セーラー万年筆は今期黒字化見通し、三角保ち合いの煮詰まり感強めて上放れの可能性
文具老舗のセーラー万年筆 <7992> (東2)の株価は、5月の直近安値30円から反発後は動意付く場面もあるが人気が続かず、6月中旬以降は概ね35円~40円近辺で推移している。ただし週足チャートで見ると上値は13年12月起点、下値は14年3月起点の三角保ち合いの形だ。足元では26週移動平均線が下値を支えている。煮詰まり感を強めて上放れの可能性があるだろう。
文具事業(万年筆、ボールペン、電子文具、景品払出機、ガラスCD、窓ガラス用断熱塗料など)、およびロボット機器事業(プラスチック射出成形品自動取出装置・自動組立装置など)を展開している。文具事業はブランド力の高い万年筆を主力として、電子文具への事業展開も加速している。ロボット機器事業は1969年に開発に着手した歴史を持ち、09年にはプラスチック射出成形品用自動取出ロボットで世界初の無線ハンディコントローラ搭載RZ-Σシリーズを開発した。
7月31日発表の今期(14年12月期)第2四半期累計(1月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比14.5%増の31億02百万円、営業利益が21百万円(前年同期は1億97百万円の赤字)、経常利益が86百万円の赤字(同1億78百万円の赤字)、純利益が86百万円の赤字(同2億01百万円の赤字)だった。売上高は概ね順調に推移したが、ロボット機器事業で販売価格が下落し、営業外費用での株式交付費の計上なども影響して利益は計画を下回った。ただし前年同期との比較で見ると増収効果で営業利益は黒字化し、経常利益と純利益も赤字が縮小した。
セグメント別に見ると、文具事業は売上高が同12.1%増の22億07百万円、営業利益が29百万円(前年同期は55百万円の赤字)だった。消費増税の反動影響は軽微で、万年筆・ボールペンの中高級品が堅調だった。営業利益は計画をやや下回ったが増収効果で黒字化した。
ロボット機器事業は売上高が同20.9%増の8億95百万円、営業利益が8百万円の赤字(同1億42百万円の赤字)だった。売上面では中国市場が低調だったが、国内市場が堅調だった。利益面では販売価格下落の影響で赤字だったが、前年同期との比較では増収効果で赤字が縮小した。
通期の連結業績見通しは7月31日に修正(売上高を増額、利益を減額)を発表した。売上高は60百万円増額して前期比14.0%増の63億円、営業利益は1億円減額して2億円(前期は2億87百万円の赤字)、経常利益は1億80百万円減額して70百万円(同3億11百万円の赤字)、純利益は71百万円減額して1億46百万円(同3億59百万円の赤字)とした。増収効果で各利益は黒字化の見通しだ。なお特別利益に投資有価証券売却益93百万円を計上する。
中期経営計画(14年~16年)では数値目標として売上高経常利益率7%以上、有利子負債16億円以下を掲げている。基本戦略としては、文具事業ではターゲットを絞った特徴ある製品の開発、新規販売チャネルの開拓、海外市場の再構築、新規事業(音声ペン、水処理機器)の推進、ロボット機器事業では射出成型機用取出ロボットの拡販を推進する。
なお前期まで数期連続して当期純損失を計上し、今期第2四半期累計でも純損失を計上しているため、継続企業の前提に疑義の注記が付されている。
株価の動きを見ると、5月の直近安値30円から反発後は動意付く場面もあるが人気が続かず、6月中旬以降は概ね35円~40円近辺で推移している。8月28日の終値36円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1円17銭で算出)は31倍近辺、実績PBR(今期第2四半期累計実績の連結BPS16円88銭で算出)は2.1倍近辺である。
週足チャートで見ると、13年12月高値59円を起点に上値を切り下げ、14年3月安値28円をボトムとして下値を切り上げる三角保ち合いの形だ。足元では26週移動平均線が下値を支えている。煮詰まり感を強めて上放れの可能性があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
文具老舗のセーラー万年筆<7992>(東2)の株価は、5月の直近安値30円から反発後は動意付く場面もあるが人気が続かず、6月中旬以降は概ね35円~40円近辺で推移している。
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2014-08-29 09:00