9月相場は8月に輪をかけた個別買いが鮮明に、内閣改造による経済対策具体化は10月以降=犬丸正寛の相場展望
8月相場が終わった。日経平均は終値ベースで、1万5523円で始まって、29日(金)は1万5424円と月初に比べ約100円の下げで終った。途中、21日に高いところで1万5586円があったていどで、総じて値動きの小さい月だったといえる。
一方、ボリューム面でみれば、営業日数21日間中、東証1部売買代金が2兆円を超えたのはわずか4日間にとどまった。ただ、東証1部出来高は20億株以上が9日間あった。
これらのことから2014年8月・夏相場は限られた資金の中で、次々と物色のホコ先を変える、いわゆる「循環物色相場」だったといえる。なお、東証1部の出来高が比較的活発だったのは、「10銭単位」売買により、機関投資家等が小刻みな売買を繰り返したためといえる。
その循環物色の対象となったのは、第1四半期決算数字を改めて見直し、進捗率の高い銘柄など業績のよい銘柄を軸に、リニア中央新幹線、介護ロボット、燃料電池車、羽田空港、カジノなどに関連した銘柄だった。1部市場銘柄だけにとどまらず、むしろ、マザーズなどが好人気となった。
9月相場も8月の流れから大きく変わることはなさそうだ。むしろ、第2四半期決算までの空白期となるため、第1四半期決算発表直後の8月より手がかりに欠けるといえる。
このため、9月は8月よりもいっそうイメージ優先の相場が予想される。とくに、3日に予定されている内閣改造で経済対策に力が入るだろうといった期待イメージである。しかし、実際には、カジノ構想にしても国会での審議を通らなくてはいけないし、リニア中央新幹線も着工は9月ということにはならないだろう。しかも、既に、こうしたテーマ銘柄は幾度も買ってきただけに、期待だけでは上値を追うことは難しい。これらのテーマが現実化するのは早くて10月とみられるため、9月相場は8月に輪をかけた閑散相場が予想される。
ただ、景気・企業々績がしっかりしているため、調整安はあっても下げ基調に転換するような崩れはないだろう。
9月は、限られた資金で限られた銘柄に人気が集中することが予想されるため、マザーズなど小型株の中から急伸する銘柄が出るものとみられる。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
8月相場が終わった。日経平均は終値ベースで、1万5523円で始まって、29日(金)は1万5424円と月初に比べ約100円の下げで終った。
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2014-08-30 14:30