なぜ中国人は子どもを連れて日本へ旅行するのか?(後編)

 中国では近年、子ども連れの海外旅行が盛んです子どもの視野を広げるためにいち早く外国の文化に触れさせ、体験させたいからです。そして多くの親が、旅先に日本を選びます。なぜなのか? 子どもに何を見せたいのか? 実際に日本に行ってみてどんな感触を得たのか? これらの疑問に興味をもち、日本の旅から戻ったばかりの3組の親子にインタビューしてみました。今回は、インタビューの後半です。 ■Q2.子どもたちの印象に残ったことは何ですか?  なんといっても「きれい」ということですね。空気も、水も、人の笑顔も、いたるところが清潔だとわかります。  高速道路の休憩所のトイレの写真をたくさん撮りましたよ。その清潔さ、設備の完備性、そして細かいところへの気配りに驚かされました。  休憩所の駐車場には「歩行者専用道路」が設けられていて、目立つ色で塗られているので、車と人で混雑しても安全面の心配がないのです。  トイレの使用状況は電光掲示板で案内していて、混み具合などは一目瞭然です! そして、トイレのドアや壁にかわいい絵があるので、子どもたちがたいへん喜んでいました。この絵はご当地のシンボルなので、さりげなく地元の宣伝効果もありますね。  とにかく、細かい配慮と思いやりが溢(あふ)れていて、長距離のバスの疲れとイライラ感もふっ飛びました。   また、トイレットペーパー、洗面台は、子どもの身長に合わせて設置されています。子どもたちは手を洗った後に何気なく洗面台の水滴を拭きました。たぶんこんなにきれいなのだから、自分たちもきれいに使わなきゃと自然に思ったのでしょう。子どもたちにとってよい教育にもなります。 ■Q3.以前の旅と変わったことがありますか?  7年前にもパッケージツアーで日本に行ったことがありますが、その時と比較すると、今回のツアーには買い物の項目がかなり増えました。「免税店」と銘打っていますが、値段はかなり高かったです。  その店で扱っている化粧品、スキンケア、健康食品などは普通のデパートやドラッグストアでは見かけないものばかりでした。店員さんの薦めで1本1万円もする洗顔料を買いました。メーカーは大阪の会社だそうですが、後日、在日の友人に調べてもらったところ、会社の名前も住所も架空のものでした。その洗顔料を使うか使わないか迷っていますね(笑)。  中国人観光客は「日本製のものは質が高い、日本で買ったものは偽物がない」と信じ込んでいるので、値段が高くでも買いたいという人がほとんどです。でも、以前と比べると100%信用できないですよね。その点は少し残念だと思います。 ■Q4.ほかに感じたことがありますか?  私たちはヨーロッパ諸国、アメリカやカナダへのパッケージツアーにも行ったことがありますが、いつも不思議に思うことは、他の国のツアーでは食事のほとんどが中華料理なのに、なぜか日本のツアーは全部和食です。もちろん、和食もいいですが、せめて1食、2食は中華料理を食べたいですね。濃い味に慣れている中国人旅行者にとって、いきなり1週間全食、薄味の和食と付き合うのは少しつらいかもしれません。  この話を聞いて、私もあることを思い出しました。  そういえば、日本発の海外旅行のパフレットには現地の食事しか載っていません。もしかして、日本では“郷に入れば郷に従え”の意識が強いからでしょうか。でも、日本人の友人から「帰国便の機内の味噌汁は何よりおいしかった」という話を何回も聞かされたことがあります。お母さんたちの疑問は、日本のツアーのサービス改善のよいヒントになるかもしれませんね。 ■インタビューを終えて  インタビューを終えても、3組の親子たちの興奮はまだ抑えきれないようでした。中国のことばに「千里の旅、万巻の書」とありますが、今回の旅は楽しかっただけではなく、子どもたちもたくさん学んだようです。  中国においても、日本においても、一部のマスコミが相手国の「悪い現象」だけをクローズアップし、そして過剰宣伝します。一般の方は「真実」と信じ込んでしまい、理由もなく嫌悪感を抱えてしまうことも少なくありません。  でも、本当にその国のことを知りたければ、自分の足でその地を踏み、自分の目で見て、自分の肌で感じるしかありません。もっとも重要なことは、「いいところを発見しよう」、「感動したい」という「心」を持つことだと思います。(執筆者:薛 晴 提供:中国ビジネスヘッドライン)
 中国では近年、子ども連れの海外旅行が盛んです子どもの視野を広げるためにいち早く外国の文化に触れさせ、体験させたいからです。そして多くの親が、旅先に日本を選びます。なぜなのか? 子どもに何を見せたいのか? 実際に日本に行ってみてどんな感触を得たのか? これらの疑問に興味をもち、日本の旅から戻ったばかりの3組の親子にインタビューしてみました。今回は、インタビューの後半です。
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2014-08-27 10:45