翻訳センターは第1四半期大幅減益の売り一巡、反発のタイミング

  国内最大規模の翻訳会社である翻訳センター <2483> (JQS)の株価は、7月29日の3910円から全般地合い悪化も影響して反落し、第1四半期(4月~6月)の大幅減益で8月13日には3200円まで調整した。ただしその後は概ね3400円近辺で推移している。売りは一巡したようだ。中期成長力を見直して反発のタイミングだろう。   特許・医薬・工業(IT関連)・法務・金融分野を中心として企業向け翻訳サービス事業を展開し、12年9月に通訳・翻訳・国際会議運営のアイ・エス・エス(ISS)を子会社化して業容を拡大した。グループ全体で約6200名の登録者を確保し、翻訳事業での対応可能言語は約70言語と国内最大規模である。   企業の知的財産権関連、新薬開発関連、新製品開発関連、海外展開関連、ディスクロージャー関連など翻訳サービス需要は拡大基調である。ISSは国際会議運営の実績が豊富であり、20年東京夏季五輪開催に向けて通訳や国際会議の需要増加が予想される。また13年6月にはアイタスからIT関連のローカライゼーション/マニュアル翻訳事業の一部を譲り受けた。   8月12日には、医薬品承認申請・取得に関するメディカルライティング業務を専門に受託する子会社として、パナシアを設立(14年10月予定)すると発表した。従来は翻訳事業の医薬分野において高付加価値サービスの一環として行っていたが、専門子会社を設立して製薬会社のニーズに質・量とも応えられる体制を確立する。   8月18日には、キューアンドエーの子会社でコールセンター運営事業のディー・キュービックと、日本国内におけるマルチランゲージ・コンタクトセンターサービス(在日外国人を顧客とする企業や団体を対象とした通訳・翻訳サービス)の戦略的パートナーとして業務提携契約を締結した。両社のノウハウや営業チャネルを活用して言語対応数最多のサービスを展開し、国内企業・団体の多言語コミュニケーションニーズに対応する方針だ。   8月12日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比1.2%増の21億08百万円、営業利益が同78.2%減の16百万円、経常利益が同77.6%減の16百万円、純利益が同96.1%減の1百万円だった。売上面では主力の翻訳事業が好調に推移したが、派遣事業の人材紹介が低調だったことなどで全体として微増収にとどまり、販管費の増加などで大幅営業減益だった。   セグメント別売上高を見ると、翻訳事業は同10.4%増の15億03百万円だった。金融・法務分野がスポット案件一巡で減収だったが、自動車関連の大型スポット案件も寄与して概ね好調に推移した。派遣事業は同7.3%減の3億34百万円だった。人材派遣売上は順調だったが、人材紹介でニーズに合致した候補者の確保が及ばなかった。   通訳事業は製薬会社、大手通信関連企業、保険会社からの受注が好調に推移して同51.8%増の1億63百万円、語学教育事業は授業数の変動などで同12.4%減の55百万円、コンベンション事業は前年同期の大型スポット案件(第5回アフリカ開発会議)の反動で同82.3%減の30百万円、その他は同18.4%増の22百万円だった。   通期の連結業績見通しは前回予想(5月14日公表)を据え置いて売上高が前期比7.1%増の94億円、営業利益が同31.7%増の4億80百万円、経常利益が同33.3%増の4億80百万円、純利益が同50.8%増の2億70百万円、配当予想が同3円増配の年間48円(期末一括)としている。   第1四半期は大幅減益となり、通期見通しに対する進捗率も低水準だが、増収効果で人件費増加などを吸収し、東京本部移転費用の一巡なども寄与して、営業損益が改善する見込みとしている。   翻訳事業は、特許分野で企業の知的財産関連部署への拡販、医薬分野でメガファーマへの深耕、工業分野で自動車関連企業からの受注拡大、金融・法務分野でIR関連資料の制作体制強化など、積極的な営業展開の効果を見込んでいる。人材派遣や通訳事業なども好調に推移する見込みだ。翻訳サービスの需要は中期的に拡大基調であり、20年東京夏季五輪に向けて通訳関連の需要拡大も期待されるだろう。   株価の動きを見ると、5月安値2810円から7月29日3910円まで戻したが、全般地合い悪化も影響して反落し、第1四半期の大幅減益で8月13日には3200円まで調整した。ただしその後は概ね3400円近辺で推移している。8月19日にはディー・キュービックとの業務提携を材料視して3590円まで上伸する場面があった。売りは一巡したようだ。   9月3日の終値3380円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS160円28銭で算出)は21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間48円で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1536円34銭で算出)は2.2倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が下値を支える形だ。中期成長力を見直して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
国内最大規模の翻訳会社である翻訳センター<2483>(JQS)の株価は、7月29日の3910円から全般地合い悪化も影響して反落し、第1四半期(4月~6月)の大幅減益で8月13日には3200円まで調整した。
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2014-09-04 09:00