締結を好感した6月27日の戻り高値485円から反落して調整局面となった。8月12日にはジャフコの当社株式保有比率低下を好感して一旦448円まで戻す場面があったが買いが続かず、反落して8月26日には361円まで調整した。ただし8月26日は終値で前日比プラス圏に戻している。調整のほぼ最終局面のようだ。   8月26日の終値368円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS31円30銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS451円79銭で算出)は0.8倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離が拡大して売られ過ぎ感も強めている。収益改善基調を評価して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス<2162>(JQS)の株価は、6月の戻り高値485円から反落して調整局面となった。
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2014-08-27 09:15