アールテック・ウエノは短期調整が一巡して動意のタイミング
創薬ベンチャーのアールテック・ウエノ <4573> (JQS)の株価は、ウノプロストンのオーファンドラッグ指定申請を好感して7月28日1563円まで戻す場面があったが、その後は上値が重く概ね1300円~1400円近辺で推移している。8月12日発表の第1四半期(4月~6月)大幅減収減益に対するネガティブ反応は限定的のようだ。週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形であり、短期調整が一巡して動意のタイミングだろう。
緑内障・高眼圧症治療レスキュラ点眼薬の製造販売、および米スキャンポ社の便秘症治療薬AMITIZA(アミティーザ)カプセル受託製造を主力としている。米スキャンポ社は、AMITIZAカプセルの日本と欧州での販売承認取得や米国での追加新薬承認取得、さらにレスキュラ点眼薬の米国上市など販売地域や適応の拡大戦略を推進している。
新薬開発は網膜色素変性、ドライアイ、アトピー性皮膚炎関連を中心に進めている。日本発・世界初の網膜色素変性治療薬を目指す開発コードUF-021(一般名ウノプロストン)については、日本で第3相臨床試験を実施している。
そして7月22日に、ウノプロストンの網膜色素変性を対象とするオーファンドラッグ指定について7月17日付で厚生労働省に申請したと発表した。オーファンドラッグ指定とは、医療上必要性が高く、生命にかかわる重篤な疾患で、かつ我が国において患者数が5万人未満の希少疾患用医薬品の研究開発を促進するための制度であり、オーファンドラッグ指定を受けると、製造販売承認審査手続きにおける優先審査、国からの研究開発費の助成が受けられるなどの優遇措置が付与される。
日本発・世界初の生物製剤によるドライアイ治療薬を目指す遺伝子組み換え人血清アルブミン(RU-101)点眼液は、米国で第1相および第2相を合わせた臨床試験を開始している。皮膚疾患領域では男性型脱毛症関連(RK-023)が第2相臨床試験を開始し、中期テーマとしてアトピー性皮膚炎治療薬(RTU-1096)などの開発も進めている。
8月12日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の業績(非連結)は売上高が前年同期比24.5%減の11億46百万円、営業利益が同69.7%減の1億38百万円、経常利益が同72.9%減の1億36百万円、純利益が同67.5%減の1億14百万円だった。減収に加えて、研究開発の増加で減益だった。
事業部門別売上高を見ると、レスキュラ点眼薬は日本市場が数量減少と薬価改定の影響で同24.7%減の2億61百万円となり、米国向けは出荷がなかった。AMITIZAカプセルは、北米市場が納品の一部が第2四半期(7月~9月)となって同45.1%減の5億09百万円、日本市場が好調に推移して同2.3倍の3億13百万円だった。医薬品開発支援サービスは同9.4倍の61百万円だった。
通期の業績(非連結)見通しは前回予想(5月14日公表)を据え置いて売上高が前期比2.6%増の57億63百万円、営業利益が同0.8%増の14億31百万円、経常利益が同2.9%減の14億34百万円、そして純利益が同5.5%減の10億03百万円、配当予想は前期と同額の年間25円(期末一括)としている。
売上面で見るとレスキュラ点眼薬は、国内市場が数量減少や薬価改定の影響で減収、北米市場は再上市に係るSAG社からの受注分の出荷が完了しているため今期業績見通しに織り込んでいないとしている。AMITIZAカプセルは、北米市場では競合品の影響を受けるが、国内市場が引き続き好調に推移する見通しとしている。利益面では研究開発費の増加などが影響して、営業利益は微増にとどまる見通しだ。
第1四半期は大幅減収減益だったが、北米市場でAMITIZAカプセルの納品の一部が第2四半期(7月~9月)となったことを考慮すれば概ね計画水準としている。通期ベースでは挽回が期待されるだろう。
中期経営目標値としていた16年3月期ROE(自己資本利益率)10%以上を、前期(14年3月期)実績の12.3%で達成した。今期は10.6%に低下する見込みだが、引き続き10%以上を目指すとしている。中期的には収益拡大基調で、一段の高収益化も期待されるだろう。
株価の動きを見ると、5月安値945円から7月7日1619円まで切り返して1月の年初来高値1655円に接近した。その後はウノプロストンのオーファンドラッグ指定申請を好感して7月28日に1563円まで戻す場面があったが、上値が重く戻り一服の展開となり、概ね1300円~1400円近辺で推移している。ただし第1四半期の大幅減収減益に対するネガティブ反応は限定的のようだ。
8月28日の終値1310円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS52円01銭で算出)は25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は1.9%近辺、実績PBR(前期実績のBPS473円61銭で算出)は2.8倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んで調整局面だが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。短期調整が一巡して動意のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
創薬ベンチャーのアールテック・ウエノ<4573>(JQS)の株価は、ウノプロストンのオーファンドラッグ指定申請を好感して7月28日1563円まで戻す場面があったが、その後は上値が重く概ね1300円~1400円近辺で推移している。
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2014-08-29 09:15