今でも縁起担ぎが大好きな中国人

日本経営管理教育協会が見る中国 第322回--大森啓司(日本経営管理教育協会会員)   9月ともなると、日本の夏もそろそろ終わりを迎える。今年(2014年)は天候不順で、近年ではまれにみる天災の多い夏であった。私の住む兵庫県三田市では、台風11号の後も豪雨が続き、篠山市のでかんしょ祭りは22年ぶりに中止。関西で一番の賑わいを見せる淀川の花火も、天気は回復したが、河川増水によりこちらも中止と、夏の風物詩が次々と消えていった。日本独特のお盆も、今年は関西、特に私の住む丹波地域では、せっかく楽しみにしていた家族の帰省もままならず残念な休みになってしまった。   日本は新暦のお正月とお盆が伝統的な長期休暇だが、中国は旧暦と新暦が混じった文化が色濃い社会で、一年で最も大きなお祝い行事の春節は旧暦、2番目の国慶節は新暦の10月1日、一年を24の節季に分けて、それぞれの季節に応じた、古くとも勇ましい行事が多数存在している。先日中国人のある方から、季節と縁起について中国文化の一端を教えていただいたのでご紹介したい。 ● 中国と日本の縁起のいい数字は異なる   筆者は時々中国のラジオを聞く。番組は北京人民広播電台の新聞広播、大した情報を得るわけでもなく、むずかしい事を考えないときはバックミュージック気分でいる。時々単語は判れど殆んど何を言っているのか意味不明だが、CMになったとたん「ここに電話をして!」の数字メッセージだけはよくわかる。特に「ゼロ(リン)」「八(パー)」など、中国語特有の強い発音の印象が鮮明だ。   日本でのお祝い事では奇数がよろこばれるが、中国では逆に偶数が喜ばれるようであり、六や八は本当によく耳にする。私の友人もホテルに宿泊する時には6階がいいとか、888の部屋が空いていいないかとか、これでもかというくらいに縁起を担いでいる。 ● 友人宅訪問で見た中国人の縁起担ぎ   先日の北京訪問時に、友人の自宅に招かれた。日本と比較して非常に暗い廊下を歩きながら、場合によっては手探り状態であったが、センサーで時々明るくなる電灯を頼りにしながら玄関に。家の前には三国志の関羽像を飾り、大きな「福」という文字が飾り付けてあった。家の中にはそれはそれは豪華な一枚板の机や、所狭しと装飾品が飾ってあった。これらは全て、この玄関にある「福」のお蔭と強い口調で私に説明をしてくれた。 ● 今年の中秋節は9月8日   縁起を担ぐといえば、9月の「9」は「久」と同じ発音で、中国では長寿の意味を表す縁起のいい数字である。(日本で9は苦しいで不吉な数字だが。)   もうすぐ中秋節、新暦でいえば8月15日、まさに日本のお盆にあたり、華人たちが一家団らんを楽しむ祭日である。月餅を食べたり、明月を楽しんだり、秋らしい風習が受け継がれてきた。日本では「中秋の名月」。この辺の情緒は日本も中国も同じ。時にはゆっくりと縁起を担ぎながら秋を味わいたいものである。(執筆者:大森啓司・日本経営管理教育協会会員 編集担当:水野陽子)  
9月ともなると、日本の夏もそろそろ終わりを迎える。今年(2014年)は天候不順で、近年ではまれにみる天災の多い夏であった。私の住む兵庫県三田市では、台風11号の後も豪雨が続き、篠山市のでかんしょ祭りは22年ぶりに中止。関西で一番の賑わいを見せる淀川の花火も、天気は回復したが、河川増水によりこちらも中止と、夏の風物詩が次々と消えていった。
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2014-09-01 22:30