アーバネットコーポレーションは売り一巡、反発のタイミング
投資用マンション開発・販売のアーバネットコーポレーション <3242> (JQS)の株価は、7月末~8月上旬には終値で280円台に水準を切り上げたが、今期(15年6月期)の最終減益・減配見通しで240円台に急反落した。ただしその後は下げ渋る展開となり、9月3日には終値で260円台まで戻している。売りが一巡して反発のタイミングだろう。
東京23区で投資用・分譲用マンションの開発・販売事業を展開している。マンションに対する投資・購入マインドは旺盛である。REITやファンドによる投資用マンション購入が活発化し、海外投資家の参入も顕著のようだ。日銀による異次元金融緩和、20年東京夏季五輪、脱デフレ、日本経済再生の流れが追い風であり、投資用マンション市場は拡大基調が期待される。
8月7日には、当社開発物件「築地PJ」(投資用ワンルームマンション39戸、15年2月竣工予定)に関して、台湾法人と1棟での売買契約を締結したと発表している。販売手法の多様化の一環として海外投資家への直接分譲を準備してきたが、その第一弾となる。当該物件は今期(15年6月期)の売上計上となるが、来期(16年6月期)以降も、投資意欲の旺盛な台湾・シンガポール・香港・中国本土の投資家を対象として、直接分譲に積極的に取り組む方針だ。
8月7日に発表した前期(14年6月期)の業績(非連結)は売上高が前々期比47.8%増の104億84百万円、営業利益が同56.5%増の11億86百万円、経常利益が同57.8%増の9億91百万円、そして純利益が同5.4%増の7億63百万円だった。
投資用ワンルームマンション12棟・522戸、事業用地2件、買取再販による分譲用コンパクトマンション3戸を販売した。純利益は法人税および法人税等調整額の増加で小幅な伸びにとどまったが、人手不足などによる建設コスト上昇に対応して竣工開発物件の早期売却を進めたことなども奏功して、1月16日の修正値(営業利益と経常利益を増額、純利益を減額)を上回る増収増益だった。またリーマンショック時の赤字による税務上の繰越欠損金を前期末で全て解消した。
配当予想(7月10日に増額修正)は年間12円(第2四半期末4円、期末8円)とした。13年7月1日付の株式200分割を考慮すると、前々期との比較で実質的に4円50銭の増配となる。
今期(15年6月期)の業績(非連結)見通しは、売上高が前期比4.9%増の110億円、営業利益が同5.4%増の12億50百万円、経常利益が同5.9%増の10億50百万円、純利益が同10.3%減の6億85百万円としている。
販売に台湾投資家への直接分譲1物件と分譲マンション1物件を含むため、売上総利益率が20%台を回復して営業増益の見込みだ。純利益は法人税等が増加するため減益見込みで、配当予想は配当性向30%を目標として同2円減配の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。
海外投資家の参入もあって投資用マンションの販売は好調だが、土地価格上昇と建設コスト上昇によって売上総利益率が低下傾向を強めるという事業環境に対応して、海外投資家への直接販売など販売手法の多様化、川崎市・横浜市など人口増加・優良地域への開発地域の拡大、売上総利益率変動要因となる分譲物件の開発平準化(毎期1件以上)などの施策を強化する方針だ。
株価の動きを見ると、7月末~8月上旬には終値で280円台に水準を切り上げたが、今期の最終減益・減配見通しで240円台に急反落した。ただしその後は下げ渋る展開となり、9月3日には終値で260円台まで戻している。売りは一巡したようだ。
9月3日の終値261円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS33円08銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は3.8%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS153円34銭で算出)は1.7倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が下値を支える形であり、日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。低PERや高配当利回りも支援材料であり、反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
投資用マンション開発・販売のアーバネットコーポレーション<3242>(JQS)の株価は、7月末~8月上旬には終値で280円台に水準を切り上げたが、今期(15年6月期)の最終減益・減配見通しで240円台に急反落した。
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2014-09-04 09:00