【株式・為替相場展望】重要イベント目白押しで常識的には様子見ムード

■仕掛け的な動きで波乱の可能性も (9月1日~5日)  9月1日~5日の株式・為替相場は、週後半3日~4日の日銀金融政策決定会合、4日のECB(欧州中央銀行)理事会、5日の米8月雇用統計と重要イベントが目白押しとなるため、常識的には、「結果を見極めたい」として様子見ムードの展開だろう。ただし、仕掛け的な動きで波乱の可能性もあるだろう。物色面では3日の安倍内閣改造で政策関連が注目される。もちろんウクライナ情勢など地政学リスクにも引き続き警戒が必要だ。  前週8月25日~29日の日本株は上値が重く、売買代金も低調で動意に乏しい展開だった。日経平均株価は週間ベースで114円60銭(0.74%)下落した。米国株はダウ工業株30種平均株価が取引時間中の史上最高値を更新し、S&P500株価指数が史上初めて2000ポイント台に乗せるなど堅調だったが、日本株はこの流れに乗れなかった。  重要イベントの谷間や地政学リスクで様子見ムードを強め、消費増税の影響で7月以降も消費や生産の回復が鈍いことに警戒感を強めたようだ。外国為替市場は地政学リスクに対する警戒感でやや円高方向に傾く場面があったが、世界的な金利低下傾向の状況下で概ね小動きだった。  そして、8月29日の米国市場では主要株価指数が揃って上昇し、為替は1ドル=104円10銭近辺とドル高・円安方向に傾いた。  英国のテロ警戒レベル引き上げやウクライナ情勢など地政学リスクを警戒する場面もあったが、市場予想を上振れた8月シカゴ購買部協会景気指数など好調な経済指標を好感する動きが優勢になった。CME日経225先物9月限(円建て)は1万5445円だった。  週初9月1日は8月29日の米国株が上昇し、為替が円安方向に傾いたことを受けて堅調なスタートとなりそうだ。ただし、1日の米国市場がレイバーデーで休場のため、買い一巡後は動意に乏しい展開だろう。その後も週後半に重要イベントが目白押しのため様子見ムードを強める展開となりそうだ。ただし、ウクライナ情勢やイラク情勢といった地政学リスクが予断を許さない状況であることに変化はなく、仕掛け的な動きで波乱となる可能性もあるだろう。  3日~4日の日銀金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が予想されているが、消費増税後の4~6月期実質GDPが大幅マイナス成長だったことに加えて、7月以降も消費や生産の回復が鈍いため、日銀の追加金融緩和に対する期待感が再浮上している。このため4日の会合後の黒田日銀総裁の記者会見が注目される。  4日のECB(欧州中央銀行)理事会では、ドイツの4~6月期実質GDPのマイナス成長、ユーロ圏の景況感悪化、さらに8月22日の米ジャクソンホール・シンポジウムでのドラギECB総裁の発言を受けて、ECBの追加利下げまたは量的緩和導入の観測が強まっている。  ただし、織り込み済みとの見方もあるため、材料出尽くしの可能性もあるだろう。金融政策の現状維持を決定した場合はドラギ総裁の記者会見が注目される。  5日の米8月雇用統計に関しては、非農業部門雇用者増加数は前月比22万人~22.5万人増加が市場予想レンジのようだ。  8月22日の米ジャクソンホール・シンポジウムでのイエレン米FRB(連邦準備制度理事会)議長の講演を受けて、米FRBのゼロ金利解除時期は労働市場の回復次第との見方が優勢になった。7月の同20.9万人増加からさらに雇用情勢改善が確認された場合、米10年債利回りが上昇に転じるかが注目される。  こうした重要イベントに加えて、9月1日の中国8月製造業PMI、中国8月HSBC製造業PMI改定値、2日の米8月ISM製造業景気指数、3日の中国8月非製造業PMI、中国8月HSBCサービス部門PMIなど主要経済指標が相次ぐ。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など公的資金の買い観測、米国レイバーデー明けに伴う外国人投資家の資金流入期待も支援材料だが、重要イベントや主要経済指標の結果を見極めたいとして様子見ムードを強めそうだ。  国内要因では、9月3日の安倍内閣改造人事が注目材料となる。15年10月の消費増税第2弾(8%から10%へ引き上げ)実施に向けて、7~9月期GDPを着実に押し上げることが求められている。このため、政策関連が材料視されやすいだろう。  政策に対する期待や督促が仕掛け的な動きに繋がる可能性もありそうだ。個人投資家の資金があらためてゲーム・ネット関連、ロボット関連、自動運転関連、格安スマホ関連、新燃料関連、バイオ関連といった新興市場主力株に向かうかも焦点だ。  為替は、足元でドル買いの動きを強めている。ただし、世界的に金利低下傾向で米10年債利回りも再び2.3%台に低下している。米FRBのQE3(量的緩和第3弾)終了とゼロ金利解除に伴って米金利が上昇し、日米金利差拡大によるドル高・円安進行というのが中期シナリオだが、米10年債利回りが上昇しない状況が続いている。  足元のドル買いは、ポジション調整の動きとの見方もあり、一本調子にドル高・円安が進行することは想定し難い。ユーロに関しては、ドラギECB総裁の発言を受けて追加利下げをある程度織り込んでいる可能性もあるだろう。 ドル・円相場は1ドル=103円台~104円台、ユーロ・円相場は1ユーロ=136円台~138円台での推移だろう。もちろん地政学リスクにも注意が必要だ。  その他の注目スケジュールとしては、9月1日の日印首脳会談、2日の日本7月毎月勤労統計、日本8月マネタリーベース、豪中銀理事会、米7月建設支出、2日~3日のブラジル中銀金融政策会合、3日の豪4~6月期GDP、ユーロ圏7月小売売上高、米7月製造業新規受注、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、3日~4日の英中銀金融政策委員会、4日の米7月貿易収支、米8月ADP雇用報告、米8月ISM非製造業景気指数、5日の日本7月景気動向指数、日本9月日銀金融経済月報、独7月鉱工業生産、ユーロ圏4~6月期GDP改定値などがあるだろう。  その後は、8日の日本4~6月期GDP2次速報、中国8月貿易統計、11日のインドネシア中銀金融政策決定会合、16日~17日の米FOMC(連邦公開市場委員会)と記者会見、20日~21日のG20財務相・中央銀行総裁会議、26日の米4~6月期GDP確報値などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
9月1日~5日の株式・為替相場は、週後半3日~4日の日銀金融政策決定会合、4日のECB(欧州中央銀行)理事会、5日の米8月雇用統計と重要イベントが目白押しとなるため、常識的には、「結果を見極めたい」として様子見ムードの展開だろう。ただし、仕掛け的な動きで波乱の可能性もあるだろう。
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2014-08-31 17:45