エストラストは下値支持線から切り返し局面
山口県や福岡県を地盤とする不動産デベロッパーのエストラスト <3280> (東マ)は8月15日付で東証マザーズから東証1部に市場変更した。株価は7月28日の665円まで調整した後、8月上旬に一転して動意付き8月5日の794円まで急伸した。その後は8月20日の675円まで調整してやや乱高下の形だが、足元では700円近辺まで戻している。消費増税の反動影響は小さく、今期(15年2月期)好業績見通しを評価して600円台半ばの下値支持線から切り返し局面だろう。
山口県および福岡県を地盤とする不動産デベロッパーである。一次取得ファミリー型の新築分譲マンション「オーヴィジョン」シリーズ、および新築戸建住宅「オーヴィジョンホーム」の不動産分譲事業を主力として、連結子会社トラストコミュニティが展開する「オーヴィジョン」マンション管理受託の不動産管理事業や不動産賃貸事業も強化している。
九州・山口エリアでのNO.1デベロッパーを目指し、福岡県および九州主要都市への進出加速、九州・山口エリアでのマンション年間供給500戸体制構築、山口県での戸建住宅年間供給100戸体制の構築、ストック型ビジネスとなる建物管理受託戸数の拡大、優良賃貸物件のポートフォリオ構築などを推進している。
重点エリアである福岡県での事業展開加速に向けて、13年6月には第三者割当増資によって、ふくおかフィナンシャルグループ <8354> 傘下の福岡銀行との関係を強化した。また14年3月には、山口県内最大のオフィス街に立地する下関第一生命ビルディング(山口県下関市)を取得した。優良賃貸物件のポートフォリオ構築で事業収益を向上させる方針だ。
8月25日には販売用不動産の取得を発表した。分譲マンション用地として熊本県熊本市の約1200㎡(取得価額約3億50百万円)、福岡県北九州市の約5200㎡(同約3億30百万円)、分譲戸建用地として山口県下関市の約2400㎡(同約52百万円)を取得する。所要資金は8月の増資によって調達した資金(手取概算額約7億49百万円)を充当する。
今期(15年2月期)連結業績見通し(4月10日公表)は売上高が前期比16.7%増の120億円、営業利益が同11.1%増の10億90百万円、経常利益が同9.0%増の9億70百万円、純利益が同10.4%増の6億円としている。
第1四半期(3月~5月)は分譲マンションの竣工がなかったため前年同期比75.9%減収で営業赤字だったが、通期ベースで見れば、分譲マンション総引き渡し予定戸数430戸(前期比56戸増)に対して、第1四半期末時点での契約締結は395戸、契約進捗率は91.9%に達している。また分譲戸建住宅は42戸(同25戸増)の引き渡しを計画し、不動産管理事業のマンション管理戸数(期末)は2139戸(同429戸増)となる計画だ。
消費増税後の反動影響については、新税率適用の13年10月~12月に契約がやや落ち込んだが、14年1月以降は順調に回復しているようだ。反動影響は限定的だろう。通期ベースでは分譲マンション・戸建住宅の引き渡しが順調に進み、プロジェクト先行費用などを吸収して経常最高益更新の見込みだ。不動産管理事業の管理戸数増加や、不動産賃貸事業のポートフォリオ充実も寄与して好業績が期待される。
中期経営計画では目標値として16年2月期の新築分譲マンション引き渡し戸数494戸、売上高130億円、営業利益12億50百万円、経常利益12億円、純利益7億20百万円を掲げている。事業展開の重点エリアとしている福岡市は13年5月に人口が150万人を突破し、国家戦略特区に指定されたことなどで一段と人口増加傾向を強めることが予想される。成長市場への事業展開を加速して中期的に収益拡大基調だろう。
7月25日に上場市場変更、配当予想の増額修正、新株式発行および売出しを発表し、上場市場は8月15日付で東証1部へ市場変更となった。配当予想については市場変更記念配当2円を第2四半期末の中間配当で実施する。年間ベースでは2円増額の年間10円(第2四半期末4円、期末6円)となり、前期の年間8円(第2四半期末2円、期末6円)との比較では2円増配となる。新株式発行・売出しについては公募増資100万株(払込8月14日)、オーバーアロットメントによる第三者割当増資15万株(8月18日確定、払込8月25日)で、調達資金の手取概算額合計は7億49百万円となった。
株価の動き(14年8月15日付けで東証マザーズから東証1部に市場変更)を見ると、第1四半期業績を嫌気する形で7月28日の665円まで調整した後、8月上旬に一転して動意付き、8月5日の794円まで急伸する場面があった。その後は8月20日の675円まで調整してやや乱高下の形だが、足元では700円近辺まで戻している。
8月27日の終値696円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想に新株発行115万株を考慮した連結EPS97円29銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.4%近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、大勢としてはボックス展開であり、600円台半ばの下値支持線から切り返し局面だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
山口県や福岡県を地盤とする不動産デベロッパーのエストラスト<3280>(東マ)は8月15日付で東証マザーズから東証1部に市場変更した。
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2014-08-28 09:15