星光ＰＭＣは今期減額修正に対する売り一巡、次世代素材ＣＮＦ期待で出直り

　　製紙用薬品の星光ＰＭＣ <4963> の株価は、７月３１日発表の今期（１４年１２月期）業績見通し減額修正で急落した。さらに全般地合い悪化も影響して８月８日の９３８円まで調整して５月安値１００４円を割り込んだ。ただし次世代素材セルロースナノファイバー（ＣＮＦ）を材料視して８月１５日には１２１５円まで上伸し、足元も概ね１１００円近辺で推移している。売りが一巡して出直り局面だろう。 　　ＤＩＣ <4631> の子会社で製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業を展開している。高付加価値・差別化商品の市場投入・拡販、セルロースナノファイバー（ＣＮＦ）、導電性ナノ材料（銀ナノワイヤ）、光学弾性樹脂（ＯＣＡ）など、成長市場・新分野開拓の戦略を推進している。さらに事業領域拡大に向けて１４年４月、興人フィルム＆ケミカルズの化成品事業を承継したＫＪケミカルズを子会社化した。 　　次世代素材ＣＮＦは自動車用樹脂の強度・寸法安定性向上や金属部材置換、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待され、新エネルギー・産業技術総合開発機構（ＮＥＤＯ）のＣＮＦ開発プロジェクトの中核企業として早期事業化を目指している。１３年２月には経済産業省イノベーション拠点立地推進事業に採択され、補助金を活用して竜ヶ崎工場にパイロットプラントを設置した。また１４年６月には、ナノセルロースの研究開発、事業化、標準化を促進するため、産官学連携型のコンソーシアム「ナノセルロースフォーラム」が設立された。当社を含めて１００社以上が参画している。 　　８月６日に発表した今期（１４年１２月期）第２四半期累計（１月～６月）の連結業績（７月３１日に減額修正）は売上高が１１５億０４百万円、営業利益が１億２３百万円、経常利益が１億２４百万円、純利益が２億６５百万円の赤字だった。前期（１３年１２月期）が決算期変更で９カ月決算のため単純比較はできないが、前年同期間（１３年１月～６月）との比較で見ると１１．６％増収、７６．５％営業減益、８３．４％経常減益で、純利益は８億０５百万円悪化した。 　　製紙用薬品の販売数量増加やＫＪケミカルズの新規連結などが寄与して増収だったが、国内売上高が想定を下回り、ロジンなど原材料価格上昇と製品価格への転嫁遅れ、プロダクトミックスの悪化、新規開発経費の負担増、中国事業の収益悪化などで大幅営業減益となり、営業外での為替差損益の悪化、中国事業に係る固定資産減損損失６億９９百万円計上も影響して最終赤字となった。 　　通期の連結業績見通しは７月３１日に減額修正して、売上高が２４２億７０百万円、営業利益が４億円、経常利益が４億４０百万円、純利益が６０百万円の赤字としている。決算期変更で９カ月決算だった前期との単純比較はできないが、前年同期間（１３年１月～１２月）との比較で見ると１２．９％増収、５６．７％営業減益、６５．７％経常減益で、純利益は９億１６百万円悪化となる。 　　ＫＪケミカルズを子会社化したことに伴って負ののれん発生益３億７０百万円を第２四半期（４月～６月）に計上したが、第２四半期累計の減益要因となった原材料価格上昇と製品価格への転嫁遅れ、プロダクトミックスの悪化、新規開発経費の負担増、中国事業の収益悪化などで大幅営業減益となり、営業外での為替差損益の悪化、中国事業に係る固定資産減損損失計上も影響して最終赤字となる見通しだ。 　　ただし第３四半期（７月～９月）以降は、原材料価格上昇に対応した製品価格是正、中国事業の収益改善策の効果発現などが寄与する。四半期ベースで見ると今期第２四半期をボトムとして収益改善基調となる見込みだ。中国事業の収益改善策が本格寄与する来期（１５年１２月期）は、ＫＪケミカルズの減価償却費減少なども寄与して増収増益が期待されるだろう。なお今期の配当予想は前回予想（２月１２日公表）を据え置いて、前期（年間９円）と実質的に同額の年間１２円（第２四半期末６円、期末６円）としている。 　　中期経営目標としては、１８年１２月期売上高３５０億円（既存事業２４５億円、海外事業７０億円、新規事業３５億円）、営業利益３５億円、売上高営業利益率１０％を掲げている。 　　株価の動きを見ると、６月戻り高値１４４０円から反落し、７月３１日発表の今期業績見通し減額修正を嫌気する形で急落した。さらに全般地合い悪化も影響して８月８日の９３８円まで調整して５月安値１００４円を割り込んだ。ただし次世代素材ＣＮＦを材料視して８月１５日には１２１５円まで上伸し、足元も概ね１１００円近辺で推移している。今期業績見通し減額修正に対する売りは一巡しているようだ。 　　８月２７日の終値１０９６円を指標面で見ると、今期予想配当利回り（会社予想の年間１２円で算出）は１．１％近辺、前期実績ＰＢＲ（前期実績の連結ＢＰＳ６６３円９８銭で算出）は１．７倍近辺である。週足チャートで見ると２６週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると２５日移動平均線を回復した。売りが一巡して出直り局面だろう。（情報提供：日本インタビュ新聞社＝Ｍｅｄｉａ－ＩＲ）