キトーは第1四半期大幅減益に対する失望売り一巡して反発のタイミング
搬送機器メーカーのキトー <6409> の株価は、株式2分割発表も好感した7月24日高値3065円から反落し、8月8日発表の第1四半期(4月~6月)大幅減益を嫌気する形で急落した。8月15日には2101円まで調整する場面があった。ただし足元では2300円台まで戻している。9月末の株式2分割や指標面の割安感も支援材料であり、失望売りが一巡して反発のタイミングだろう。
工場内で使用される電気・手動チェーンブロック、ロープホイスト、クレーンなどを主力とする搬送機器の大手メーカーである。中期経営計画では「真のグローバルNO.1のホイストメーカー」を目指し、日本、北米、中国、アジア、欧州の地域別戦略などでグローバル化を加速している。目標数値としては16年3月期売上高580億円、営業利益70億円を掲げ、M&Aも積極活用してグローバル売上1000億円企業を目指している。
地域戦略としては、日本・北米・中国での強固な代理店網構築、アジア新興国での直販体制強化を推進し、特にアジアへの積極投資を実行している。製品戦略としては、日本および北米ではワイヤーロープホイストやシアターホイストなどの品揃えを強化する。生産戦略としては海外生産能力を拡充し、為替リスク分散や調達コスト低減への取り組みを強化する。アジアでは13年4月に韓国、13年7月にタイで新クレーン工場が本格稼働した。
そして7月23日に、米国子会社であるKAI社が投資ファンド運営の米国WESTVIEW社から、米国最大級のチェーン製造会社である米国PEERLESS社(13年6月期売上高118百万米ドル、営業利益10百万円米ドル)の株式譲受を発表し、8月21日に株式取得完了を発表した。取得価額は合計80百万米ドルで、買収資金は銀行借入で調達(8月12日発表)した。ホイストの最重要部品であるチェーンの製造機能を強化するとともに、ホイスト周辺のチェーン製品の品揃えを拡充する。
8月8日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.4%増の84億30百万円だったが、営業利益は同22.3%減の2億80百万円、経常利益は同46.2%減の2億26百万円、純利益は同70.0%減の69百万円だった。
需要は概ね好調で数量増加、製品値上げ、為替影響がプラス要因だったが、国内での人件費増加、およびアジアでの新工場稼働に伴う人件費増加などが影響して営業減益だった。地域別売上高は日本が同2.2%減の22億56百万円、米州が同3.1%増の29億10百万円、中国が同16.8%増の18億62百万円、アジアが同11.5%増の7億82百万円、欧州が同22.8%増の4億66百万円、その他が同20.4%減の1億51百万円だった。
通期の連結業績見通しについては前回予想(5月12日公表)を据え置いて売上高が前期比9.9%増の460億円、営業利益が同17.3%増の47億円、経常利益が同12.4%増の46億円、純利益が同22.8%増の29億円としている。
地域別売上高の計画は、日本が同4.9%増の122億円、米州が同8.9%増の142億円、中国が同4.6%増の90億円、アジアが同29.7%増の80億円、欧州が同3.9%減の16億円、その他が同31.8%増の10億円としている。中国の需要回復にやや不透明感があるが、日本は震災復興・インフラ整備関連の建設・土木向け、米州は製造業向け、アジアは自動車関連業界向けを中心として全般好調に推移する。
メキシコや中南米での需要拡大、新製品投入による品揃え拡充、アジアの新工場(タイ、韓国)本格稼働によるクレーン事業拡大、プロダクトミックスの改善、生産性の向上なども寄与して増収増益見込みだ。想定為替レートは1米ドル=95円と保守的であり、米国PEERLESS社の買収も寄与して好業績が期待される。
7月23日に14年9月30日を基準日(効力発生日14年10月1日)とする株式2分割を発表し、今期の配当予想については年間37円50銭(第2四半期末25円、期末12円50銭)としている。株式2分割を考慮すると実質的には前期の年間40円(第2四半期末20円+期末20円)に対して10円の増配となる。
株価の動きを見ると、株式2分割も好感した7月24日高値3065円から利益確定売りで反落し、8月8日に発表した第1四半期の大幅減益を嫌気する形で急落した。8月15日には2101円まで調整する場面があった。ただし足元では2300円台まで戻している。失望売りがほぼ一巡したようだ。
9月2日の終値2315円を指標面(株式2分割前)で見ると、今期予想連結PER(株式2分割前の会社予想連結EPS222円15銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(株式2分割前の会社予想年間50円で算出)は2.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1612円65銭で算出)は1.4倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んで調整局面だが、週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。9月末の株式2分割や指標面の割安感も支援材料であり、失望売りが一巡して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
搬送機器メーカーのキトー<6409>(東1)の株価は、株式2分割発表も好感した7月24日高値3065円から反落し、8月8日発表の第1四半期(4月~6月)大幅減益を嫌気する形で急落した。
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2014-09-03 09:15