証券優遇税制廃止後の新年相場は大納会ストップ高の高値引け銘柄に値幅取りの先手妙味=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
新年相場入り後の日経平均株価の続落が響いて、もう9日も前で早くも記憶の彼方に遠ざかりつつあるが、昨年末の大納会は、一般の想定を上回る大活況となった。東証第1部の銘柄のうち8割が値上がりして、日経平均株価は、ほぼ高値引けして年初来高値を更新、年間上昇率は54%とあの「列島改造ブーム」の1972年以来、41年ぶりの大きさとなった。
これはもう投資セオリーを度外視して「株券を枕に越年」を決め込んだ超強気ムードが市場に充満したということを表している。投資セオリーでは、年末年始の6日間の長期休暇を前にすれば、何はともあれ保有株は手締まって現金ポジションを高めることは初歩中の初歩となっている。しかも、1月からは証券優遇税制の軽減税率の10%から本則通りに20%に引き上げられるのである。すでにこの軽減税率廃止は、12月26日の新年受渡から実質スタートしたが、これもまったく眼中にないようであった。
確かに1月からは、少額非課税制度(NISA)がスタートする期待材料はある。この口座開設は、400万口座を超えと報道され、仮にこの1口座当たりの投資元本100万円がすべて株式購入に向かえば、4兆円ものニューマネーが市場流入することになる。さらにNISAをバックアップするように、1月6日からは新株価指数「JPX日経400」の算出も開始され、年金資金などの積極株式運用を刺激する可能性もある。ただしである。兜町では、「初物は売り」とするのが投資鉄則で、これはかつての債券先物取引や株式先物取引が開始された当時にも明らかに実証されていたはずである。
こうした事情から昨年12月の大納会に向けての最終5日間の売買動向を詳らかに点検すると、2種類の投資家が混在していたことが浮き彫りとなったようである。第1は、年内最終売買日の25日を前に節税対策の換金売りを先行させて投資セオリー通りに現金ポジションを高めた原則投資家であり、第2は、「株券を枕に越年」の初志貫徹で大納会の大引けまで株式を買い上がった強気投資家である。
この2種類の投資家のうち、東京市場の新年相場の動向のカギを握るのは、強気投資家よりむしろ現金ポジションを高めた原則投資家の方のはずだ。現金化した投資資金でどんな銘柄を買うのか、多分、20%にアップされたキャピタルゲイン課税を抜くために値幅効率の高い銘柄に照準を合わせてくるに違いないからだ。強気投資家は、大発会、7日と続いた日経平均株価の下げを当然のスピード調整となしているようではあるが、やや身動きがとれなくなっているフシがあるからだ。
そこでこの原則投資家の先手を取るために注目したいのが、昨年12月の大納会の全市場でストップ高を演じた26銘柄である。26銘柄のうちストップ高のまま高値引けとなったのが20銘柄、日経平均株価と同様に大納会で昨年来高値を更新した銘柄が、14銘柄に達した。バイオ関連材料が出たJCRファーマ <4552> や直近IPO(新規株式公開)人気を再燃させたメディアドゥ <3678> (東マ)、ホットリンク <3680> (東マ)、ブイキューブ <3681> (東マ)、シグマクシス <6088> (東マ)なども含まれるが、このストップ高した銘柄のうち、なお投資採算的に割安な4銘柄に原則投資家の押し目買いを期待して先回り買いを検討してみたいのである。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
新年相場入り後の日経平均株価の続落が響いて、もう9日も前で早くも記憶の彼方に遠ざかりつつあるが、昨年末の大納会は、一般の想定を上回る大活況となった。
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2014-01-08 10:00