なぜ中国人は「炊飯器」を買って帰るの?

 中国人観光客が各地で急増したせいだろうか? 中国語講座「チンプンカンプン」にも最近、そんな中国人関連の問合せを多数いただくようになった。ついては「分かっているようで分かっていない中国人ライフスタイル」と題してシリーズで「よくある質問」を取り上げていきたい。中国人観光客の“取り扱い説明書”として活用していただければ幸甚である。 ■質問1  最近大阪の町に中国人(と思われる)観光客がたくさんやってきています。日中関係改善の前触れにも見えてとても喜ばしいことと存じます。  ところで彼・彼女たちは皆、「判で押したように炊飯器や紙おむつ」を抱えていますね。紙おむつは、「子供に安全なものを与えたい、だから品質的に信頼できる日本製」という心理は理解もできるのですが、炊飯器は、ちょっと理解に苦しみます。このあたりの理由を教えてください。  そもそも中国人の主食とは何だろう? 改まって聞かれれば、日本人は当然自分の経験から「コメにきまってるやんか!」と答えがち。  我輩、山東省(地理上、黄河流域)の石島という漁師町で生活していたころ(2004年-6年)毎日ご飯を炊いてもらっていた。そんなある日、料理人に「あんたね、コメばっかり食べてると免疫力さがって病気するよ」などと余計な忠告を再三いただいたものである。  ではそんな山東ローカル中国人が食べていたものは? 第1位 マントウ 第2位 麺 第3位 餃子(蒸し・ゆで)  →日本で言うギョーザは中国では鍋貼(グオテイエ)といってギョーザと区別される。  中国でおコメを主食に食べるのは南方(長江以南)の地域。北方人(黄河流域以北)の主食は? そうコムギなのである。コメは主食として食べているわけではないのだ。  したがって、石島あたりの食堂で「ご飯ください」などと言おうものなら「今から炊くから半時間待ってね」と返事が返ってくる始末なのである(あくまで04年ごろのお話だが)。  ハナシは脱線気味だが、我輩ドラゴンならは、南方のおコメには正直あまりいい印象は持っていない。これも、もう25年も前のことだが、福建省のアモイから研修生を5名招聘したことがある。  この若者たちを空港から大阪の会社の宿舎に連れて行って、大してうまくもない社員食堂で食事をさせたときのことである。茶碗のご飯を口に運んだ彼らの第一声が「うん。こんなうまいコメ初めてだ」であった。  当時も今もわが社(食品メーカー)の社員食堂でそんないいコメを使っていたとは、口が裂けても言えないのだが、中国と日本では、炊き方にもコメの性質(品質ではない)にも違いがあったのは事実である。  おっと。おコメと炊飯器の話でしたね。  この数年で中国国内のコメ(しかも日本式)の生産量が急速に拡大した事実がある。(東北エリア、賢明な読者諸氏はお気づきと思うけれど、いわゆる旧「満州国」では日本人がコメを栽培していました) その結果、いままで小麦食だった北京や天津(当然南方の大都市も)といった人口密集都市に大量の日本式コメが提供されるようになったという次第。  そして日本式のコメをもっとおいしく食べるためにはヤッパ日本の炊飯器でしょ? というわけで、日本の炊飯器がバカ売れしている、という構図(これが本コラムの「結論」)である。  ちなみに最近は山東省でもコメの栽培が盛んになっているそうで、米食ブームはますます拡大していくことだろう。聞くところによれば、日本のみやげ物店では「わさび風味の茶漬けノリ」がよく売れ出した、とのこと。  このように、米飯とセットにできる食卓用品なども、工夫次第では中国人観光客に歓迎されるアイテムになっていくのは間違いない(キッパリ)。観光客を呼び込みたい皆さんはご研究ください。(執筆者:楢崎 宣夫 提供:中国ビジネスヘッドライン)
中国人観光客が各地で急増したせいだろうか? 中国語講座「チンプンカンプン」にも最近、そんな中国人関連の問合せを多数いただくようになった。
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2014-09-02 09:45