外国人の不動産インバウンド投資
日本経営管理教育協会が見る中国 第321回--下崎寛(日本経営管理教育協会会員)
● 虎ノ門ヒルズのコンドミニアムにも外国人が投資
最近、外国人による日本、特に東京23区の不動産を購入する案件が増えてきた。特に、目立つのは台湾人、香港人等の華僑系中国人の富裕層が購入している例が多い。聞くところによると、2014年(平成26年)6月にオープンした虎ノ門ヒルズのコンドミニアムが販売され、10数戸を台湾人が購入したといわれている。また、2008年頃には、北海道の森林が外国人に購入されて、国土保全、水源確保等から問題されたこともあった。
● 日本の土地や不動産は外国人が自由に購入できる
さて、日本には、1925年(大正14年)に制定された「外国人土地法」という法律があり、外国人の土地購入については、一応規制がかけられるようになっているが、現在は施行されておらず、基本的には、外国人は自由に日本の不動産を現金で購入できるようになっている。
不動産の開放度について世界を見てみると、中国をはじめとするアセアン諸国の新興国では、原則外国人は土地を購入することができない。(中国を新興国といってはどうかと思うが、中国は大国意識を持ちながらも、都合によって自国を新興国を称したり、使い分けているのでここでは新興国とする。)一方、日本をはじめ、アメリカ、イギリス、フランス等の先進国では、基本的には外国人が不動産を自由に購入できるようになっている。
● 外国人が東京の不動産に着目する理由
最近の外国人が東京の不動産を購入する目的は、円安と2020年の東京オリンピックの開催、自国の政治経済よりも東京の方が長期的に安定している等の理由だという。さらに、彼らは東京の不動産の安定性を重視し、東京の中心街を前提に希少価値のある物件に投資している。それは、単なるレンタルを目的とするのではなく、値下がりのしない長期的保有を目的とし、いつでも換金ができること等から購入していることである。貧乏性の理屈っぽい日本人の感覚と異なり、アジアの流れを俯瞰し、投資活動を行っていることには驚くものである。
● 外国人が不動産購入時の留意点
なお、外国人が東京の不動産を購入する場合注意すべきことは、個人で購入した場合、5年以上日本に居住している外国人は、国外財産調書制度対象となり、自国で保有している財産が5000万円超あれば、申告義務があること、非居住者(1年以上日本に居住している外国人以外の外国人)であればその不動産を売却したり、不動産を賃貸したりすると源泉所得税が徴収されることがある。
日本では、外国人は自由に不動産を購入、保有、売却ができるけれども、税金、ビザ等の規制が世界で一番厳しい国であることを頭に入れておく必要がある。
写真は虎ノ門ヒルズ。(執筆者:下崎寛・日本経営管理教育協会会員 編集担当:水野陽子)
最近、外国人による日本、特に東京23区の不動産を購入する案件が増えてきた。特に、目立つのは台湾人、香港人等の華僑系中国人の富裕層が購入している例が多い。聞くところによると、2014年(平成26年)6月にオープンした虎ノ門ヒルズのコンドミニアムが販売され、10数戸を台湾人が購入したといわれている。また、2008年頃には、北海道の森林が外国人に購入されて、国土保全、水源確保等から問題されたこともあった。
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2014-08-27 10:45